(ご注意ください)

このお話はR18相当の性的な表現があります。

嫌悪感を抱かれる方にはおすすめできません。

大丈夫な方だけ↓へスクロールして下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いつから好きだったのか』という問いには答えなかった。

かわいらしい抗議の声を全て聞くことなく、

俊は自らの口で蘭世の口を塞いでいた。

そのまま体重をかけて、更に深く口づけていく。

スローモーションの様に二人は布団へ倒れ込んでいった。

毛先にかけて緩やかな波をうつ蘭世の黒髪が、漆黒の翼を広げたように広がった。瞬間、使い慣れたはずのシャンプーの香りが蘭世から匂い立ち、

思わず俊は息を呑む。

 

急く気持ちが無骨な指を震えさす。

不器用な指先がなお一層もどかしく、呪わしく感じられるほど。

いっそ乱暴に引きちぎりたい気持ちをかろうじてこらえつつ、

蘭世のパジャマのボタンを外していく。

少しずつ露になっていく白い胸に、目がくらみそうになった。

 

「真壁くん…電気…消して…っん」

 

俊は答えない。

何度も離れては、また口づける。

角度を変えては啄むように、あるいは噛み付くように。

鼻先に、髪に、唇に。深く、熱を帯びて。

束の間解放された蘭世は空気を求めて、口を開けた。

呼吸というよりも、すでに喘ぎに変わっていることに蘭世は気づいているだろうか。

割り込むように俊は舌を割り込ませ、唇をなぞり中をかき乱す。

片手でようやく最後のボタンを外した。

キスだけでこんなに頭がくらくらするなんて、先が思いやられる。

 

蛍光灯のもとに晒されてしまった白い胸を、

蘭世は慌てて両手で自らの身体をかき抱くように隠す。

しかしそれよりも早く、俊の両手が蘭世の両方の手首を掴んでいた。

力で蘭世が敵うはずもない。

恥ずかしくてたまらなくて、身体を捩ればその分素肌が露になる。

その様子を何も言わず、俊は蘭世を見下ろしている。

 

「真壁くん、は…恥ずかしいよう…」

 

懇願するような潤んだ蘭世の瞳と目が合う。

中途半端に見える肌はやけに扇情的で、理性の箍が外れていく。

夢の中では何度も組みしいた蘭世の身体が、現実と重なって俊を誘う。

俊は蘭世の両方の手をほどき、自分もTシャツを脱ぎ捨てた。

 

見慣れたというには語弊があるが、

俊の裸の上半身は何度だって見たことがある。

なのに今、見上げる俊の身体は眩しくてどこか色めいていて、

恥ずかしくて俯きたくなるのに、目を逸らせない。

自分の身体を見られているから恥ずかしいのに、

身体のどこかが熱くなっていく、そんな自分も恥ずかしくてたまらない。

 

「人の入浴中に入ってこようとしたヤツがよくゆーよ」

「だ、だって…あれは…っ」

 

顔を赤らめて必死な様子の蘭世に、つい唇を歪めた意地悪そうな笑顔になった。

それ以上の言葉など、何一つとして聞く耳を持たない俊は、

また蘭世の言葉を封じる。

蘭世が合間に息を継ぐのに精一杯になっても、

俊の唇は更に力を強めて蘭世を解放しない。

 

俊の舌が口の中が暴れて熱くて、蘭世はぎゅっと目を瞑った。

こんなに激しいキスがあるなんて、知らなかった。

思わず漏れた甘い声が、自分のものとは思えずに蘭世はただ戸惑う。

どこかがむず痒いような、泣き出したくなるようなヘンな気持ちになる。

そしてお互いの口から発せられる音が、こんなにいやらしいものだなんて。

だけど離れて感じる唇の冷たさが寂しくて、もっともっとと思ってしまう。

 

俊は一呼吸おいて蘭世の首筋を舌先でなぞり落としていく。

時折、強く吸っては朱の痕跡を残して。

蘭世の吐息がぐんと甘さを増す。

我慢しきれずに漏れ出た声は切な気に、俊の情欲を駆り立てる。

片手で頬を包み、もう片方の手はそれよりもっと柔らかな胸に指を沈ませた。

胸の先端を軽く摘むと、そこはもう硬い蕾に変わっていて、

俊は口に含んで舌先でころがした。

甘くて、脳の奥が痺れる。

わざと音をたてて吸うと、

頬から髪を梳くように撫でていた手が待ちきれないとばかりに、

手を下へとのばした。

 

「や…あ…んっ…」 

蘭世は恥ずかしそうに眉根を寄せる。

俊の指先が触れた瞬間、顎を仰け反らせた。

そこは下着の上からでも十分わかるほど、濡れてしまっていた。

花びらのラインをなぞるだけで、またじゅわりと滲み出てくる。

指を縦に往復させて刺激を続ければ、

下着としての意味を全くなさなくなったただの布切れになり、

その横から指を差し入れると、溢れ出る源へ指を入れた。

蘭世の中はとてもきつくて、奥へ進もうとする俊の指を阻む。

浅い抜き差しを繰り返し、少しずつ奥へと進めていく。

長い指を鍵状に曲げ、とん、とあたる壁を擦ると、

蘭世の身体が仰け反り、弧を描く。遅れて髪が揺れた。

時々入り口に戻っては溢れる蜜を、最も敏感な場所へ塗り付けて刺激を繰り返す。

狭い道は俊の指を一本から二本と少しずつ受け入れ、

もう異物とは見なさなくなっていた。

 

「…んんっっ…や…」

泣きそうで苦しそうなその表情だけで、

ぞくりと背筋を駆け上ってくるものを感じてしまうなんて、

自分は非道い男なのかもしれない。

俊は蘭世と指を組み合わせ、ぎゅっと握った。

 

「怖いか?」

 

事前に集めた情報によれば、これから先に待ち構えているのはとても痛いらしい。

でもとても気持ちイイらしい。

何が本当なのかわからないけれどーーー

 

蘭世は俊の肩に手をまわし、しがみつく。

互いの肌の温度が心地いい。

こうやってぴったりくっついているだけでも、充分幸せなのかもしれない。

だけど、だけどーーーーー

 

「もっと、真壁くんとひとつになりたいの。だから、その…大丈夫…」

 

蘭世はおずおずと見上げて、いつもの笑顔を見せる。

 

「………」

 

「真壁…くん?」

 

俊は片手で自分の口を覆い隠し、今までにないくらい顔を赤くしていた。

 

「へ!?なんで…」

 

「破壊力、半端ねえな…」

ぼそっと呟いた後、蘭世の両頬を包み込む。こつん、と額をあてた。

 

「たぶん、加減できないと思うから。ゴメンな」

 

 

 

 

 

明かりが消えた部屋で、二人は肌を隠す全てを取り去った。

 

吐息が絡まり合い思考すらも溶けて、もはや言葉にならない。

相変わらず腹部の圧迫感は消えず、

身体を中心から穿つ痛みも無くなってはいない。

それなのに幸せすぎて涙がこみ上げてくる。

 

嵐のように蘭世の身体を翻弄していた俊の動きが、はたと止まる。

そっと手をのばし人差し指で涙の雫を払う。

「悪い。無茶させたか」

「……っ」

 

違うのだと蘭世は言いたかったが、喉の奥で引っかかって言葉が出てこない。

鼻の奥がつんと痛む。精一杯の意思表示として緩やかに首をふる。

涙の玉が膨らんで、またはらりはらりと落ちた。

 

どうしよう、どうしたら伝えられるのだろう。

こんな気持ちを。術のない蘭世は俊を見つめる。

どこか不安そうにこちらを見る俊の瞳が切ないほど愛おしくて、

蘭世は手をのばし俊の頬を両手で包むようにして、そっと口づけた。

ほんの一瞬ほど触れただけの軽いキスの後、蘭世は微笑んで再び俊を見つめた。

 

蘭世の涙も微笑みも幾度となく見てきた俊だったが、

これまでのどの表情よりも俊の心にダイレクトに飛び込んできた。

どきんと心臓が跳ねた。

そして血液が体中を巡るように俊の体中を愛おしさが駆け巡る。

反射的に俊は蘭世の背中に手をまわし、抱き起こした。

そして先ほどの蘭世からの口づけとは対称的に激しく、

舌を割り込ませては唾液も、

喘ぐ声すらも全て絡めとっていくように、むさぼり奪い取っていく。

艶やかな黒髪の中に滑りこませていた手は、

再び身体のラインを足早に撫でて、

濡れてぷっくりと膨れてしまった肉色の真珠の粒を、

柔らかく押し潰すようにぐりぐりと押す。

 

蘭世は背中を反らせて身体を震わせるが、声はまだ奪われたままで苦しそうに、

でもどこか甘やかな息を漏らしながら身体を捻り、

たまらず俊の腰を太ももで挟む。蘭世の襞が痙攣している。

それまできつく締め付けていた蜜路が緩み、遂に俊を最奥まで招き入れた。

 

「う…わ…熱い…」

 

ほんの少し動かしただけで絡み付く中は、目眩がするほどの快楽を与えて、

俊にもうじき迎える絶頂を告げる。

しかしそれを無視して更にスピードをあげる。

ようやく解放された蘭世の声が一層艶やかな色に変わった。

 

ーーーーー好き…真壁くん…大好き…

 

それは意識を白く飛ばす寸前、蘭世の唇から零れた言葉なのか。

日頃から彼女の心を読ないよう心に閂をかけていたものが、

自制がきかずに扉ごと壊してしまったからなのか。

わからないまま、俊は熱を放出させた。

 

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