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VOYエピソード寸評


☆マークによって作品を4段階に分類した。 ☆☆☆秀逸、☆☆佳作、☆普通、★凡庸の意味である。 判定の根拠には異論もあろうかと思われるが、あくまでも私見である。
第1シーズン

第1話The Caretaker (遥かなる地球へ)☆☆StarDate:
新シリーズの幕開けとなる第1話は、DS9で既に共通認識となっていたマキ(maqui)と その敵対国家カーデシアとの戦闘シーンで始まる。女性艦長ジェインウェイ大佐の 登場は、地球上であった。マキの過激なゲリラ攻撃を取り締まる側にたっている 惑星連邦の宇宙艦ヴォイジャは、その任務中に”管理者”と呼ばれるデルタ宇宙 域の高度に進化した種族によって強制的に7万光年のワープをさせられることに なった。”管理者”はオカンパという種族の庇護者として自分の後継者となれる 種族を探していたのであるが、その方法は発展途上の種族にとっては誘拐と同じ 行為であった。ヴォイジャも誘拐されて生体実験をされた結果、故郷を遙かに離 れた未知の宇宙に放置されることになったのである。
物語の経緯を具にたどれば、自己中心的な哲学を選択することによって、帰還する プログラムを”管理者”のコンピュータから取り出すことはできたはずであったが 艦長は敢えて、それをしなかった。それがために、ヴォイジャはマキのクルーを 合流させて深宇宙を彷徨うことになるのだった。
主要クルーは、 艦長 ジェインウェイ大佐(連邦)
副長 チャコティ中佐(マキ)
保安部長 ツボック大尉(連邦)
操舵士 パリス大尉(前マキ)
航海士 キム少尉(連邦)
機関部長 この段階では不在
医療部長 この段階では不在

追う者と追われる者とが女性艦長の指揮下でひとつの船に乗り組むことになった わけだが、目的だけはほぼ一致していたと言えようか。
長い旅の序曲というよりも、状況を説明したという程度の第1話であったが、 DS9の退屈な日々とは打って変わって、冒険心が沸々と感じられる出来映え であったことだけは間違いない。

第2話 Parallax (ブラックホールからの脱出)☆☆StarDate:1312.4
デルタ宇宙域へのワープによって殉職した医療部長等、まだ決まっていない主任者 の選定と、タイムパラドクスが並行して進む第2話。生死に関わるトラブルと人間 関係の軋轢が同時進行するというパターンはスタートレックでは常套手段であるが(決して悪い意味ではない) うまく両者が相関的に昇華されていくステーリーテリングは、佳作と言えよう。
現在は、時間の諸相については科学の分野というよりも、シャーマニズムの範疇に 入るものであるが、24世紀においては晴れて自然科学の仲間入りを果たしたよう である。物語は、ブラックホールの引力圏に捉えられた艦船からの救難信号をキャ ッチして、それを救出しようとするところから始まる。話が進行するに従って、 最初に受信した救難信号は、実はジェインウェイ艦長が応答するために送信した 信号であることが分かってくる。救難信号を受信する前に、その信号に応答して いたという難解な話になるわけだが、この既成概念をひっくり返すような設定が たまらない。
サブストーリーの機関部長の選任は、マキのトレス大尉に決定した。トレスは、 クリンゴン人とのハーフで、激しい性格と技術に対する高いセンスを持ち合わせ た女性である。 ヴォイジャは連邦が誇る強力な新鋭艦ではあるが、まだ実力の すべてを発揮するだけの状態にまでは回復していない。

第3話 Time and Again (24時間の過去)☆☆StarDate:
これも前回に引き続き”時間力学”がテーマとなっている。ストーリーの進行と ともに、古くからの艦長の友人で士官学校の教官まで勤めたバルカン人ツボックと 元連邦佐官でマキに転じた副長チャコティの両者の立場と性格の相違が描かれる。 今回は艦長が過去にタイムスリップする訳だが、毅然とした態度は過去のシリーズ のどの艦長にも劣らないが、格闘術はピカード艦長よりもさらに苦手なようであった。 守衛とは言え非戦闘員によって棍棒であっさり倒されるというのは、女性とは 言え少し情けないか。しかし、時間力学を語ったり、機関部での発言を聞いて いると、理論家としては歴代艦長の中では屈指のようである。
また、第1話でヴォイジャに同乗することになったデルタ宇宙域の種族のひとり オカンパ人ケスの超能力について示唆される。もうひとりの種族タラクシア人 ニーリックスはデルタ宇宙域の案内人である。

  第4話 Phage (盗まれた臓器)☆StarDate:
原題のphageというのは、今回登場する種族に特有の遺伝子レベルで蔓延している 病気の名前である。連邦よりも遙かに進歩した医学水準にあるが、にもかかわらず 臓器移植でしか進行をくい止められない難病とのことである。その種族の臓器移植 は少々乱暴で、普段は死体から移植するのだが緊急を要する場合は他の種族から必 要な臓器を強奪するというものだ。そして、ニーリックスが被害者となるところか ら話は始まる。
生きながら肺を盗まれたニーリックスのために、ホログラム・ドクターはホログラ ムによる肺を生成して急場をしのいだが、治癒のためには本来の肺を取り返すしか なかった。
自己保存本能の肯定が、他者の生死と交錯する場合の対処法は、安楽死の問題と同 様なテーマを生むものだろう。森鴎外の「高瀬舟」のハイテクバージョンか。

第5話 The Cloud (星雲生命体を救え)☆StarDate:
ヴォイジャのエネルギー源となる物質(omicron particles)が検出された星雲に立ち寄ったクルーは、 星雲内の異常な現象のために逃げ出すことになった。始まった途端に話は終った かに見えたが、意外な進展がその後起こるのであった。
チャコティ副長のネイティブアメリカンとしての紹介がなされる。人には必ず、 スピリットガイドという存在があるという信仰は、ハイテクを旨とするSF映画 の中で妙に神秘的な科学性を見せてくれる。儀式の結果ジェインウェイ艦長のガ イドは、両生類のような生物だった。トレスは見つけたガイドを殺しそうになっ たというエピソードも紹介される。

第6話 Eye of the Needle (ワームホールの崩壊)☆☆☆StarDate:
ヴォイジヤが帰還するためには尋常の方法では70年かかるということを下敷き にすると、とにかく未知の方法を模索しなければならない。中でも、簡便な方法 はワームホールを発見することだろう。今回は、期待を抱かせる話であった。
しかし、始まったばかりでうまく行くはずはないのである。見つかったワーム ホールは超小型で、小型探査機が通れる程度のもので、しかも、出口には宿敵で あるロミュラン人がいたのである。話の進行は割愛するが、このワームホールは 空間を結ぶだけでなく、時間も結んでいたという複雑な結末になるのである。
ワームホールは劇場版スタートレック1で登場するのだが、その時は通常空間に 存在する異常な空間というだけで、詳細はあまり説明されていなかった。復帰し たばかりのカーク船長がワームホール内で失策を犯す悲しいエピソードが思い出 される。また、私の嫌悪するDS9は巨大なワームホールが舞台になっていた。

第7話 Ex Post Facto (殺された者の記憶)☆StarDate:
殺人罪の罰としてこれほど残酷なものはない。14時間ごとに殺人を犯した瞬間の 被害者の記憶が再現される、死者の記憶移植が取り上げられる。この刑は生涯に渡 って執行され続けるというものである。今回は、パリス大尉がある陰謀に巻き込ま れて、死者の記憶移植の刑に処せられるところから始まった。
サイドストーリーはドクターの名前をつける話とケスの医者修行がある。
監督はTNGのジョーディ、レバー・バートン。

第8話 Emanations (来世への旅)☆StarDate:
特異な死生観を持つ惑星(死生観は特異に決まっているか)に転送されたキム少尉の物語。

第9話 Prime Factors (転送4万光年)★StarDate:
このシリーズの底流となる帰郷への切望が話題となる。惑星連邦の"prime directive"艦隊の誓いが 逆説的に取り上げられる。遙かに進歩した星の高度な技術がもたらす軋轢は、クルーの思いを様々に 刺激する。

第10話 State of Flux (裏切り者)☆StarDate:
デルタ宇宙域での強大な種族ケイゾンに、ある技術を供与することを条件に帰郷を計ろうとした クルーが出てくる。

第11話 Heroes & Demons (英雄伝説)★StarDate:
存在概念の大きく異なる生命体とのコンタクトが主題であるが、邦題をつけた方も多分誤解された ように、難解なテーマであった。TNG第175話Emergence「知的生命体エンタープライズ」と ほぼ同種の概念であろう。こういうテーマを時に取り上げるのでゴジラ映画がSFだと 勘違いされている方にスタートレックが嫌われるのでしょう。と言いつつ、この作品には ★をつけた。スタートレックでは頻繁に取り上げられるテーマだけに、辛口の批評と なってしまうのもご容赦を。

第12話 Cathexis (幽体離脱)☆☆StarDate:
チャコティ副長の不可解な精神性と相まって、邦題の付け方は非常におもしろかった。

第13話 Faces (二人のトレス)☆StarDate:
またしてもPhage種族が登場して、種族保存のためにトレスの中のクリンゴンの遺伝子に注目する エピソードである。とにかく医学関係の技術はすばらしい進歩を遂げているだけに怖い。
今回はTOSの"The Enemy Within"「二人のカーク」でも取り上げられたテーマで、設定そのものに 斬新さはなかった。

第14話 Jetrel (殺人兵器メトリオン)☆StarDate:
デルタ宇宙域の惑星間戦争のエピソードであるが、ニーリックスの母星が舞台となったものである。 この話を通じて、ニーリックスの人間性が語られる。

第15話 Learning Curve (バイオ神経回路)☆StarDate:
第1シーズン最後のエピソード。そろそろ連邦士官とマキの確執も大詰めかと思わせるストーリー。 厳格なアカデミーの教官であったツボックが反抗的なマキのクルーを教育するという話。
サイドストーリーとして、ヴォイジャーのコンピュータシステムに生物の神経回路が使用されて いることが説明される。コンピュータウィルスといえば、プログラムのことを指すものであるが 未来では、本当のウィルスにも冒されるのだという。



第2シーズン

第16話 The 37's (ミッシング1937)★StarDate:
1937年の地球の各地から拉致されてデルタ宇宙域で強制労働をさせられていた人々がいた というエピソード。いきなり宇宙空間にフォードが浮遊しているシーンから始まったのには 驚かされた。

第17話 Initiations (ケイゾン戦士誕生)★StarDate:
デルタ宇宙域での真打ち的な種族の登場はもっと後になるのだが、しばらくはケイゾンが当面の 強敵ということだろうか。敵役としてはクリンゴンほど獰猛ではなく、ロミュランほど狡猾では なく、雰囲気としては風呂嫌いなカーデシアというところか。まだまだケイゾンの正体は未知だ が、今回はケイゾンの子供が焦点となっている。

第18話 Projections (ホログラム)☆☆☆StarDate:
ジョナサン・フレークスが監督した作品。彼の監督作品はやはりひと味違う。収拾のつかない 特異な状況を作りだして、それをどのように解決するかという困難なストーリーを撮らせたら 彼の右に出る監督はないだろう。さらに、TNGファンにはお馴染みのバークレーも登場する。 ここまでのシリーズ中、最高傑作であろう。TNGの第138話"Ship in a Bottle" 「甦ったモリアーティ教授」を彷彿させる。

第19話 Elogium (繁殖期エロジウム)☆StarDate:
オカンパ人の種族生理と、宇宙空間にで棲息する生命体とがリンクするエピソード。

第20話 Non Sequitur (現実への脱出)☆☆☆StarDate:
朝目覚めると、キム少尉は切望していた帰郷が叶っていたという冒頭シーンは衝撃的だった。 しかし、時空の変調という深刻な事態が待っていたのだ。
24世紀の地球の各地が紹介されて、楽しめる話でもあった。

第21話 Twisted (空間変動波)☆☆☆StarDate:
空間が歪むとどうなるかという命題をコミカルに、そしてシリアスに描く秀作。万策尽きるところ まで追いつめられて、結局クルーはどういう最期を選択するかという切り口はスタートレック 史上初めての試みである。アメリカ映画のヒーローは決して諦めないと言うスタイルを 頑強に守ることは、スタートレックも例外ではなかった。しかし、Native americanの 精神も取り込むとこうなるのだろうか。

第22話 Parturition (地獄の星)★StarDate:
ジョナサン・フレークス監督だということで大いに期待して鑑賞した。邦題の意味は想像を相当に たくましくしても、不明。私個人としては興味のない話であった。

第23話 Persistence of Vision (ボーサ人の攻撃)☆StarDate:
これぞスタートレックらしいエピソード。相変わらずセンスのない邦題に惑わされてはいけないと 分かっていても、ついつい画面に映されては影響されてしまうもの。テクノロジーを簡単に突き 破るものは、精神の他にない。内なる精神の強さとは何かを問いかける残酷な話であった。

第24話 Tattoo (天の精霊)☆☆StarDate:
今回はチャコティ副長の額の入れ墨の理由がテーマとなったもの。7万光年の彼方の種族が 数万年前の地球を訪れ、その種を残してきたという話は少々陳腐だった。このシリーズの中で 取り上げられること自体、唐突の感が拭えない。まぁしかし、何か言い残したような終わり方が 今後に続くようで、後味はよかった。それにしても、ヴォイジャのエネルギー不足はいつになったら 解消されるのだろうか?
サイドストーリもおもしろかった。患者の気持ちが分からないと言う批判を受けたドクターが、 風邪を体験するプログラムを実行する話。ケスのいたづらで仮想体験は意外な結末を迎えるのだが、 チャコティの精神風土を解き明かす本筋の堅さをほぐす意味でも愉快だった。

第25話 Cold Fire (管理者サスピリア)☆☆StarDate:
そもそもヴォイジャをこの苦難に満ちた旅へに招いた張本人の「管理者」の種族が登場する。さらに、 ケスと同じオカンパ人の超能力が明かされていく。短命なオカンパ人の持つ底知れぬ力が、純真なケス の現在の姿とシンクロしないことが、不気味な将来を予感させる。
デルタ宇宙域の強力な種族がここまででも相当登場したが、まだまだ悪の権化ボーグが 出てこないというのも不気味だ。しかし、これほど強力な種族がいるデルタ宇宙域で どうしてボーグは征服を続けられたのだろうか。

第26話 Maneuvers (ケイゾンの謀略)★StarDate:
第10話「裏切り者」以来のセスカが登場する。強力なテクノロジーアドバイザーとして再登場した セスカはカーデシア人の風貌も戻って、本領発揮と言うところか。チャコティ副長との確執もまだまだ 続きそうな意味深長なエンディングといい、シリーズの展開の行方が楽しみなエピソードであった。

第27話 Resistance (レジスタンス)★StarDate:
突然エネルギー源となる物質を求めるストーリにも戸惑ったが、何よりも新しい惑星に安易に 転送降下するのは「艦隊の誓い」に抵触しないか。などなどつまらないことに拘っているうちに 時間は過ぎてしまった。

第28話 Prototype (ユニット3947)☆☆StarDate:
ジョナサン・フレークス監督作品。佳作だった。人と機械とのひとつの結末が描かれていた。 もっとも機械によって抹殺された種族の話は少々古典的過ぎるのだが。劇場版スター トレックの原典ともいえる、TOS第37話The Changeling (超小型宇宙船ノーマッドの謎) では機械を作った人間の意図が歪んだ形で機械にプログラムとして残っていった悲劇が 描かれたが、この作品も同様であろう。もう一つTOS第22話 The Return of the Archons (ベータ・スリーの独裁者)では優しい人間の意志を正しく理解したコンピュータに によって、逆に人間が衰退していった社会が取り上げられていた。機械と人間は、 本来上下関係にあるという持論を持っている筆者であるが、一見人間的な振る舞いを 見せる機械に対してヒューマニズムの錯誤が起こることも避けられないことなの かもしれない。TOSではこの種のエピソードが多かった。

第29話 Alliances (和平協定)★StarDate:
今回のエピソードに限らず、どうも筆者はケイゾンが好きになれない。クリンゴンほど暴力志向が徹底してなく、 ロミュランほど狡猾でもなく、カーデシアのように冷徹でもない、つまりまだまだ種族としての色彩が乏しい のだ。従って、ケイゾンが登場するたびに幻滅を感じるのである。ついでに言えば、セスカも好きではない。 悪役にもっと徹してほしいものだ。そうすれば、愛らしさも出て来るというもの。

第30話 Threshold (限界速度ワープ10)☆☆StarDate:
ワープ10は決して越えることの出来ない限界速度だという話は詳しく知らなかったが、どうやら 光速に達すると時間が停止するという例の理論とは違って、ワープ10に達すると空間が拡がりを 失うらしい。つまり、同じ時間に同時に無限の空間に存在できるということらしい。ともかく、 その理論を検証するエピソードだった。SF理論の取り上げ方はおもしろかったが、 結末が卑近だったので☆は2つ。TNG第2話Where No One Has Gone Before(宇宙の果てから来た男) では70万光年を一気にワープする「思考」と融合した科学が紹介されたが、それに 比べると、折角のテーマを生かし切れてないという印象を受けた。残念。本来ならば Where No One Has Gone Beforeというスタートレックの永遠のテーマを継承できる だけのエピソードになり得たと思うのは筆者だけだろうか。これでは、TNG第163話 Parallels(無限のパラレルワールド)程度の活劇ではないか。

第31話 Meld (殺人者スーザ)☆StarDate:
平静な精神制御能力を誇るバルカン人ツボックと、暴力的精神に冒されたテレパシー能力を持つ ベタゾイド人スーザが精神融合をした結果、ツボックに激しいダメージが現れる。理性と暴力性 の平衡を保つことの意味を問う力作であった。確かTOSでもスポックが同様の体験をする 話があった。その時は、医療ではなく自力で克服したと記憶している。それにしても、 ツボックの語るところによるとバルカン人として生きていくことは並大抵ではないらしい。 スポックは地球人との混血であったが、ツボックは真性のバルカン人という設定だから 語る言葉は重い。今回の作品の評価が低いのは、物語が平坦すぎたことによる。もっと 練れたはずだ。

第32話 Dreadnought (惑星破壊ミサイル)☆☆StarDate:
TNGのジョーディ・ラ・フォージ(LeVar Burton)監督作品。いかにもエンターテインメントという おもしろい作品だった。超弩級戦艦の代名詞ドレッドノートをタイトルにしただけあって、相手は 超強力だった。もともとカーデシアがマキの基地を惑星規模で破壊することを目的として建造した 兵器だったが、たまたま不発に終わったものをトレスが再プログラミングし、逆にカーデシアを標 的にして再発射されたものだった。バッドランドで管理者によってデルタ宇宙域に飛ばされたとき に一緒に運ばれたものだった。
すばらしいエンジニアのトレスがあらゆる敵の謀略に備えてプログラムしたコンピュータは、間違 った標的を設定し攻撃態勢に入る。トレスが止めようと説得するが、トレス自身が敵に脅迫された と推定したコンピュータはコマンドを受け入れない。
理屈抜きでわくわくさせられる、この手の話は筆者のもっとも好むところである。

第33話 Death Wish(Q1 Q2)☆☆StarDate:49301.2
ジョナサン・フレークスが特別出演していた。
Qが一人だけでも大変なのに、2人も登場するエピソード。Qについてかなり詳しい説明がされるが それでも、やはり不明な種族だ。はっきりしたことは、普通の種族が進化して現在の状態に至ったことだ。 特別な存在ではなく、遙かな進化したと言うだけのことだった。時空を自在に操り、宇宙の全知識を 身につけながら、なお、問題を抱えているという。
今回登場したQはTNGの頃に比べて、ずいぶん分別があったように思われた。会話の中にピカード艦長の 話もでてきて、楽しく見ることができた。
なお、今回のエピソードは宇宙歴49301.2ということで、TNGのTV用ミッションは47988.0 で終了している。 劇場用Star Trek: Generationsは宇宙歴48632.4で、その時エンタープライズD型は大破している。そして 49827.5にエンタープライズE型が就航し、Star Trek: First Contactは50893.5であった。だから、今回 デルタ宇宙域に強制的に呼び出されたライカ副長は、E型就航前の比較的平穏な時期であっただろうと、 推測される。
47988.0 TNGのTV用ミッション終了
48632.4 劇場用Star Trek: Generations D型大破
49301.2 今回のエピソード
49827.5 エンタープライズE型就航
50893.5 劇場用Star Trek: First Contact


第34話 Lifesigns (ドクターの恋)StarDate:
ヴィディア人(Viidian)の医師ダナラ(Danara)は、フェイジが極度に進んだ瀕死の状態で漂流しているところを ヴォイジャに救われた。これまで、敵対することばかりのヴィディア人と、初めての密な接触が行われるエピソード。

第35話 Investigations (パリスの裏切り)StarDate:
最近、不自然にパリスが反抗的だと思っていたら、ヴォイジャでの生活から離れたいと 言い出した。そして、たまたま遭遇した船に移って、去っていったのだ。やはり、奔放な 性格のパリスには艦隊士官としての規律優先の生活は無理だったのか。と、思ったら・・・

第36話 Deadlock (二つのヴォイジャ)StarDate:
空間の歪みのせいで、ヴォイジャはクルーごと複写されてしまうというエピソード。 どちらも、全く同じもので、しかもどちらかが犠牲にならなければ、助からないという このシリーズによく出てくる展開だった。TNGは何とか共存させることを基本にした 筋立てが多かったが、ヴォイジャのスタッフは冷厳な結末を好むようだ。

第37話 Innocence (怯える子供達)StarDate:
誕生から、徐々に若返って、最後には子供へ、そして赤ん坊から消滅へと特異な成長を する種族との遭遇を扱ったエピソード。精神的には人類も、年をとると子供に返ると 言われているが、それを肉体にも適用してみたという話だった。

第38話 The Thaw (悪夢の世界)StarDate:
恐怖という感情が支配する疑似空間で生存している種族を助けるために、クルーが 活躍する。惑星規模の災害で、星が生存可能な状態にまで復旧する間、コンピュータ に制御させて人工睡眠状態に入った種族は、星の状態をコンピュータに睡眠中も随時 報告させることによって、コンピュータと密接なリンク関係を保っていた。 しかし、人の精神の中から作り出された恐怖というが一人歩きを始めて、やがて破滅 に繋がるという話は、真実みがある。

第39話 Tuvix (ツーヴィックス)StarDate:
転送事故で一人が二人になるとか、少年に戻るとか、どこか異なるフェィズに行ってしまうとか、いろいろあったが、 今回は二人がある植物を触媒として融合するというエピソードであった。パターンは違っても、結局元に戻って めでたしめでたし、というのが常套なのだが、今回のはちょっと違っていた。ちょっとどころか次元の違う話であった。 融合して新たに誕生した人物はツボックとニーリックスの記憶と感情を持っていたが、人格は別のものだったのだ。 となると、分離してもとに戻すためには、現に生きている人格を殺さなければならないという、問題が起こってくるのだ。 分離する技術的な問題が解決しても、殺人という解決できない問題が立ちはだかってくるのである。二人の生のために 一人の死を必要とするという残酷な命題に決着をつけるのが艦長の権限なのかどうかという別な視点からの問題も あり、ジェインウェイ艦長は苦悩する。
冷静沈着なバルカン人ツボックと感情豊かなタラクシア人ニーリックスが融合すると、圧倒的な知性にきめ細かな 感性を持った素晴らしい人格が誕生するというコミカルなプロローグが、やり場のない凄惨なカタストロフィに 連鎖していくとは想像もしなかっただけに、この作品にシリーズ屈指の名作という評価を与えざるを得ない。

第40話 Resolutions (ヴィディア人の協力)StarDate:
調査に降りた惑星で未知の虫が媒介するウィルスによって、危険な状態になった艦長と副長を残して、 クルーは地球への旅に立った。二人はその惑星にいる限り存命できるが、惑星を離れると生きられない という状況で、やむを得ないことだった。ツボックが新艦長となり、ヴォイジャはやがて、通信圏外へ 離れていく。
ツボックはバルカン人の冷徹さで、地球へ帰還するという任務を続行しようとするが、クルーの間では 未知の惑星に残された二人を救出するために、医療技術の進歩したヴィディア(Vidian)人とのコンタ クトを主張するものが続出する。ヴィディア人はフェイジという難病に種族全体が侵されていて、生き 延びるために他の種族の臓器を略奪することを厭わない種族だった。

第41話 Basics part1(ケイゾン総攻撃 パート1)StarDate:
ケイゾンの一員となったセスカの謀略で、ヴォイジャはこの旅最大の危機に瀕することになる。 第2シーズンの最後を飾るにはあまりにも凄惨なストーリであった。ヴォイジャはケイゾンの 手に落ちて、クルーは荒涼とした惑星に置き去りにされてしまったのだ。

第42話 Basics part2(ケイゾン総攻撃 パート2)StarDate:
ヴォイジャに残ったのはホログラムドクターと監禁中のスーダ、そして助けを求めてシャトルで 脱出したパリスの3名がどんな手を打ってくるか楽しみにしていたのに、残念ながら不意打ちの テレビ放映時間変更でラスト15分を録画し損なった。これは、大失策だったが悔いてもどうに もならないので、次のチャンスを待つことにする。従って、エピソードガイドも未完。

第43話 Flashback(伝説のミスター・カトー)StarDate:
ツボックの過去の記憶がフラッシュバックして、80年前のスタートレック外伝風に ストーリは進む。しかし、今回のエピソードはスタートレックファンへのサービスを するためのものであろう。
何しろ、スールーがエクセルシオの艦長に昇進し、カーク達かつての仲間を救った、あの劇場版 スタートレック6のシーンが再現されるのだ。ツボックは初任務がエクセルシオの科 学士官だったことも明かされる。紅茶の好きなスールー(邦名はカトウ)にバルカンの お茶をサービスするツボック少尉、中佐に昇進しているランド(邦名はジェニー)は あまりにもお年を召されていて少々感傷的になってしまうだろう。
物語は、脳内に記憶という形態で寄生する生命体がツボックを冒していく形で 進行する。精神と肉体が密接な関連を持つバルカン人には、その種の寄生生物 は致命的な病となるのだ。

再登場していないのは、ウフーラとチェコフの二人だけとなってしまった。
他のシリーズに登場したクルーを少し挙げてみよう
カーク船長 劇場版でTNGに登場した。
スポック副長 TNGでロミュランとの友好関係樹立のため大使として登場
マッコイ TNGの第1回にちょい役だが提督役で登場した。
スコッティ 退役後事故に遭ったが転送装置の中に避難してTNGに救われた。
スールー VOYでツボックの夢の中に現れた。
ピカード艦長 DS9の第1回目に登場した
ウィル・ライカ副長 Qによってヴォイジャに呼ばれた
トム・ライカ DS9にウィルに扮して登場している。
ベシア TNGがDS9に立ち寄ったときに登場
オブライエン DS9のチーフエンジニアに配属された
ウォーフ DS9の戦術担当士官として転属を希望した
バークレー ホログラムドクター救出のためにホログラムという形で登場
ガイナン 劇場版7にTOSの時代人としても登場した。
ドクター(EMH) 劇場版9にTNGの時代の装備として登場した。
ディアナ VOYの救出技術に取り組むエピソードに登場。


第45話 The Swarm(ドクターのオーバーロード)StarDate:
TNGのデータがポジトロニックブレインの成長過程で、カスケード異常に悩まされたように ホログラムドクターも、想定外の進歩によってメモリ回路の異常を来してしまう。ホロ プログラムを初期化してしまえば簡単なのだが、そうするとこれまでの経験や人格も リセットされてしまう。単なる緊急用医療ホログラムドクターとしての機能を優先 させるか、クルーの一員としての人格を優先させるかでヴォイジャのクルーは悩む ことになる。


第81話 Message in a bottle(プロメテウスの灯を求めて)StarDate:
第6話Eye of the Needle(ワームホールの崩壊)以来のアルファ宇宙域との具体的なコンタクトが 取り上げられた。きっかけは、セブン・オブ・ナインの持つボーグ技術で各地の中継ステーション をハッキングすることによって、アルファ宇宙域の連邦船とのリンクが繋がったことによる。そこ には、改良型のEMHドクターがいた。初期設定のEMHは改良されても尊大で傲慢な姿勢を貫いていた。
TNG第138話 Ship in a Bottle(甦ったモリアーティ教授)を思い出させるタイトルだが、その中身 も意識を獲得したホログラムが主人公となる。TNGの場合はホロデッキから遂に出ることは出来な かったが、29世紀のテクノロジーを得ていたEMHドクターは実際にアルファ宇宙域に赴いて使命 を果たした。この時点で惑星連邦は初めてVoyagerのクルーが生存していることを確認することに なる。

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