
今回リリースされたポール・マッカートニー&WINGSのベスト盤は、非常に優れており、真にベストといえるのではないだろうか。1980年代半ば以降の駄作(ポールの作曲家としての終わり)を排除し、また現役であることに固執する事なく、客観的にまたUserlikeに構成された見事なアルバムである。
何んと言っても、今回のアルバムには、非常においしい曲がちりばめられているのを、心からうれしく思う。まずは、"Tomorrow"。通常のシングル主体のベスト盤には選曲されないであろう。この隠れた名曲が取り上げられている事は素晴らしい。個人的に私は、この曲"Tomorrow"が、ビートルズ以後のポールの最高傑作だと思っている。他にも「ロッケストラのテーマ」、"Goodnight
Tonight"、そのB面"Daytime Nighttime Suffering"がキチンと収まられているのが嬉しい。アルバム"McCartney"から"Maybe
I'm Amazed"、"Junk"は押さえられるべく、押さえられているが、その他は少し多いかもしれない。結局のところ、アルバム"McCartney"は名盤であった事の証明である。
逆に、不要な曲。個人的には様々であろうが、一番痛いのが"Comming
Up"のライブ・ヴァージョンである。UK盤はシングル・ヴァージョンで、US盤はライブ盤らしく、私は残念ながらUS盤をつかまされてしまった。これはもう絶対にシングル・ヴァージョンのみでリリースして欲しかったのが悔やまれてならない。
あと、このベスト盤に入って欲しい曲としては、"Wonderful
Chrismas Time"。レーベルの問題か、それとも日本だけしか売れなかったのか判らないが、ぜひ選曲して欲しかった。更には、好き嫌いは別として、Johnへの哀悼歌"Here
Today"が入っていても良さそうなものだ。"Ram
On"も名曲という訳ではないが、"Lovely Linda"が入っているからには、入れてしかるべきだろう。
総じて、上述の事柄を除けば、文句のつけようのない、絶賛に価するアルバムである。しかし、ここに凝集された曲は、まさに雑多な作品群の中から凝集されたされた故に、一つ一つが色褪せてしまうかも知れない。ましてや、70年代最高のライブ・バンド、Pual
McCartney & Wingsの音は、今の時代の耳に、合わないかも知れない。それは私には解らない。しかし、以下の曲は今の耳で、ぜひ吟味していただきたい。
Listen To What The Man Said
Band On The Run
Live And Let Die(映画007「死ぬのは奴らだ」
テーマ曲)
Jet
Silly Love Song
Goodnight Tonight
Junior's Farm
Mull Of Kintyre
With A Little Luck
Maybe I'm Amazed
Junk
Tomorrow

Paul McCartney & Wingsベスト盤について
2001年 5月12日

