不連続な読書日記(2007.4-5)



【読了】

●井筒俊彦『東洋哲学覚書 意識の形而上学──『大乗起信論』の哲学』(中公文庫:2001.9.25/1993)
●沢木耕太郎『危機の宰相』(魁星出版:2006.4.10)
●魚住昭『官僚とメディア』(角川oneテーマ21:2007.4.10)
●佐高信・岸井成格『政治原論』(毎日新聞社:2006.11.30)
●梅田望夫・茂木健一郎『フューチャリスト宣言』(ちくま新書:2007.5.10)
●トマス・ハリス『ハンニバル・ライジング』上下(高見浩訳,新潮文庫:2007.4.1)
●レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』(村上春樹訳,早川書房:2007.3.10)
●さそうあきら『神童』1〜3(双葉文庫:2003.12.25)
●草凪優『微熱デパート』(双葉文庫:2004.11.20)
●草凪優『晴れときどきエッチ』(双葉文庫:2006.5.20)
●『恋は五・七・五!』『ハチミツとクローバー』『博士の愛した数式』『THE有頂天ホテル』『トニー滝谷』『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』
●『ダ・ヴィンチ・コード』『ロッキー』『ロッキー2』『ロッキー3』『ロッキー4』『ロッキー5』『ローマの休日』『北北西に進路を取れ』『ザ・センチ ネル』『ブレードランナー最終版─ディレクターズカット』


【購入】

●ジョルジョ・アミトラーノ『『山の音』こわれゆく家族』(理想の教室,みすず書房:2007.3.23)【¥1500】
●『新古今和歌集』上下(久保田淳訳注,角川文庫:2007.3.25)【¥933×2】
●『坂部恵集5 〈日本〉への視線、思考の文体』(岩波書店:2007.3.28)【¥4400】
●中沢新一『ミクロコスモス』T・U(四季社:2007.4.8)【¥1280×2】
●前田英樹『言葉と在るものの声』(青土社:2007.4.30)【¥2200】
●ミシェル・ウエルベック『ある島の可能性』(中村佳子訳,角川書店:2007.2.28)【¥2400】
●夏目漱石『文学論(下)』(岩波文庫:2007.4.17)【¥900】
●東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生──動物化するポストモダン2』(講談社現代新書:2007.3.20)【¥800】
●丸谷才一編著『ロンドンで本を読む──最高の書評による読書案内』(光文社知恵の森文庫:2007.4.15)【¥876】
●魚住昭『官僚とメディア』(角川oneテーマ21:2007.4.10)【¥686】
●佐高信・岸井成格『政治原論』(毎日新聞社:2006.11.30)【¥1500】
●梅田望夫・茂木健一郎『フューチャリスト宣言』(ちくま新書:2007.5.10)【¥700】
●福岡伸一『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書:2007.5.20)【¥740】
●『群像』5月号[特集|埴谷雄高『死霊』を読み直す]【¥876】
●『Casa BRUTUS』NO.86 2007年5月[特集|最新東京100]【¥993】
●『BRUTUS』2007 4/5[特集|西洋美術を100%楽しむ方法]【¥552】
●『PLAYBOY』2007.6[特集|ジャズ最強読本]【¥838】
●『ソトコト』5月号[特集|次世代エネルギーQ&A]【¥762】
●『日経おとなのOFF』特別編集[「和」の基礎知識 虎の巻]【¥952】
●トマス・ハリス『ハンニバル・ライジング』上下(高見浩訳,新潮文庫:2007.4.1)【¥514×2】
●グレッグ・イーガン『ひとりっ子』(山岸真編訳,ハヤカワ文庫SF:2006.12.15)【¥820】
●東野圭吾『幻夜』(集英社文庫:2007.3.25)【¥952】
●草凪優『微熱デパート』(双葉文庫:2004.11.20)【¥581】
●草凪優『晴れときどきエッチ』(双葉文庫:2007.5.20)【¥571】
●さそうあきら『神童』1〜3(双葉文庫:2003.12.25)【¥571×3】


  【ブログ】

★4月8日(日):私は死ぬまでにどれだけの本が読めるだろうか

 光文社の知恵の森文庫から、丸谷才一編著『ロンドンで本を読む』が出た。2001年にマガジンハウスから刊行されたもので、そのときは結局、購入しな かったけれども、以来、なんどか図書館から借りてきては、編著者の序文や、収められた21篇の書評のうち気に入ったもの、たとえばベンヤミンを扱った「エ ヴァがアダムを誘惑したときいったいどんな言語で誘ったのか?」などを繰り返し眺めてきた。
 書評で大事なのは、まずは本の紹介で、次に評価という機能(それに、文章の魅力も)。しかし、書評にはそれよりももっと次元の高い機能があって、「それ は対象である新刊本を」肴に、ではなくて「きっかけにして見識と趣味を披露し、知性を刺激し、あはよくば生きる力を更新することである。つまり批評性」。 そのためには、書評の雑誌掲載枚数が充分に与えられないといけない、云々。何度読んでも、丸谷才一の序文は面白いし、なぜかしら元気になる。
 この本を初刊時に買い求めなかったのは、それ以前(1999年)に、『鳩よ!』という雑誌で丸谷才一の文章やベンヤミンをめぐる書評などを読んだことが あって、当時はまだ掲載号を所持していたからだ。でも、それもその後の引越しや在庫処分でいつのまにか行方不明になってしまい、それに、大半の文章は未見 の『SWITCH』掲載分なのだから、いつでも読みたくなったとき手にできるよう常備しておきたいと思っていた。文庫化はとても嬉しい。
(そういえば、とうに文庫化された須賀敦子の『本に読まれて』も常備しておきたいと思いながら、そのままになっている。最近になって、河出文庫版の全集第 四巻に、これまたとっくに文庫化されていた『遠い朝の本たち』やその他の書評、映画評と一緒に収められていた。うっかり買い忘れていた。)
 瀬戸内寂聴の解説「ロンドンの書評家たち」に、次の文章がある。「数え八十にもなって、いよいよ残る時間が少いとせかされる心境の中で、私は死ぬまでに どれだけの本が読めるだろうかと考えないではいられない。すると、自分の机のまわりに積まれている未読の本の山を見てため息が出るのである。しかしそれで もやはり残る時間に、一冊でも多く愉しい本を読んで往きたいと思う。/もし、安心して、信頼出来る読書案内になる書評の満載された本があれば、どんなに便 利だろう。」
 ほんとうに便利だろうと思う。

★4月15日(日):『コーラ』創刊

 Web評論誌『コーラ』 が創刊されました。「哥とク オリア/ペルソナと哥」というタイトルで連載を書いています。よかったら眺めてみてください。

●「コーラ
 http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/index.html

●哥とクオリア/ペルソナと哥
 第1章 「クオリアとペル ソナ」仮名序
  http://sakura.canvas.ne.jp/spr/lunakb/uta-1.html

★5月13日(日):再起動?

 4月に生活の環境が大きく変わり、日々ドタバタしているうち、いつのまにか五月の連休も明けて、気がつくとほぼ一月近く、このブログから遠ざかってい た。そろそろ再起動したいと思っているのだが、いまさら何をどう書けばいいのか、いまひとつ気持ちが高まらない。こういうときは、最近読んだ本、読んでい る本、買った本、図書館から借りてきた本のことなどを書いているうち、自然とテーマが決まり、気分が乗ってくるというのがこれまでのやり方だった。
 先々月、遅ればせながら『自壊する帝国』を読み、佐藤優という人物にいたく興味を覚えたこと。魚住昭や手嶋竜一との共著を含めて、佐藤優の本を図書館か ら借り出しては摘み読みをしたこと。でも、ほとんどが貸し出し中で、なかなか入手できなかったこと。『PLAYBOY』誌で「役に立つ神学」の連載が始ま るというので、さっそく買って読んだこと。この先、中沢新一の「映画としての宗教」を読むためだけに『群像』を隔月で買っているのと同じことになりそうな こと。
 沢木耕太郎『危機の宰相』や村上春樹訳『ロンググッドバイ』やさそうあきら『神童』を読んだこと。いずれも、とても面白かったこと。トマス・ハリス『ハ ンニバル・ライジング』も読んだけれど、この本はやや薄味だと感じたこと。
 永井均『西田幾多郎』と尼ヶ崎彬『花鳥の使』『縁の美学』をあいかわらず読み続けていること。(そろそろ「哥とクオリア/ペルソナと哥」のつづきを書か なければいけないこと。)
 いま、坂部恵『和辻哲郎』と前田英樹『言葉と在るものの声』と中沢新一『ミクロコスモス』とミシェル・ウエルベック『ある島の可能性』を読んでいるこ と。ジョルジョ・アミトラーノ『『山の音』こわれゆく家族』とグレッグ・イーガン『ひとりっ子』を読み始めたこと。そのほか、読みたいと思う本がたくさん あること。
 と、いろいろ書くネタはあるけれども、そこから話が展開していかない。再起動のきっかけがつかめない。