日々折々

日々折々に思うことを書き連ねます

第16回 フルート奮戦記

 以前にマンドリンのことを書きましたが、今度はフルートです。楽器はYFL-31という初心者向けの古いものを引っ張り出して挑戦を始めました。本当は篳篥を吹きたかったのですが、肺活量が要ると聞いて敬遠しました。もともと5000mL以上あったのですが、疾患やら素行やら心構えやらで半分くらいになってしまったため、自信がなくてフルートにしました。小柄な女性でもフルート奏者はおられるので、何とかなるだろうと思ったわけです。
 弦楽器と違って、チューニング作業が不要というのも気に入った理由です。本当は気温や体温などで微調整を必要とするそうですが、当面一人で練習するだけなので楽器任せで行きます。3本の管部品を繋ぎ合わせたら、直ちに練習が始められる安直さは魅力です。弦楽器の場合は手早くチューニングを済ませたとしても、練習中に頻繁に修正が必要で、時間がないときにはチューニングだけで終わってしまうこともありました。

 さて、インターネットでフルートの運指表をググって、まずは音階の練習から始めました。大小取り混ぜて20以上もキーがあることに四苦八苦しました。指は10本しかないのに・・・と思っていたら、1個のキーを押さえただけで複数のキーが連動したり、必要なときだけ閉じれば良いキーとか、なるほど巧くできていました。まずはその辺の運指を憶えるしかありません。これにはずいぶん時間がかかりました。吹き方が悪くてちゃんと音が出ないのか、キーの押さえる位置が違っていて音が出ないのか、それを確かめるためにタブレット端末に表示した運指表と睨めっこする毎日でした。毎日約1時間、家人にあきれられながら練習をして、1ヶ月くらいしたらようやく曲に挑戦できるようになりました。
 YouTubeのサイトには、素人の方が自分の演奏を動画にして投稿されていますが、まだまだそんなことができるほど上達していません。しかし、とにかく運指を憶えたら多少音感のない人でも演奏できるというのはいいですよ。弦楽器はチューニングという音感を試される試練が待っているので大変ですが、管楽器は音が出せれば曲になるのです。そう言えば、全国津々浦々まで中学、高校と吹奏楽部はありますが、オーケストラはほとんど聞きません。そんなところも管楽器の安直さに助けられているのでしょうね。誤解しないでいただきたいが、管楽器は弦楽器より劣っているということを主張しているのではありません。音楽家の皆さんの妙なる響きと、素人が趣味ですることとは峻別して考えておかなければなりません。
 ビートルズの「イエスタデー」や「ヘイジュード」が吹けるようになった今、次なる課題曲はモーツァルトです。

 ところで、パソコンにまともな音源がなかった頃、ビープ音源でオクターブを発振するプログラムを書いたことがあるのですが、単純にオクターブを割り算して周波数を計算しても、何故なのか、微妙に音が違って聞こえるのでした。その頃は貧弱なPC音源のせいだとあきらめていたのですが、実は平均律という深遠な問題に無知な私には解決できないことだったのです。
 そういう問題とも無縁なフルートは、素人にとって快適な楽器なのです。

Night Nov 21 , 2013 綴


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