「う回定期」って何?

 みなさんは、「う回(迂回)定期」を知っておられますか?
 通勤定期券は、ふつう、「発駅」から「着駅」の最短経路で使用するものですので、その経路上の駅ならどこでも乗り降り可能です。でも、経路外の区間で乗降すると、そのたびに初乗り料金200円以上(同じ駅からもう一度乗ると、計400円)の乗り越し運賃が必要となります。
 例えば、天王寺(御堂筋線)から動物園前で堺筋線に乗り換えて、扇町まで通勤しているけど、梅田にもしょっちゅう用事がある、といった場合、定期券を「天王寺→(動物園前)→扇町」(6.9km=2区、1ヶ月定期9110円)と買っていれば、梅田に行くたびに、乗り越し料金(200円)を払わなければなりません。
 でも、ここで、「う回定期」という技があります。
 例えば、「天王寺−(御堂筋線)→梅田・東梅田−(谷町線)→天神橋筋六丁目−(堺筋線)→扇町」(10.0km=3区、1ヶ月定期10210円)の経路で定期券を買えば、1100円高くなりますが、梅田まで乗り越しすると1回あたり最低200円(もう一度乗ると計400円)以上かかりますから、月に3回以上、梅田に行く用事があれば、十分元がとれます。
 それだけでなく、梅田以外でも、経路上のなんば、心斎橋などでも定期券で自由に乗り降りできるようになります。

 買い方は簡単、「定期券購入申込書」の「乗車区間」欄に「天王寺駅から扇町駅まで(梅田・天神橋筋六丁目 経由)と書けばいいのです。
 そうすると、定期券発売の係員の方が、発券機に「天王寺、梅田、東梅田、天神橋筋六丁目、扇町」と順番にボタンを押して、まんなかに赤字で「う回」と印字された定期券を発行してくれます。

 このような買い方は、原則として「2回以内」の乗り換えで、「環状とならない経路」の場合、可能となります。(上記の例の場合、「梅田」「天神橋筋六丁目」の2回の乗り換えとなるのでセーフ。)
 乗り換えが「3回」となる場合は、原則として「う回定期」は発行してくれません。(ただし、以下の区間においては、「3回以内」の乗り換えが可能)
発(着)駅着(発)駅
大国町、花園町以遠、玉川以遠都島以遠
玉川以遠中崎町
中崎町、都島以遠大阪ビジネスパーク以遠

 でも、一見すると、通勤で使う区間のうち、「動物園前−(堺筋線)−扇町」の間は「経路外」なのだから、「不正乗車」になるのでは、と思われるかたもあるかもしれません。
 もちろん、、「動物園前−(堺筋線)−扇町」の間は区間外なので、定期券で外に出ると、「乗り越し」扱いとなって、200円以上必要となります。
 でも、下に引用した「大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程」の第54条「乗車券の効力の特例」の第4号にある、「定期券を使用する乗客が途中乗降することなく、指定経路外を乗車する場合」は「前条の規定(乗車券は、特に指定したものを除き、最短の経路で乗車するものとする)にかかわらず使用することができる。」の条文が適用され、不正乗車とはならないと解釈できます。

 以上の説明の根拠条文を以下に列挙しましたので、参考としてください。

 ただし、もし使用に不安がある場合は、大阪市交通局の職員の方に直接おたずねになることをおすすめします。


大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程

昭和46年5月1日
(交)規程第22号

(通勤定期券の発売)
第29条 通勤のため乗車する者、その他常時、区間及び経路を同じくして、順路によって乗車する者が、通勤定期券購入申込書に必要事項を記入して提出した場合は、次の各号の条件を満たすものに通勤定期券を発売する。
(1) 乗換回数 2回以内(住之江公園での乗換えは含まない。)ただし、次の発着区間については、3回乗換えとすることができる。
発(着)駅着(発)駅
大国町、花園町以遠、玉川以遠都島以遠
玉川以遠中崎町
中崎町、都島以遠大阪ビジネスパーク以遠
(2) 環状とならない経路

(料金計算上の原則)
第39条 料金は、対距離区間制とし、乗客の乗車する発着区間のキロ程によつて次のとおり区分する。
1区 3キロメートル以下
2区 3キロメートルを超え7キロメートル以下
3区 7キロメートルを超え13キロメートル以下
4区 13キロメートルを超え19キロメートル以下
5区 19キロメートルを超えるキロ程
2 前項のキロ程の計算は、最短の経路による。ただし、最短経路によりがたい場合は、乗車経路により計算する。
3 前項の計算に用いるキロ程(以下料金計算キロ程という。)は、営業キロ程とする。ただし、料金調整上、これによりがたい区間にあつては、特定キロ程を用いることができる。

(各駅間の料金区数)
第42条 各駅間の区数は、別表2に定めるとおりとする。ただし、う回経路による場合は適用しない。

(乗車券の効力)
第53条 乗車券は、乗車人員及び乗車回数を記載したものを除き、1券面をもつて1人が1回に限り、その券面表示事項に従つて使用することができる。ただし、定期券及び共通一日乗車券については、その使用回数を制限しない。
2 乗車券は、乗車以外の目的で乗車場に出入場するために使用することができない。
3 乗車券は、特に指定したものを除き、最短の経路で乗車するものとする。

(乗車券の効力の特例)
第54条 乗車券は、次の各号に掲げる場合は、前条の規定にかかわらず使用することができる。
(4) 定期券を使用する乗客が途中乗降することなく、指定経路外を乗車する場合


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