不連続な読書日記(2011.04)



【購入】

●絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』(文春文庫:2006.5.10/2004.2)【¥419】
●絲山秋子『海の仙人』(新潮文庫:2007.1.1/2004.8)【¥362】
●絲山秋子『袋小路の男』(講談社文庫:2007.11.15/2004.10)【¥400】
●絲山秋子『逃亡くそたわけ』(講談社文庫:2007.8.10/2005.2)【¥400】
●絲山秋子『スモールトーク』(角川文庫:2009.2.10/2006.2)【¥438】
●絲山秋子『ニート』(角川文庫:2008.6.25/2005.10)【¥438】
●絲山秋子『沖で待つ』(文春文庫:2009.2.10/2006.2)【¥457】
●絲山秋子『エスケイプ/アブセント』(新潮文庫:2010.1.1/2006.12)【¥324】
●絲山秋子『ダーティ・ワーク』(集英社文庫:2010.5.25/2007.4)【¥429】
●絲山秋子『ラジ&ピース』(講談社:2008.7.30)【¥1300】
●絲山秋子『ばかもの』(新潮文庫:2010.10.1/2008.9)【¥400】
●絲山秋子『妻の超然』(新潮社:2010.9.30)【¥1400】
●絲山秋子『末裔』(講談社:2011.2.17)【¥1600】
●絲山秋子『絲的メイソウ』(講談社文庫:2008.2.25/2006.7)【¥524】

 春先の異変で、何の脈絡もなくとつぜん絲山秋子熱が襲来。現時点で確認できた既刊本17点のうち小説作品のすべてと、あわせてエッセイ集『絲的メイソ ウ』を試験的に購入。
 未購入分は、エッセイ集『絲的炊事記−豚キムチにジンクスはあるのか−』(講談社文庫)と『絲的サバイバル』、「西アフリカ・セネガルへの魂の旅」の記 録を綴った紀行文『北緯14度』の3冊。

●村上龍『心はあなたのもとに “I'll aiways be with you,aiways”』(文藝春秋:2011.3.25)【¥1619】
 村上龍の恋愛小説は昔から好きだったし、読んでみたい気分だったので購入。
 他者への「関与」はどこまで可能か。その前に、小説を書き、読む行為を通じてどこまで「他者」(サクラ=香奈子)を造形できるか。主人公の「わたし」 (西崎)に作者(村上龍)の像を重ねあわせて読むと笑える。その笑いは自分を客観視するユーモアの感覚に通じている。

●T・S・エリオット『四つの四重奏』(岩崎宗治訳,岩波文庫:2011.4.15)【¥840】
 『荒地』に続いて購入。

●『小津安二郎大全集』(株式会社コスミック出版:2010.12)【¥1886】
 DVD9枚組BOXセット。安かったので購入。
 「東京物語」(136分・モノクロ・1953年)、「麦秋」(124分・モノクロ・1951年)、「晩春」(108分・モノクロ・1949年)、「父あ りき」(94分・モノクロ・1942年)、「風の中の牝鶏」(84分・モノクロ・1948年)、「一人息子」(87分・モノクロ・1936年)、「戸田家 の兄妹」(106分・モノクロ・1941年)、「お茶漬けの味」(115分・モノクロ・1952年)、「長屋紳士録」(72分・モノクロ・1947年)。

●『新潮』2011年5月【¥1048】
 特別付録CD、音声劇「瘋癲老人日記」の「主演」が谷崎潤一郎だったので購入。

●『岩波講座 東洋思想 第15巻 日本思想1』(岩波書店:1989.2.15)
●『岩波講座 東洋思想 第16巻 日本思想2』(岩波書店:1989.3.31)【¥3000古】
 第16巻に収録された井筒豊子の「自然曼荼羅」が読みたくて購入。
 井筒豊子は井筒俊彦の夫人。「自然学曼荼羅」は、「言語フィールドとしての和歌」(『文学』52巻1号、1984年1月)、「意識フィールドとしての和 歌」(『文学』52巻12号、1984年12月)と三部作をなす。

●沼田憲男『若者よ、くじけるな! 日本海から希望が見える──十年後のための日本人の境気』(情報センター出版局:2011.4.5)【¥820】
 関西の時代、日本海の時代の到来と関西広域連合への言及があったので購入。

●三宅裕之『夢を“勝手に”かなえる自己洗脳』(マガジンハウス:2011.2.22)【¥1300】
 NLP(Neuro Linguistic Programming:神経言語プログラミング)に興味をもったので購入。

●渡部昇一『知的余生の方法』(新潮新書:2010.11.20)【¥720】
 第六章「恋愛と人間関係について」が読みたくて購入。


【読了】

●絲山秋子『ばかもの』(新潮文庫:2010.10.1/2008.9)
●絲山秋子『海の仙人』(新潮文庫:2s007.1.1/2004.8)
●絲山秋子『沖で待つ』(文春文庫:2009.2.10/2006.2)
●絲山秋子『ダーティ・ワーク』(集英社文庫:2010.5.25/2007.4)
●絲山秋子『袋小路の男』(講談社文庫:2007.11.15/2004.10)
●絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』(文春文庫:2006.5.10/2004.2)
●絲山秋子『末裔』(講談社:2011.2.17)
●絲山秋子『ニート』(角川文庫:2008.6.25/2005.10)
●絲山秋子『逃亡くそたわけ』(講談社文庫:2007.8.10/2005.2)
●絲山秋子『エスケイプ/アブセント』(新潮文庫:2010.1.1/2006.12)
●絲山秋子『スモールトーク』(角川文庫:2009.2.10/2006.2)
●絲山秋子『妻の超然』(新潮社:2010.9.30)
●絲山秋子『ラジ&ピース』(講談社:2008.7.30)
●絲山秋子『絲的メイソウ』(講談社文庫:2008.2.25/2006.7)

 結局、この4月に読んだのは絲山作品だけ。
 ここまで小説の技巧の冴えを感じさせる作家を他に知らない。寄らば斬るの気合を湛えた文章を知らない。なぜそれほどまでに技巧を凝らし、凝らした技巧の 痕跡に裂帛の殺気を籠めるのか解らない。
 それらは創作のテクニックや文章の推敲といった次元を超えている。常軌を逸していると言ってもいい。作者(絲山秋子)の側に事情があってのことなのかも しれない。
 尖がった短篇もいいし、ゆるやかな結構をもった長篇もいいし、趣向を凝らした中篇もいい。どれか一冊というなら『海の仙人』、強いて一篇というなら 「アーリオ オーリオ」(『袋小路の男』)。
 『袋小路の男』のエピグラムに引かれた、ロレンス・ダレル『ジュスティーヌ』からの一文が忘れ難いので記録しておく。──「女に対してすることは三つし かないのよ」そうクレアはある時言った。「女を愛するか、女のために苦しむか、女を文学に変えてしまうか、それだけなのよ」