湯布院・黒川・阿蘇 やまなみハイウェイの旅

2006-11-11〜13

 九州には独特の地形、姿がある。というか、家もない、店もない、山も木もない、何もない平原がある。ぼくが訪ねた秋の季節は、一面のススキだった。そして、「風のハルカ」で知られた湯布院、一度は行ってみたい温泉の黒川、巨大カルデラの阿蘇を巡った。やまなみハイウェイには、険しい信州の山々とはまた違った柔らかい景色があった。そして、暖かい人々の表情があった。
[ちょっとアドバイス]

1.湯布院の金鱗湖は朝がお勧め。朝日が湖面に輝いて、見飽きぬ美しさを堪能出来る。ショッピングサイトやステンドグラスの館等、観光スポットが点在しているので、自転車を借りて回るのが楽だ。

2.九重夢大吊橋は、中村エリアと対岸の北方エリアに駐車場があるが、北方エリヤからが待ち時間が少なかった。ただし一旦外に出てしまうと再入場に並ぶことになるので、出口手前でUターンが正解か。

3.阿蘇の中岳は、自動車であればロープウェイを使わずに頂上の駐車場を利用した方がお得で早い。ただし、空中からの眺めを見たい場合は、ロープウェイを利用されたし。

まずは別府の地獄めぐりから。
色んな地獄があるが、これは間欠泉で「竜巻地獄」と名付けられている。間欠泉のしくみが詳しく解説されていて、エンジニアとして興味を引かれた。温泉の飛散防止の屋根がなければ相当に噴き上がるはずだが、市内のロケーションでは安全上止むを得ないところで、イエローストーンを見たくなってしまった。


地獄には含まれる成分によって様々な色がつく。コバルトブルーは硫酸鉄を含むからだそうだ。


地獄にはワニがいたり、象がいたり、人寄せにいろんなものが置いてあって、自然好きのぼくには少々食傷気味な感じがする。ということで、先を急ぐことにした。


これが「風のハルカ」で有名な(というかその前から有名だが)由布岳。ただし、NHKドラマの風景は裏側から見たものだそうだ。確かにぶさいくな山だが、優しそうな雰囲気がある。朝、ホテルの窓から眺めたもの。


金鱗湖周辺は、秋には紅葉が美しい。しかも緑や黄色も混じって、閑静な散策のコースになっている。
周りにはしゃれたカフェもあって、若い人が多く訪ねてきていた。


これが金鱗湖の名前の由来である。写真では、そのキラキラきらめく美しさは表現できないが、湖畔に温泉が湧き出していて、波と波とが交錯し細かく粒立つために、朝日が反射して金の鱗のように見えるようだ。本当に見飽きない美しさで、湖畔でしばらくぼうっと眺めていた。


湯布院は観光スポットが点在しているので、自転車で回ることをお勧めする。
由布岳を見ながら温泉につかるのも、ゆったりとしていい気分だ。


これが日本一長く日本一高い、九重夢大吊橋。たまたま道を間違えて北方エリアから渡ったが、これがラッキーで、対岸の中村エリアからだと4時間待ちとのことだった。それで渡り切らずに、出口手前でUターン。結構揺れるので立ち止まってしまう人もいるが、特に怖いということはない。


くじゅう花公園に向かう途中、硫黄をかぶった山に遭遇。山の名前は失念したが、飯田高原からの眺め。


黒川温泉の町並み。温泉以外何もない、それがまた情緒を感じる。老舗が多く、じっくり温泉めぐりをする湯治客にはもってこいだ。


ぼくらが泊った「ふもと旅館」の名物もみじ風呂。源泉を川の水で冷ましただけで、そのまま引き込まれている。温度調節は難しそうだ。当日は少しぬるめで、露天なのでなかなか出られないのが、かえってじっくり暖まれて、ぼくはいい気分だった。落ち葉が落ちてきたりする昔のままの風情が、むしろ他では味わえない贅沢だ。


お風呂は川の両側にいくつもあって、渡り廊下で行き来する。板張りの床が冷たくて、都会人には如何にも新鮮な懐かしさだ。料理や旅館の方の応対にも、とても満足している。


これも名前は失念したが、まるで先端を吹き飛ばされたような形の山。風化なのか爆発なのかはぼくにわからないが、奇妙な形が目を引いた。阿蘇に向かう途中の風景。

    
阿蘇中岳の火口。運良く美しいエメラルドクリーンが見えた。激しく活動している火山が観光地になっているというのも、考えて見れば不思議なことだ。


そういうことで、中岳の山頂付近には、防空壕のような施設があちこちにある。それだけ火山弾が降り注ぐ等の危険も大きいということか。


中岳付近の案内図。山頂に設置してある。衛星写真のようだ。


中岳からロープウェイの駅方面を見たパノラマ写真。


別府への戻り道で、一面のススキっ原。車もほとんど通らない、都会では味わえない爽快な気分だ。


この旅のラストシーン、大観峰。カルデラの淵だ。カルデラは、溶岩の噴き出した後の空洞が陥没して出来るという。それにしても見渡す限りの壮大な眺めだ。自然のスケールの大きさに、脱帽!

[所感]
 最近夫婦で旅行に出かけることが多くなった。
 子供たちも成長して、もう親がどうのこうのとかまう必要もない。それで、今までは子供が中心だった生活も、自分たちを中心に考えられるようになってきたからだろう。
 九州の山々には、独特の表情がある。岩がもろいのだろう、丸みを帯びているが、ただ穏やかなのではなく、火山らしい荒々しい厳しい顔もしている。けれど、そのおかげでふんだんに温泉が湧き、そこにゆったりつかった人間の顔は、すっかりゆるんでしまう。
 またいつか、今度は孫でも連れて(今はまだいないが)訪ねてみようと思う。