日々折々

日々折々に思うことを書き連ねます

第8回 マンドリン奮戦記

 マンドリンについては、実はよく知らない。「雑学」をテーマにしておいて、よく知らないと言って放擲するのも非礼と思われるので、少し考えてみることにした。
 ググっていただければ普通のマンドリンについての知識は誰でも手に入るので、少し角度を変えて取り上げてみる。まず、どういう理由であのような半球型のボディになったのか。その形状は音色と不可分のもの(と推定される)ので、得心する外ないのだが、それにしても扱いにくい。先ず、弦の張り替えをすることから始まるのは、すべての弦楽器に共通の通過儀式である。弦の種類などは各人の好みなのでここでは問わないが、初心者の筆者はライトゲージを迷わず購入した。近所の島村楽器に行くと、1セット8本で480円というのを勧められた。この店のオリジナルだそうだが、あまりに安いので1本480円の間違いではないかと2度も確認してしまった。2度目にはパッケージの中身を開いて確認していただいた。初心者用とは言え、何故このような価格なのか驚いてしまった。ちなみに、筆者は初心者とは言わずに、ただマンドリンの弦の棚を尋ねただけなのだが、若いスタッフはたちどころに見抜いたのであろう。脱帽。さて、張り替えを始めると、ボディの半球型が兎に角難物なのだ。留め具に弦の終端を引っかけようとすると、くるりと回転する。糸巻きに巻き付けるときに少し力を入れただけで、またまたくるりと回転する。膝の上に乗せただけではとても安定しないのだ。とは言え片手で楽器を押さえながら弦を所定の位置に通していくことは至難の業なのだ。  次はチューニング。小さな筐体なのに8本も弦があり、しかも2本がセットになっている。つまり2本は完全に同じチューニングをしておくことが求められる。もともと絶対音感も平均律を聴き熟す耳も持っていない筆者にとっては、気の遠くなるような調弦だった。なんとか調弦が済んでも、安物の弦のせいか(島村楽器さん失礼)、マンドリンの作りや材質のせいか、エアコンのせいか、弦の張り方の拙いせいか、それぞれの複合的な原因なのか、すぐに調弦は崩壊してしまう。フレット楽器に限らず弦楽器の宿命と言えばそれまでだが、なんとかならないものか。
 そこで、考えたこと。サウンドホールに関係する部位は永遠にアナログの世界だと同意するが、ネックの内部に装置を仕込めないものか。つまり市販のチューナーというものの回路とモーターを内蔵させると言うことだ。電源は充電式のバッテリーで、オートモードにしておくだけで、常に各弦のチューニングを監視するという装置である。人間は、弦を張るという行為をするだけで、後は演奏中でも全自動でチューニングをしてくれるというメカニズムである。案外売れるのではないだろうか。楽器店で多種のチューナーを見ていての感想である。
 ついで、譜面もipadなどのタブレット端末に、音楽の進行監視をやらせて、必要な時に楽譜のページを捲るように画面を切り替えるというアプリはどうだろう。無理なら、kindleのような軽くタッチするだけで切り替えるというのでもいい。これなら、今すぐでも出来そうだ。・・・もう譜めくりソフトというのは存在しているのだろうか。寡聞にして知りません。因みに意匠だけでは特許を取れないことは承知しているので、どなたか実物を開発して特許をお取り下さい。あれば筆者は必ず使います。ただし、数万円などという法外な価格設定をされれば話は別ですぞ。違法コピーとソフトウェアの価格設定については、別項を立てたいと思っています。

 マンドリン奮戦記はまだまだ続くのだが、現在は左手の指先が腫れてしまって小休止です。先達に聞いてもこの対処法は「慣れ」だけのようです。痛くても弾き続けて、タコができるのを待つのみです。サイモン&ガーファンクル編曲の「コンドルは飛んでいく」を弾いてみたいというささやかな望みはまだ継続中なのです。


Night Aug 17 , 2013 綴


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