成人式について大いに語る 2003.1.22
SAM 「 ふうっ、ここも久しぶりやな。」
HIRO 「 ここは、生田新道を越えて北野の真中にあるから北野に
来たという感じがして好きなんや。神戸でも文化的な香り
がするのは北野界隈かな。秋のストリートジャズフェスティ
バルもよくにあう。昼の喧騒がうそみたいに引いて、本当の
夜が始まるという期待感があるで。わくわく。
ちょっと余談なんやけど、前回の神戸の魅力で言った電車
で出かけるのはいやだということに反するけど、もし三宮若しく
は元町からサンフランシスコ見たいにケーブルカーが北野まで
あれば中突堤にクルマを置いてケーブルカーでここまで来んね
んけどなー。
人々を眺めつつ、街を眺めつつ、今日の曲はなんだろうとか、
プレーヤーは誰かなとか考えつつ。」
SAM 「 まずは乾杯。
おっ、バンド演奏始まったな。
んっ、この曲は『FLY ME TO THE MOON』やんか。
これ好きやねんなぁ。
やっぱり、大人の神戸の夜はJAZZが似合うな。
新成人の皆様にも乾杯。
さて、以前にもHIROには話したことあったけど、20歳
で成人なんて認められん!が今夜の話題。
こないだ講習会で久々に電車乗ってん。
聞くとはなしに女性二人の会話が耳に入ってきてん。
話の内容から、25歳から23歳ぐらいの、職場の先輩
後輩の関係みたい。
で、後輩の娘の方が言うねん。
『子供の時は成人式で晴れ着着てる子見たら、うわぁ
大人やなぁと思たけど、今はあんたら全然あかんでぇ
って思うねん。』
それに対して先輩の方は、『ほんまほんま、ちゃらちゃ
らして腹立つわぁ。』
後輩『うわっ、言うてもたぁ〜』
俺らもそれぐらいの年に同じこと思たやん?
やっぱり、大半そう思てるんやって確信したで。
特にここ数年は”荒れる成人式”とかゆうて、マスコミも
おもしろおかしく報道してた。
我々の時も、そりゃ多少の羽目ははずしたよ。
そんでも今の子みたいな大きな迷惑はかけへんかった。
仮にあっても、ニュースにならんぐらい小さいもんやった。
その俺らでも、20歳は大人ちゃうって思うのに、今の成人
は言わずもがなちゃう?
以前二人の間では、30歳が真の意味で成人や!と確認
しあった。
法律上20歳の成人は覆されへんやろうけど、ここまで参加
率が低くて騒ぎ起こすだけの式なら、財政難のこのご時世
、即刻廃止にして欲しいわ。」
HIRO 「 そうそう、20歳では成人とは認められないという話。
まったくその通りと思う。成人とは何かというビジョンや哲学
なしにセレモニーだけでは全く無意味。でも今の日本で20歳は成
人ですよという行事がなければ、もっと認識がなくなるのでその意味
では成人の日という意味はあるかもしれない。一応、男は18歳、女
は16歳で結婚できるとなっているけど生物学的な要素でそうなって
いるような気がしてて、結婚という社会的に責任が伴う人生で重要
な転機を成人のスタートと考えれば、20歳は妥当かもしれない。
しかし、90%以上の進学率がある高等学校の卒業年次が18歳
という現実があるなか、でも高校では大学受験のテクニックや就職
のアドバイスを主な業務とされている現在の高等学校教育では成人
の意味や社会的な自分の役割ということを、う〜ん、つまり哲学や
ビジョンを認識できないまま卒業していっている。
それで卒業して2年間すごして成人の日を迎えることになるけど2
年間でどんな人生を歩んだかということになると、自覚する経験は
大学生では、ただたんに大学生活を送っていれば、まず期待できな
いし、フリーターも多い状況から職業から人生の厳しさなんかを経験
できない若者が多いとちゃう?
話は戻って、30歳ぐらいが社会に出て責任もって仕事して、結婚
して家庭を築き子供を育て自分が成長して、自分の存在と社会のか
かわりが実感できる歳と思う。
まあでも最近は男女とも晩婚化しているから30歳もどうかなーとい
う状況が近いうちに来るで。困ったもんだ。
青い鳥を追っている男女が最近、多いで。結婚は自分を分析して初め
て、相手を客観視できるからまず自分をアセスメントしないとあかんのやけ
ど、この件もそのうち議題にあげよう。
今の成人式は七五三と変わらないで。女の子は振袖着て、男の子は
はかま若しくはスーツ着て、神社から市役所が用意した会場で写真を撮
るというのはホンマ七五三。」
SAM 「 はははっ、七五三説はええな。
ほんでも親にしてみれば、特に女の子の親は着せたい気持ちになると
思うで。
世間体や見栄じゃなく。
それはともかく、HIROの意見に異存なし。
でもな、結局は意識の問題やと思うねん。
神戸の成人式は”生きてる”ことの大切さをほんまに知っ
てるから、よそみたいなアホしてへん。
暴れてる連中はほんまの怖さと人の優しさを知らんのやろ。
神戸の子の成人式は、心の底から祝ってあげたいと思う。
明石あたりは物理的な被害はあったけど、死者は少ない。
不便な目にあったけど、神戸ほどの被害でないから、復旧
は早かった。
いまいち身に染みてないんやろな。
ひったくりを平気でやっとう。
たちの悪いことに、お年寄りや女性を平気でねらう。
俺らが10代の時の不良は、弱者には手ぇださへんかったけ
どなぁ。
大阪の暴走族は環状線塞いで相手グループの”検問”やっ
てたけど、女・子供・お年寄り・家族連れには危害を加へん
かった。
今の子らは見境ないもん。
ほんまに怖いわ。
今日は遅ならんうちに引き上げよか。(笑)
まあ、学校とかで、なんぼええ話しとっても、馬の耳に念仏
やろな。
もっとも、自分も人のこと言われへんけど。(笑)
今やったら偉い人の話も理解できるねんけどな。
偉い言うても、政治家と評論家の話はふざけんな、よう言う
わ、やけど。」
HIRO 「 こども家庭センターというところの子供問題専門の人が
言ってたけど今の子は見た目で俗に言う『普通の子』が
とんでもないことをするらしいで。一昔ならSAMの言うように
ホンマに悪いやつが悪いやつ同士で争っていたけど今は
どこでもいる子が親の目を盗んで家の外で悪さをしている。
神戸の成人式を見れなかったのは非常に残念だったけれど
西宮でも震災時のクラスメートをしのんで小学校の正門に集ま
った話が新聞にのっていた。それこそ成人式だと記事を読んで
いて胸が熱くなった。
西宮市の企画部局の幹部の人も言ってたけど西宮は文教
都市であると同時に震災被災都市として教訓を踏まえ、風化
させてはいけない使命があると決意を述べてた。本当にその
とおりで教育委員会を巻き込んで進めて欲しい。
高校を卒業して大学入学してからの姿勢は人生に大きな影響を
与えると思うけど、 東海大学創設者松前重義博士が唱えた四ヶ条
が非常に意義深いものと思うで。
完全に覚えてないので、資料を見ると・・・あったあった。
1.若き日に汝の思想を培え
2.若き日に汝の体躯を培え
3.若き日に汝の智能を磨け
4.若き日に汝の希望を星につなげ
これ、どういうことかというと、第一条の「思想」とは、しっかりと
し たものの見方、考え方による自分の人生にあり方を確立すること
を言ってるわけで、まあ哲学やね。そして第二条は、スポーツや規則
正しい生活で強靱な体力と精神を創るということで健康でなければな
にもできない。お次の第三条は、柔軟で吸収力旺盛な学生時代に豊
富な知識を身につけるということで、最後の第四条は以上に掲げた3つ
の理想を実現させるために空に輝く星に希望を託して、限りない前進を
しようと言う意味なんや。札幌農学校のクラーク博士の『青年よ大志を
抱け!』ということとほぼ同じとちゃうかな。
これは今聞くといいことばやで。もっと実践すればよかったと悔やん
で いる。
でも、若き日にこの言葉は耳に入らないのも事実なんや。
今からでも遅くはない、若人よこの4つを少しでも実践してみよ!
そうそう、えらそうに言うと直ぐ反発を受けるから現代風に翻訳しない
と いけないかも。テリー伊藤に翻訳してもらったら若いやつに届くかも。
あと偉いやつという政治家と評論家の件やけど、評論家はさておき、
国民生活にもっとも影響をあたえる代議士、今風に言えば国会議員、
その二世、三世議員なんかその地域の王朝やで、なんでこんな初代の
息子ということで票入れるの?狂言師 の世界と違うで世襲制なんか全く。
票入れるやつに聞きたいけど、まあ今の行政・政治制度が甘〜いケー
キの分配システムとして機能しているから、その分配屋として担ぐやろなー。
だからそいつらのメッセージなんか聴きとうないわ、哲学なんかないで。
やっぱり自分の思想を培って見極めて選挙に行って国民の民意を伝え
ないといけない。
とにかく今の日本は今まで自分でものを考えてこなかったから、だから
冷戦時代はよかったと懐かしむ馬鹿者がいて、実質保護国のアメリカのこ
とをよく聞いてものをつくって、必要なときはお金を出せばよっかた。そう教育
も戦前は国家に忠実に、戦後は会社組織に忠実な国民を大量に送り出せば
よかった。個性なんか組織運営では邪魔になるから、認めてこなかった。
僕は職場にやってくるインターンシップの学生に『自分で考えろ』と言って
絶対細かいアドバイスはしない、考えさせて課題を完成させる。『そんなマ
ニュアルなんか作っている時間なんかないわい』ということで。最初は戸惑っ
ていてもやり遂げると、自信につながり、学生の満足感が伝わってきてこっち
も更に嬉しくなるという好循環が生まれる。でも、最近の学生は、姿勢や意欲
が我々の時代より3年から4年遅れている感じがする。大学院修士1年生でも
学部3年ぐらいかなー。明確な課題設定はそつなくきっちりこなすけど、ゼロか
らだと混乱して迷走する傾向がある。
すまん。えらく長く話してしまって、そろそろ帰らんと。ホンマ酒に弱くなってし
もたな。
最後にSAMも新入社員とか若い社員を見てどう?
これ話して帰ろう。」
SAM 「 うっ、実はうちの会社、不景気なのでリストラや希望退職
募って、今、若いもんおらへんねん。
当然新入社員なんかここ7年間おらへん。
かつての経験で言うと、受け入れ側にも責任があるんちゃうかな。
” 人を育てよう”という気持ちが大事。
それはマニュアル作るのとは意味が違う。
自分に忠実な部下をつくるのとも違う。
そういう気持ちがなくて、とりあえず手順を教えて、出来へんかったら
”あいつはあかん”では、新入社員でなくともやる気なくすやろうな。
上司たるもの、信念を持って仕事と人に接しなあかん!
ところで、さっきの今の学生は遅れてるって話しやけど、ゼミの助教授
の話思い出したわ。
『 大学は社会人になってから来るとこだ。18やそこらで将来を決め
て大学に来られるわけないだろ。』
聞いたときはそれも一理あるかな、程度やったけど、今はその通り
かもしれへんって思う。
実際、今の方が勉強してるし、その目的も明確。
本や仕事に関する学会・協会の講習会では理解しきれないところを、
大学に行って聞きたいって切に思う。
これはやっぱり、受け身学習に問題があるんやろうね。
今の小学生は、”生活の時間”があって、教科にとらわれない学習
をしてるみたい。
それと兵庫県だけかな?中学生になったら、”トライアルウィーク”と
銘打って、地元企業などで仕事を体験する実習?がある。
これらの時間はええんちゃうかと思う。
去年子供の夏休みの自由研究をサポートしたけど、低学年やから
研究の仕方がわからへんねんな。
これは仕方ないと思う。
で、まず不思議に思ってること、知りたいことを書き出させた。
その中から一番知りたいことを選ばせて、図書館へ行って本の探し
方を教えた。
そのあとインターネットを使って資料を集める方法を実演した。
それらの資料をまとめる方法を教えた。
今年の夏休みは、アドバイスはするけど、ここまでせえへんつもり。
自分から動くようになって欲しいと思ってる。
まあ、まだ無理やろうな。
高学年からかな。
とにかく、”不思議だ”、”知りたい”、”わかってうれしい”をどんどん
体験していって欲しい。
それで自ら課題を持てる大人になってくれたら、親の責任は果たせ
るかな。
そしたら、晴れ着でもスーツでも奮発したんねんけどなぁー。」
HIRO 「 実践的な教育しているやん。家庭でも職場でも。これって、できない
人多いで。特に成功体験が染み付いている人はそう。受験、実績で。
今、何でもレール引きすぎているというか、自分でレールを引けない
閉塞状態なんで、子供が考えられない、レールにうまく乗せることに
腐心する。 それが一番問題と思っている。
あと総合学習の話なんやけど、当初のもくろみは生きる力をつけ
させるためにということで始めたもんらしいけど、これ実は曲者で
当の学校の先生が何をどう教えたらいいかわからないらしく、
全国的なマニュアルを文部科学省に作ってくれ〜と今切実な現場の
悩みとしてあがっているんや。この制度を利用して意義ある授業をし
ている先生も多いけど、今まで用意された課題の受験戦争と採用戦
争をクリアしてきた学生がそのまま社会人になることなしにいきなり
先生になるもんやから、生きる力を教えよと言われても混乱状態に
おちいって、学級崩壊どころか先生崩壊が始まっている。
兵庫県内での学校の先生の不祥事は何故か全国的にも多い部類
に入る。その兵庫県が始めたトライアルウィーク、 新聞報道だけの情報
やけど、生徒にもいい影響を与えているらしく、親の働いている姿が見え
ない社会ではお試しではなく、考えさせられる身についた経験となると
思う。この制度も兵庫県の評判を聞きつけて、最近ではどこでも取り入
れているで。よくスーパーとかお弁当屋さんとか図書館で職場体験中と
言う名札つけた中学生がいるし、店先にポスターが張ってある。
大学生のインターンシップもトライアルの大学生版。
ホテルパールシティ神戸の総支配人の人、この人31歳なんやけど、
新人社員採用の件で気になることを言ってるんやけど、今の学生は
採用されることばかりに目が行っていて、その先の夢がないと嘆いて
いた。面接で『支配人になりたいですか?』と聞いても、フロントだけで
いいとか言って、もっと夢をもって自分を磨いて欲しいと。
大人が子供にいい背中を見せないとあかんねやろうなー。
僕もそういう意味でがんばらなあかん。そして、 子供が高校生になっ
たら、松前先生の四ヶ条を教えるよ。
しかし、これからの日本はどうなるんやろ。なんかフォーロゼスも
スウィングも醒めてしもた。
そろそろ帰ろか。北野坂降って三宮駅まで寒そうやな〜。」