PILOT DEFINED WAYPOINT自作ウェイポイント |
パイロットは以下の状況の時、CDUにより架空のwptを作成する事が出来る。
・ATC(管制)からアクティブルート以外のwptへの直行を指示されたが、そのwptのデータがFMCのNAVデータベースに収録されていない時 ・スムーズなオペレーションを行なう為、架空のwptを一時的に作り出す時 |
*解説文中では関東地方のMANAT wptがFMCのNAVデータ
ベースに入っていないものとして解説しているが、実際は実機
及びPS1.3のFMCデータベースの中にMANAT wptのデータは
収録されているので注意されたい。
PBD,PB/PB,LAT/LON,ALONG ROUTE WAYPOINT |
羽田空港へアプローチを行なおうとしているPS航空123便を例に自作wptの作成方法をご紹介しよう。現在PS航空123便はCAVIA
wptへ向けてTRK094°で飛行している。
ATC“PS123,passing SPENS,right turn direct
to MANAT for spacing,then flight plan
route.”(PS123便、他機との間隔をとる為、SPENSを通過後右旋回し、MANATへ直行せよ)
PS123便はSPENSを通過後TRK056°へ変針しCAVIAへ向かう予定であったが、管制からMANATへの「寄り道」が指示された。MANATはPS123便のアクティブ・ルート(フライトプラン・ルート)上にないwptである。そこでCDUのアクティブ・ルート(通常はACT
RTE 1)にMANATを挿入する必要が出てきた。
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@スクラッチパッドに『MANAT』とキー入力する。 ALSK1LのSPENS とLSK2LのCAVIAの間にMANATを挿入するので、LSK2Lをプッシュする。 |
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【参考】 MANATがFMCのNAVデータベース内に収録されておれば左図のようにデータが呼び出され、LSK2Lに表示される。この時、MANATからCAVIAまでの間のルートはディスコン(ルートが不連続である、という意味)となる。 *但し、今回はMANATがFMCのNAVデータベース内に収録されていないという設定で話を進めるので、左の【CDU画面A】は今回の説明とは関係がない* |
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Bさて、【CDU画面@】第A項の操作をしたのち、左図のようにスクラッチパッドに『NOT
IN DATA BASE』メッセージが表示された。これはMANATがFMCのNAVデータベース内に収録されていないからである。そこで自作wptの登場だ。 C自作wptを作成する前に、取りあえずスクラッチパッドに表示されたFMCメッセージをクリアーしてしまおう。メッセージを消去しないとCDUへの入力が行なえないので……。 CLR(クリアー)キーをプッシュしFMCメッセージを消去。MANATの文字がスクラッチパッド上に残るのでそれもCLRキーにより消去する。 |
自作wptを作成する方法は次の3種類ある。
作成方法 | 作成可能な条件 |
【1】基点FIX名-方位/距離(PBD) | 基点となるFIXから自作wptまでの方位及び距離がわかっている時。 |
【2】基点FIX名1-方位/基点FIX名2-方位(PB/PB) | 基点となる2つのFIXから自作wptまでの方位がわかっている時。 |
【3】緯度/経度(LAT/LON) | 自作wptの正確な緯度/経度がわかっている時。 |
*基点となるFIXはFMCのNAVデータベース内に収録されているFIXでなければいけない。ここで使用するFIXという用語は、ナブエイド(VORなど)やウェイポイントを総称したものである。
それでは【1】〜【3】各々の作成方法を、順を追ってご紹介しよう。
【1】 基点FIX名-方位/距離(PBD) |
チャート等により付近のFIXから自作しようとしているwptまでの方位及び距離がわかる場合、以下の方法により自作wptを作成出来る。基点FIXとしてはナブエイド若しくはwptが使用出来るが、runway
fix(CI36やDV12Lのようなターミナル・フィックス)やLOM(アウターマーカーに併設されたコンパスロケーターの名称)、MM(ミドルマーカー)、LAT/LON(緯度/経度)は基点FIXとして使用出来ない。
![]() 【CDU画面C】 |
@CAVIAからMANATまでの方位は180°、距離は22NM(ノーティカル・マイル)である事がチャートによりわかったので、スクラッチパッドに『CAVIA180/22』とキー入力する(方位の入力は3桁で!)。 AMANATはSPENSの次に通過するwptなのでLSK2Lをプッシュしてスクラッチパッドに入力したデータをLSK2Lへ転送する。ページタイトルが『ACT』から『MOD』に変わり、LSK2LにCAVIA01と表示される。これが第@項で入力した『CAVIA180/22』に付けられた自作wpt名である。01というのはFMCが勝手に名づけたもので、自作wptが複数になるとRTE1の場合は01から始まり49までFMCにより名前が順番に付けられていく。 BLSK3LとLSK4Lの間にディスコンが挿入されている。このままではCAVIA01とCAVIAの区間はLNAVで飛行する事は出来ない(ディスコンのエリアに入ると、LNAVは継続してエンゲージしたままであるがHDG HOLDとして機能する。いわゆる隠れHGD HOLDモードである)ので、LSK4LのCAVIAをLSK3Lへ転送する事でディスコンを消去する。やり方としてはまずLSK4Lをプッシュしてスクラッチパッドにデータをダウンセレクトする。 C次にLSK3Lをプッシュする。スクラッチパッドに一旦下ろしたデータがLSK3Lに転送される(左から3番目のCDU画面参照)。 DEXECキーが点灯してデータの確定を促しているので、CDU画面とND画面をチェックして実行(エクスキュート)する。EXECUTEするとCDUのページタイトルが『MOD』から『ACT』に変わりデータが確定する。 |
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APBDにより作成した自作wptを基点として、更にもう一つのPBDによる自作wptを作成する事が出来る。*注*PS1.3ではこの機能は再現されていない。 BPBDにより作成した自作wptがアクティブ・ルート中にある場合、REF NAV DATAページへの入力が可能である。 |
【2】 基点FIX名1−方位/基点FIX名2−方位(PB/PB) |
チャート等により付近の2つのFIXから自作しようとしているwptまでの方位がわかる場合、以下の方法により自作wptを作成出来る。基点FIXとしてはナブエイド若しくはwptが使用出来るが、ARP(Airport Reference Point:空港の基準となる地点:CDU/POS INITページのREF AIRPORTも同義語)や緯度/経度を使用する事は出来ない。但しローカライザー局(例:大阪・伊丹空港R/W32Lのローカライザー局の名称はISK)を片方のFIXとして使用する事も可能である。
*FMCの解説書によればPB/PBによる自作wpt作成の際にも基点FIXとしてwptが使用可能となっているが、これについてはPS1.3では再現されていない。その為、下の解説では、2つの基点FIXにナブエイドを用いている。
![]() |
@MJE(三宅島VOR)からMANATまでの方位は052°、PQE(館山VOR)からMANATまでの方位は180°である事がチャートによりわかったので、スクラッチパッドに『MJE052/PQE180』とキー入力する(方位の入力は3桁で!)。 AMANATはSPENSの次に通過するwptなのでLSK2Lをプッシュしてスクラッチパッドに入力したデータをLSK2Lへ転送する。ページタイトルが『ACT』から『MOD』に変わり、LSK2LにMJE01と表示される(基点FIX1の名称にFMCが付けた番号が付加される)。これが第@項で入力した『MJE052/PQE180』に付けられた自作wpt名である。 BLSK3LとLSK4Lの間にディスコンが挿入されている。このままではMJE01とCAVIAの区間はLNAVで飛行する事は出来ないので、LSK4LのCAVIAをLSK3Lへ転送する事でディスコンを消去する。やり方としてはまずLSK4Lをプッシュしてスクラッチパッドにデータをダウンセレクトする。 C次にLSK3Lをプッシュする。スクラッチパッドに一旦下ろしたデータがLSK3Lに転送される> DEXECキーが点灯してデータの確定を促しているので、CDU画面とND画面をチェックして実行(エクスキュート)する。EXECUTEするとCDUのページタイトルが『MOD』から『ACT』に変わりデータが確定する。 |
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APB/PBによる自作wptをスクラッチパッドにダウンセレクトすると、基点FIX1からの方位及び距離がPBDフル・フォーマットで表示される(例:MJE01⇒MJE052.0/31.0)。*注*PS1.3ではこの機能は再現されていなく、ダウンセレクトするとwpt名がそのまま表示される。 BPB/PBにより作成した自作wptがアクティブ・ルート中にある場合、REF NAV DATAページへの入力が可能である。 |
【3】 緯度/経度(LAT/LON) |
チャート等により自作しようとしているwptの緯度/経度がわかる場合、以下の方法により自作wptを作成出来る。
![]() |
@MANATの緯度/経度はチャートによりN34°28.3
E13957.0である事がわかったので、スクラッチパッドに『N3428.3E13957.0』と入力する。 AMANATはSPENSの次に通過するwptなのでLSK2Lをプッシュしてスクラッチパッドに入力したデータをLSK2Lへ転送する。ページタイトルが『ACT』から『MOD』に変わり、LSK2LにN34E139と表示される。これが第@項で入力した『N3428.3E13957.0』に付けられた自作wpt名である。 BLSK3LとLSK4Lの間にディスコンが挿入されている。このままではMJE01とCAVIAの区間はLNAVで飛行する事は出来ないので、LSK4LのCAVIAをLSK3Lへ転送する事でディスコンを消去する。やり方としてはまずLSK4Lをプッシュしてスクラッチパッドにデータをダウンセレクトする。 C次にLSK3Lをプッシュする。スクラッチパッドに一旦下ろしたデータがLSK3Lに転送される> DEXECキーが点灯してデータの確定を促しているので、CDU画面とND画面をチェックして実行(エクスキュート)する。EXECUTEするとCDUのページタイトルが『MOD』から『ACT』に変わりデータが確定する。 |
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A緯度若しくは経度のいずれかが『分』を含んでいる場合、緯度及び経度両方の最後に0を付けなければいけない(例:N3740.0E14006.0)。 <参考>
BLAT/LONによる自作wpt作成の際は入力の際にミスを犯す可能性があるので、PBDやPB/PBによる自作wpt作成が行なえない時にのみ使用すべきである。 |
ALONG ROUTE WAYPOINT(アクティブ・ルート中の自作wpt) |
上の3つの自作wptはアクティブ・ルート以外のwptの作り方であるが、アクティブ・ルート中でも自作wptを作成する事が出来る。基点FIXとして使用出来るのはアクティブ・ルート上のエアポート、ナブエイド、wptである。それではアクティブ・ルート中の自作wptの作成方法をご紹介しよう。
現在PS航空101便はTRK094°をSPENSへ向けて飛行中である。
ATC“PS101,passing 7 miles west of SPENS,direct
to WESTN,then flight plan route.”(PS航空101便、SPENSの7マイル西を通過後、WESTNへ直行せよ)
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@SPENSの手前7マイルの地点に自作wptを作るのでスクラッチパッドに『SPENS/-7』とキー入力する。自作wptの作成は『基点FIX名/基点FIXからの距離』であり、基点FIXよりも手前に自作wptを作成する時は距離入力欄に−を入力する。基点FIXよりも先に自作wptを作成する時は+/−を入力する必要はない(−を入力していない時はプラスであるものとFMCは思慮するので)。 A基点FIXのLSKをプッシュする。この場合はSPENSが基点FIXである為LSK1Lをプッシュする。こうする事により自動的に自作wptがアクティブ・ルート上の正しい位置に挿入される(距離欄に−を入力している時は基点FIXの一つ上のLSKに、−を入力していない時は基点FIXの一つ下のLSKに自動的に自作wptが挿入される)。 Bさて、LSK1LをプッシュするとLSK1LにSPENS01と表示される、これが自作wptの名称である。LSK1Lに元々表示されていたSPENSはLSK2Lに表示されている。距離欄に−を入力した事によりFMCは『基点FIXよりも手前に自作wptを作る』ものと認識し、基点FIXの手前に自作wptを挿入した訳である。ALONG ROUTE WPTによる自作wpt作成の際にはディスコンは挿入されない。CDU及びNDをチェックしたのち点灯しているEXECキーをプッシュしてデータを確定するのであるが、その前に今回はルートのショートカット作業も行なわなければいけない。 CLSK4LをプッシュしてWESTNをスクラッチパッドにダウンセレクトする。 DLSK2LをプッシュしてスクラッチパッドのデータをLSK2Lに転送する。これでSPENSとCAVIAがアクティブ・ルートから消去され、SPENS01を通過した同機はWESTNへ直行するようになる。 Eまだページタイトルは『MOD』のままでEXECキーが点灯し、データの確定を促している。CDU及びNDをチェックしたのち点灯しているEXECキーをプッシュしてデータを確定する。 |
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AALONG ROUTE による自作wptをスクラッチパッドにダウンセレクトすると、基点wptからの方位/距離がPBDフル・フォーマットで表示される。*注*PS1.3ではこの機能は再現されていなく、ダウンセレクトするとwpt名がそのまま表示される。 |