沖縄・シーサーと海と泡盛の旅

2010-11-9〜12

 定年の区切りに(とは言っても、引き続き再雇用で働き続けることにはなりましたが)休暇を取って、長年支え続けてくれたカミサンと、真面目に勤め上げたぼく自身へのご褒美として、沖縄を旅して来ました。久々の旅行でしたが、天候にも恵まれ、いい思い出作りが出来ました。
 カミサンが丹念に計画を立ててくれて、3泊4日でしたがずいぶんいろんなところを回ることが出来ました。ここに、その一部ですが、ご紹介したいと思います。

[旅のルート]
1日目:関空→那覇空港→おもろまち(レンタカーを借りる)→首里城→東南植物楽園→残波岬→ホテル日航アリビラ
2日目:座喜味城跡→やちむんの里→琉球村→かりゆしビーチ(グラスボート)→万座毛→ANA万座ビーチホテル&リゾート
3日目:沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館(海洋博公園)→今帰仁(なきじん)城跡公園→海中道路→ホテルマリオットリゾート&スパ
4日目:斎場御獄(せーふぁうたき)→沖縄ワールド(玉泉洞)→やちむん通り(那覇市)→おもろまち(レンタカーを返す)→那覇空港→関空
 メンソーレ、沖縄。Welcome to Okinwaという意味だそうです。メンソーレには、あちこちで出くわしました。基地と観光の島、沖縄の、まずは「いらっしゃい」からスタートです。
 着陸のときデジカメが使えず画像はありませんが、那覇空港を降りたとたん、自衛隊機を見かけました。基地の島なのだ、という第一印象でした。


 ゆりレール(空港と市街地を結ぶモノレール)で、「おもろまち」へ向かう途中にも、自衛隊の戦闘機の展示を見かけました。


 「おもろまち」のDFSというしゃれた商業施設でタコライスを食べ、最初の目的地、首里城へ。中国の影響が色濃くある琉球王国の史跡です。途中、町の家々の玄関にシーサーが置かれているのを見て、ああ、沖縄に来たんだな、と実感が湧きました。家のカワラも赤色で、異国情緒が溢れていました。ちなみに、シーサーとは「獅子」の方言(または語源)ではないかと勝手に想像しています。


 これが、首里城のシーサー。明らかに狛犬(こまいぬ)の親戚でしょう。いろいろ見ていくと、左が口を閉じ、右が口を開いている、というパターンが多いようですが(後でそれは「あ・うん」を意味するのだと聞きました)、必ずしもそうとは限りません。なんとなくライオンの風貌に見えます。


 首里城の中は、一部撮影が出来、記念写真も取れます。玉座の両側の竜と思われる置物は、建物の屋根や玄関にもあって、魔よけなどの意味があるのでしょう。


 こちらは、東南植物楽園。熱帯の植物が数多く植えられていて、でもカミサンの説明によると間もなく閉園になるとか。
 この画像のように根が露出していたり、樹木の周りに別の樹木がからまっていたり、如何にも熱帯の植物という風情があって、なかなか楽しめるのですが・・・。ここでは「とっくりやし」という、とっくりにそっくりなやしの木もたくさん見かけます。


 サンセットを見ようと、残波岬へ言ってみると、多分結婚式場のPRに使うのでしょう、灯台近くに花嫁・花婿姿のカップルが撮影隊を連れて来ていました。
 太陽が水平線に沈む様子を、何十分もカミサンとふたりで眺めていました。ムービーでも撮影しましたが、真っ赤になって沈んでいく太陽をただ見つめているだけで、なんだかロマンティックな気分になるものです。

 ホテル日航アリビラでは、夜は「アルタミラ」という洞窟のような内装の居酒屋で、沖縄民謡のライブ(歌い手さんが、夏川りみに雰囲気が似ていて、三線の弾き語りをしてくれました)を聞きながら、オリオンビール(沖縄産の、現地ではポピュラーなビールで、苦いビールが大好きのぼくにも、とても口に合う)と泡盛(原料は米の、焼酎とよく似た蒸留酒で、これもぼく好み)で沖縄の郷土料理に舌鼓。そのあとはライトアップされたプールサイドや海岸を散策。まるでグアムかハワイにでも来たようなリゾート気分になりました。


 朝は50食限定の、沖縄の野菜を使った和食で、上の画像はそれを撮ったもの。紫芋やもちもちの豆腐、海ぶどうなどがバラエティ豊かで、なかなか贅沢な朝食でした。
 別に頼まれたわけではありませんが、このホテルは部屋の快適さ、レストランが充実していること、そしてファンタジックな夜景など、お勧めです。


 沖縄は陶芸が盛んで、「やちむんの里」には古くから伝わる窯がありました。「やちむん」とは「焼き物」のこと。やきもん、やちもん、やちむん、と、変化していったのでしょう。当たり前のことですが、沖縄弁は日本語なので、よく聞いてみると方言だということがわかります。けれど、本土から遠く離れているので、すごく変化していて、外国語のように聞こえるものもあります。


 これは「やちむんの里」で、ぼくが一目ぼれして買った、一輪ざしの花瓶です。沖縄の形に穴が開いていて、多分若い作家が観光客向けに創作したのでしょう。色使いはまさに琉球風。こういう、ちょっとベタな発想が意外に好きです。東京タワーで東京タワーのミニチュアを買って帰る、宇宙ステーションで宇宙ステーションのミニチュアを買って帰る(ぼくの見果てぬ夢です)みたいな乗りがいいですね。


 琉球村で見た、これはエイサーという踊りです。演じているのは、その少し前、近くの道の駅で、三線を弾きながら沖縄民謡を歌い踊っていた女性たち。なかなかしまった演技で、若い人たちが伝統芸能を伝承している姿に共感しました。太鼓の音と独特の掛け声、指笛。日本の民謡とタヒチの音楽が融合したような趣がありました。


 沖縄では水牛が多く飼われていて、馬車を引いたり農作業をしたりしているようです。琉球村で見かけたこの水牛は、臼を引く作業をするようですが、その様子は見れませんでした。


 沖縄というば、珊瑚礁。珊瑚礁に遊ぶ魚たちを、グラスボートで観察しました。この日は天候にも恵まれ(というか、天気がよかったので、予定を前倒しして乗り込みました、天気が良い時を狙わないと、きれいな海は見れません)、「ニモ」で有名なカクレクマノミが珊瑚の中に見え隠れするのや、イソギンチャク、ウニ、ナマコ、ウミヘビまで、自然な海の様子を満喫しました。本当に海は生命の宝庫だ、と実感しました。珊瑚礁の海は、緑がかった明るい水色で、何とも言えない美しさです。


 これは万座毛という断崖のある岬です。沖縄は、もともと珊瑚で出来た島なので、岩はとてももろく、激しく波の浸食が起こるため、穴の開いた岩や根元を削り取られた岩があちこちにあります。琉球石灰岩というのだそうです。


 これは万座ビーチホテルのベランダから見た、プライベートビーチ。シーズンオフでしたが、中には遊泳している人もいました。カミサンが、右下に見える岩が何となくカエルに似ていると。そういえばそんな気もしますね・・・


 宿泊したホテルはどこも夜になるとライトアップされて、夜も退屈しません。万座ビーチホテルは、内側が上から下まで吹き抜けになっていて、各階の部屋の入り口が中から見えます。夜にはイルミネーションが点灯して、ピアノの生演奏があったり、なかなかおしゃれです。夜はバイキングにしましたが、日本人の浅ましさというか、完璧に食べ過ぎました。


 同じく朝のプールサイドをベランダから。夏に来ればよかったな、と、しみじみ思いました。


 海洋博公園では、マナティ館で水中からマナティの姿を見ることが出来ます。近くで、やしの実のジュースを売っていて、さっそく飲んでみました。本物のやしの実を切り落として、中の透明な果汁を飲むのですが、勿論人口甘味料など入っていませんから、ほんのりとした自然な甘さがさわやかで、ぼくは結構好きで、お勧めです。やしの実に、あんなにたくさんの果汁が入っているなんて、初めて知りました。


 同じく海洋博公園の海カメたち。狭い中にひしめいていて、お互いにごつごつこすりあっていました。プールの中に産卵のための砂場があって、そこで産卵をすることもあるそうです。


 「美ら海水族館」に入った入り口近くで、カミサンが、外国の子供がかわいいとパチリ。プライバシーの侵害かも。ここではヒトデに触れることが出来て、結構ザラザラと硬い感触なのが意外でした。。


 美ら海水族館のメインの水槽です。少し離れたところにひな壇があって、まるで映画でも見るように水槽を一望することが出来ます(この画像はそこから撮影したもの)。ジンベイザメは3匹いて、左に見えるトンネルから見上げると圧巻です。とにかくいろんな種類の魚が所狭しと泳いでいて、ちょっと窮屈かなという感じもしますが、いつまで見ていても飽きません。


 これは屋我地島と古宇利島を結ぶ古宇利大橋。特に見るものはないのですが、珊瑚礁の海を渡る橋、ということで、渡って来ました。島と島の間の海はとても浅く、大きな船は通れないように思えます。


 ということで、じゃあ埋め立ててしまおう、ということで出来たのでしょう、後ろに見えるのは「海中道路」といいます。沖縄本島と宮城島を結ぶ延々10キロ近くもある道路で、途中のパーキングにある陸橋から撮影しています。


 ここは斎場御獄(せーふぁうたき)という神聖な場所で、行儀よく見て回らないといけません。巨大な岩が2枚寄りかかるように立っていて、近くでは祈りを捧げている人達を見かけました。


 「沖縄ワールド」には「玉泉洞」という鍾乳洞があって、あまり知らずに中へ入ると、長い長い。どこまで続くのかと思いました。1キロ近くもあるそうです。いろんな場所があってなかなか面白いですが、少し濡れます。


 沖縄最後の食事は、沖縄ワールドでのパパイヤイリチー(炒め物)と水前寺菜(沖縄名は忘れました)。これがあっさりとしていてなかなかにおいしかった。店のおばさんの話では、水前寺菜はぬるっとしているのでよく海草と間違われるそうで、沖縄では普段からよく食べている、とのことでした。

[所感]
 基地問題で揺れる沖縄が、今までとは違って、すごく身近に感じられるようになりました。観光地を巡っただけですが、それでも沖縄の魅力にたっぷりとつかって、すっかり沖縄のファンになりました。
 本土では見たこともない美しい珊瑚礁、異国情緒いっぱいのエイサー踊り、自販機でも売っている柑橘系ドリンク・シークァーサー、沖縄産のオリオンビール、泡盛、ちんすこう(沖縄名物のお菓子)、あぐー(豚のこと)・・・あぐーを沖縄では、泣き声以外すべて食べる、と言われているそうで、ホテルの朝食バイキングにミミガーとあったのは、あぐーの耳でした。あぐーの命を余すことなくいただく、そんな素朴な気持ちは、美しい珊瑚礁の海が育んでくれるのでしょうか。
 そういえばレンタカーで走っていて、脇の道からいきなり車が出てくるのによく遭遇しました。都会ならこちらが通過するのを待つところですが、きっと沖縄ではたいていの車が譲ってくれるのでしょう。
 また、ボロボロのダンプカー(砂利トラ)が走り回っていて、やたらに道路整備などの公共事業が多い気もしました。都市部では本土と同じように商業が栄えている一方で、農村では高齢化が進み、町並みや道路を見ても、決して豊かではない暮らしの現実を目にします。
 沖縄は確かに、遠い「国内」という感じがします。ぼくたちに素晴らしい思い出をくれた沖縄に感謝したい、そして、これからもその素朴さ・美しさを残しつつ、人々の暮らしが少しでも良くなって行くことを願って止みません。