牛乳の成分のうち,約90%が水です.
山で,牛乳を飲みたい場合には,脱脂粉乳と生クリームから作ることができます.
牛乳から,脂肪分,つまりバターをとり,乾燥させたのが,脱脂粉乳なので,水とバターを加えれば,牛乳になります.ただ,バターと水分を混ぜ,再び,牛乳のように分散,つまり白く濁った状態にするのは,相当体力がいるので,脂肪分が高濃度まま,分離していない,生クリームを使うと,簡単です.市販の生クリームの脂肪分は,約47%なので,牛乳の脂肪分である,3.5%にするには,約11倍に水で薄めればいいわけです.
図 脱脂粉乳と生クリーム.この組み合わせで,牛乳を約2.5L作ることができる.重量にして,約5分の1にすることができる.
乳製品
図 牛乳から作られる主な製品
生クリーム
牛乳を,遠心分離器にかけることで得られる,脂肪分を集めた製品.水分が半分程度残っている.
バター
牛乳を,チャーンと呼ばれる攪拌機で,含まれる脂肪分を集めた製品である.水分は,ほとんど含まれない.いわゆるバターは,塩による味付けがされている.
バターは,生クリームを使うと,簡単に作ることができる.生クリームを,油水分離をしやすくするために,室温にしておく.500 ml程度の密封容器に,生クリーム 200 ml を入れ,ひたすら振る.分離しにくい場合は,水かお湯を少し加える.分離したきた固形分が,バターであるが,まだかなり水が含まれるので,別の容器に移し,味付けの塩を加え,スプーンなどでこね,残っている水分を取り除く.
生クリームから,固形分であるバターを取り出した残りの水分には,栄養分が豊富に含まれる.そのままで,脱脂乳となるし,植物油を加えて乳化すると,植物性牛乳という不思議な製品にすることもできる.
脱脂粉乳
牛乳から脂肪分を取り出した残り,脱脂乳を乾燥させた製品.
ヨーグルト
タンパク質は,等電点( pH 約4.6)になると,凝集する.乳酸菌は,牛乳に含まれる,乳糖などの糖分をエサにして増殖するが,その際,乳酸を生成するため,発酵によってpHが下がる.ヨーグルトは,牛乳に含まれるタンパク質が,酸性度がさがることによって,凝集した固形成分.固形分から分離する溶液は,ホエーとよばれるが,こちらには水溶性のタンパク質やビタミン類が含まれる.ヨーグルトをしばらく置いておくと,黄色みがかった水分が分離してくるが,これがホエーである.
ヨーグルトも簡単に作ることができる.生ヨーグルトをスプーン一杯程度とっておき,それを牛乳に入れ,暖かいところに置いておくだけでいい.
チーズ
ヨーグルトから,液体成分であるホエーを除去し,乾燥させても,チーズになるが,この場合は,酸味が残る.大抵のチーズは,pHが下がらないうちに,レンネットを加えて,タンパク質を凝集させる.
牛乳には,タンパク質を凝集させる働きがあるカルシウム(Ca2+ )が含まれているが,カルシウムによる凝集を防ぐタンパク質(k-カゼイン)も含んでいる.そのため,牛乳は,液体として安定している.レンネットに含まれる酵素は,カルシウムによる凝集を防いでいるk-カゼインだけを分解し,牛乳に含まれるタンパク質を凝集沈殿させる.沈殿した固形分から水分を取り,熟成させたのが,いわゆるチーズである.
図 生ヨーグルト.生きてる乳酸菌がはいっているので,甘くない.甘いヨーグルトには,乳酸菌は入っていない.
いんちき乳製品
もともと2つの相に分かれる液体どうしを,かき混ぜて,見かけ上均一にすることを,乳化という.水と植物油に界面活性剤を加え,激しくかき混ぜて,乳化すると,ミルクみたいなものになる.いわゆるコーヒーフレッシュである.つまり,コーヒーフレッシュは,タンパク質などの栄養分を含まないので,いくらでも保存ができる.
図 コーヒーフレッシュ.乳製品ではない.
プリンは,タンパク質の構造が熱により変わることにより,固化した製品です.本来,牛乳と卵に砂糖とバニラの香料を加えて,加熱することにより作られます.世の中には,ゼラチンを使って固めたものもあります.ゼラチンは,冷やすと固まります.
図 代表的,偽プリン.プリンと言うより,ゼリーです
マーガリンも乳製品ではありません.常温で液体の植物油や魚油を原料に,化学反応により常温で固体になるようにした製品です.不飽和結合に水素を付加しています.
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