大阪高等学校全寮歌



東天紅(トウテンクレナイ)を染める金剛の峰にこれを嘯(ウソブ)かば
天下の堕眠一時に破れ夕日沈む茅渟(チヌ)の海に
これを呼ばば魑魅魍魎も影を潜めん
いざ歌わんかな大阪高等学校全寮歌

一.
嗚呼黎明(レイメイ)は近づけり
嗚呼黎明は近づけり
起てよ我が友自由の子
帝陵山下の熱血児
侃諤(カンガク)の弁地をはらい
哲人の声消えんとす

二.
嗚呼暁鐘(ギョウショウ)は鳴り響く
嗚呼暁鐘は鳴り響く
三州(サンシュウ)の野(ヤ)に殷々と
強き響きを伝えつつ
旧殿堂の奥深く
眠れる魂(タマ)を醒ますべく
三.
城南高し三層楼
篭れる理想を誰か知る
美酒玉杯に耽りたる
愉安(トウアン)の世を低く見て
文を学び武をば練る
五百の健児君見ずや
四.
橄欖(カンラン)咲いて海青し
アテネの街の春の色
七丘の森秋更けて
ローマの古都に月高し
歴史は経(フ)れどオリオンの
三つ星いまだ光あり
五.
それ青春の三春秋
交(カタミ)に友と呼びかわし
君が愁いに我は泣き
我が喜びに君は舞う
若き我等が頬に湧く
その紅の血の響き
六.
紫匂うローレルの
葉蔭に宿りし美鳥(ウマドリ)が
一度目醒めて羽搏たかば
彼の大空(タイクウ)に勇姿あり
友よあふるる若き日の
希望の果てをいざや見ん
希望の果てをいざや見ん

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