不連続な読書日記(1998.7〜1998.12)


★1998.7

 

☆伏見康治・安野光雅・中村義作『美の幾何学』(中公新書)

 数理の部分は飛ばし読み。結構面白かった。

 

☆浅田次郎『蒼穹の昂』上下(講談社)

 久しぶりの徹夜本。手塚治虫の漫画を読んでいるような錯覚にとらわれた。

 

☆篠原資明『漂流思考 ベルクソン哲学と現代芸術』(講談社学術文庫)

 よくできたレジュメ。差異の過剰─感性と痕跡と解釈の過剰。

 

☆村上春樹『ノルウェイの森』上下(講談社文庫)

 再読。そしてふたたび陶酔。

 

☆村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』上下(講談社文庫)

 最初のうち失敗策だと思った。「失敗作」ゆえによく見えるものもある。(で、結局一番好きな作品になった。)

 

☆村上春樹『国境の南太陽の西』(講談社文庫)

 再読。今度は納得がいった。

 

☆村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編』(新潮文庫)

 再読。ここでも「僕」はひたすら聞く。夢野久作の『ドグラマグラ』を想起した。

 

☆村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編』(新潮文庫)

 再読。末尾の異常な高ぶりはいったいなんなのだろう。物語はどこへ行くのだろう。

 

☆村上春樹『レキシントンの幽霊』(文藝春秋)

 秀逸。絶品。完璧。

 

☆清水博『生命知としての場の論理』(中公新書)

 名著『生命を捉えなおす』の第3部。副題は「柳生新陰流に見る共創の理」

 

☆ジョン・ホーガン『科学の終焉』(筒井康隆監修・竹内薫訳,徳間書店)

 純粋科学と「皮肉の科学」。

 

☆水林章『ドン・ジュアンの埋葬』(山川出版社)

 結婚の秘儀性を粉砕し父を殺す「貨幣」としてのドン・ジュアン。

 

★1998.8

 

☆村上春樹『ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編』(新潮文庫)

 これはまぎれもなく小説をめぐる小説だ。

 

☆村上春樹『蛍・納屋を焼く・その他の短編』(新潮文庫)

 短編集のタイトルがいい。「三つのドイツ幻想」が気に入った。

 

☆村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』(中公文庫)

 初期の短編集。「午後の最後の芝生」が実にいい。

 

☆村上春樹『カンガルー日和』(講談社文庫)

 「5月の海岸線」がよかった。

 

☆『旧約聖書 ヨブ記』(関根正雄・岩波文庫)

☆ルネ・ジラール『邪な人々の昔の道』(小池健男・法政大学出版局)

☆C.G.ユング『ヨブへの答え』(林道義・みすず書房)

 ヨブ記は世界文学の最高峰の一つであるといわれる。初読。ジラールとユングは再読。

 

☆湯浅泰雄『ユングとキリスト教』(講談社学術文庫)

 この本を起点にして始めたい。たとえば「オリゲネスの遺産」をめぐる考察など。

 

☆小浜逸郎『無意識はどこにあるのか』(洋泉社)

 読み初めの頃の反発がやがて消え、続編が待ち遠しくなる。

 

☆冨田恭彦『哲学の最前線』(講談社現代新書)

 うーん。これはどうかな。(でもクワインはいずれ読んでみよう。)

 

☆大澤真幸『戦後の思想空間』(ちくま新書)

 ここから何かが始まりそうな予感。

 

★1998.9

 

☆村上春樹『回転木場のデッド・ヒート』(講談社文庫)『パン屋再襲撃』(文春文庫) 『TVピープル』(文春文庫)『辺境・近境』(新潮社)

☆塩野七生『コンスタンティノープル陥落』(新潮文庫)

☆荒井献『トマスによる福音書』(講談社学術文庫)

 

★1998.10

 

☆キャロル・オコンネル『二つの影』(原真実・竹書房文庫)

☆アン・ライス『眠り姫、官能の旅立ち』(柿沼瑛子・扶桑社ミステリー)

☆加藤典洋『言語表現法講義』(岩波書店)

☆井筒俊彦『イスラーム哲学の原像』(岩波新書)

☆須賀敦子『ユルスナールの靴』(河出文庫)

☆ピエール=マリー・ボード『キリスト教の誕生』(佐伯晴郎監修・創元社『知の発見』双書70)

 

★1998.11

 

☆松村映三・村上春樹『辺境・近境 写真篇』(新潮社)

☆鈴木光司『ループ』(角川書店)

☆吉川元忠『マネー敗戦』(文春文庫)

☆オリゲネス『諸原理について』(小高毅・創文社)

☆小高毅『オリゲネス』(清水書院)

☆坂口ふみ『〈個〉の誕生─キリスト教教理をつくった人びと』(岩波書店)

☆ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』上(大久保康雄・新潮文庫)

☆『井筒俊彦著作集1 神秘哲学』(中央公論社)

 

★1998.12

 

☆宮本輝『私たちが好きだったこと』(新潮文庫)

☆藤沢周平『時雨みち』(新潮文庫)

☆大沢在昌『天使の牙』上下(角川文庫)

☆ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』下(大久保康雄・新潮文庫)

☆池尾和人『現代の金融入門』(ちくま新書)

☆村上春樹『遠い太鼓』(講談社文庫)

☆村上春樹/稲越功一『使いみちのない風景』(朝日出版社)

☆小林正明『村上春樹・塔と海の彼方に』(森話社)

☆久居つばき『ねじまき鳥の探し方』(太田出版)

☆村上春樹『アンダーグラウンド』(講談社)

☆コンノケンイチ『ユングは知っていた』(徳間書店)

☆中島義道『孤独について』(文春新書)

☆中島義道『哲学の道場』(ちくま新書)

☆中島義道『哲学の教科書』(講___k社)

☆中島義道『人生を〈半分〉降りる』(ナカニシヤ出版)

☆中島義道『ウィーン愛憎』(中公新書)