不連続な読書日記(2011.01-2011.03)



【購入】

●小田切徳美『農山村再生──「限界集落」問題を超えて』(岩波ブックレット:2009.10.6)【¥480】
 読みかけのところを人に貸したら(貸したつもりでいたら)返ってこなくなったので、もう一冊購入。

●田渕句美子『新古今集 後鳥羽院と定家の時代』(角川選書:2010.12.25)【¥1800】
 実質的にはこの本が今年の初買い。新聞広告で知っていたので(それにちょうど「定家十体」の下調べを始めたばかりだったので)中身は確かめずに購入。

●前田英樹『日本人の信仰心』(筑摩選書:2010.12.15)【¥1600】
 筑摩新書0007。0001の『武道的思考』(内田樹)が気になっていたけれど、先に前田本を購入。『風の旅人』に連載されていたもの。知らないうちに 読んでいたかもしれない。

●農文協編『TPP反対の大義』(農文協ブックレット:2010.12.15)【¥800】
 普天間・尖閣諸島、社会保障・消費税、TPP・成長戦略。この三つの課題群を「極めたい」と思った。まずはTPPから。

●アーサー・I・ミラー『137──物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯』(阪本芳久訳,草思社:2010.123.28) 【¥2300】
 このところ数をめぐる読み物が気になる。『137』以外にも『ピュタゴラスの復讐』『バッハの暗号』など。マーカス・デュ・ ソートイの『シンメトリーの地図帳』も。

●山鳥重『言葉と脳と心──失語症とは何か』(講談社現代新書:2011.1.20)【¥740】
 脳は考えない。心が考える。言葉は心の働きである。思考や言語活動などの心の働きの元は、心が作り出すさまざまなイメージである。これらのイメージを著 者は「心像(しんぞう)」と呼ぶ。心像とは、大脳に流入する情報によって生じた心の変化がカタチ(イメージ)として意識されたもの、すなわち、心の中で意 識されるカタチである。心像は知覚性のものだけではなく、「思い」のように知覚とは直接かかわらないカタチ(超知覚性心像のカタマリ、観念心像)を含む。 こうした心の中のイメージ(心像)に名前を与え(記号化し)、切れない心理経験を切れたカタチに整理するのが言葉である。言葉も心像である。「心は感情か ら心像を作り出し、さらに、心像の特殊形として言語心像を作り出してきた」(237-8頁)。

●オクタビオ・パス『弓と竪琴』(牛島信明訳,岩波文庫:2011.1.14)【¥1140】
 パスの作品は以前『二重の炎 愛とエロティシズム』を読んだことがある。ル・クレジオの『物質的恍惚』と並行して読みたいと思った。

●熊野純彦『埴谷雄高──夢みるカント』(講談社:2010.11.25)【¥1400】
 吉本隆明の「虚喩」と埴谷雄高の「虚体」を導入して和歌の歌体論を論じる。そんなアイデアが浮かんだ。

●『ソトコト』2011.2[特集|世界をよくする金融学](木楽舎)【¥800】
●『ソトコト』2011.3[特集|エネルギー](木楽舎)【¥800】
 世界の政治と経済の基本をなす二つのこと。物質にかかわるエネルギーと精神にかかわる金融。

●『女優美学』(東京カレンダーMOOKS,株式会社ACCESS:2011.1.28)【¥1260】
 男と女と女優。

●T・スタージョン『輝く断片』(大森望編,河出文庫:2010.10.20)【¥850】
 「独特の発想と驚くべき語り口、そしてあまりに切ない感動。天才短篇作家スタージョン名作選。」この謳い文句に惹かれた。

●天野節子『烙印』(幻冬舎:2010.12.10)【¥1600】
 但馬(養父)と鳥取が事件の発端と解決の重要な場所になる。ある人から薦められた。

●春名徹『細川三代──幽斎・三斎・忠利』(藤原書店:2010.10.30)【¥3600】
 この本もある人から薦められた。

●『悦』vol.03(無双舎:2010.11.13)【¥950】
 アンソロジーを読みたくなって。連載が多かった。

●『萩原朔太郎』(ダイソー文学シリーズ22)【¥100】
 二色刷りの意味がわからない。

●ルース・タトロー『バッハの暗号──数と創造の秘密』(森夏樹訳,青土社:2011.1.10)【¥2800】
 『137』を読み終えない(どころかまだ1頁も読んでいない)うちから、次の本を先に買った。

●岩田和宏『LOVEって何?──脳科学と精神分析から迫る「恋愛」』(幻冬舎ルネッサンス:2011.2.5)【¥1300】
 タイトルと内容がミスマッチ。

●正徹『正徹物語』(角川ソフィア文庫:2011.2.25)【¥1143】
 「正徹の歌論が文庫で読める。」かねて(丸谷才一経由で)正徹には関心があった。つぎは俊成の歌論を文庫で読みたい。

●木村紀子『日本語の深層──ことばの由来、心身のむかし』(平凡社新書:2011.2.15)【¥760】
 坂本龍一氏推薦!と帯にある。

●尾崎左永子『王朝文学の楽しみ』(岩波新書:2011.2.18)【¥760】
 日本語という美しい「感性言語」。あとがきにそんな言葉がでてくる。

●白石一文『僕のなかの壊れていない部分』(光文社文庫:2005.3.20)【¥619】
 この人の作品は、いつかまとめて読みたいと思っていた。

●大岡信『日本語の世界11 詩の日本語』(中央公論社:1980.11.20)【¥1000古】
 大岡信の『紀貫之』と『詩の日本語』は、いまとりくんでいる貫之論の種本。

●T・S・エリオット『荒地』(岩崎宗治訳,岩波文庫:2010.8.19)【¥840】
 エリオットの詩を翻訳したいと思った。原文はネットで入手した。

●吉田秀和『永遠の故郷──夕映』(集英社:2011.1.10)【¥1700】
 この四部作の凄さがわからない。わからないけれども凄い。最初から読み返して、とりあげられた歌曲を実地に聴いてみることにした。

●田中登『紀貫之』(コレクション日本歌人選5,笠間書院;2011.2.28)【¥1200】
 貫之関連本は速攻で入手することにしている。

●有川浩『阪急電車』(幻冬舎文庫:2010.8.5)【¥533】
 ある人が面白いといっていたので。

●『男の隠れ家』2011.4[特集|日本の映画監督]【¥648】
 日本の古い映画を観たいと思う。

●『新潮45』2011.3[特集|伝説の美女「原節子」を探して]【¥848】
 付録のDVDが欲しくて購入。内田樹さんの文章を読んだ。

●春原(すのはら)剛他『日米同盟vs.中国・北朝鮮──アーミテージ・ナイ緊急提言』(文春新書:2010.12.20)【¥820】
 『細川三代』を薦められた人に、これも読むようにと薦められて。

●スティーグ・ラーソン『ミレニアムT ドラゴン・タトゥーの女〔上〕』(ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利訳,早川書房:2008.12.15) 【¥1619】
 自腹を切って、じっくり読みかえしたくなって。

●司馬遼太郎『十六の話』(中公文庫:1997.1.18)【¥857】
 「開高健への弔辞」と「アラベスク──井筒俊彦氏を悼む」を読みたくて。なによりも、文庫附録の井筒俊彦との対談「二十世紀末の闇と光」が読みたくて。

●田中久美子『記号と再帰──記号論の形式・プログラムの必然』(東京大学出版会:2010.6.23)【¥3600】
 大川出版賞とサントリー学芸賞をダブル受賞。



【読了】

●小田切徳美『農山村再生──「限界集落」問題を超えて』(岩波ブックレット:2009.10.6)
 人と土地とむらと誇りの空洞化。戦後日本の農山村部がみまわれた四つの空洞化。この言葉を知っただけでも読んだ意味があった。

●鳥越皓之他『地域の力で自然エネルギー!』(岩波ブックレット:2010.7.7)
 森林バイオマス、小水力、地熱、波力(潮力)。この四つの再生可能な自然エネルギーが地域の姿を一変させるかもしれない。

●メグ・ガーディナー『心理検死官ジョー・ベケット』(山田久美子訳,集英社文庫:2010.11.25)
 ダーティ・シークレット・クラブのことがもっとリアリティをもって書かれていたらとんでもない傑作になったろう。

●中井久夫『私の日本語雑記』(岩波書店:2010.5.28)
 思わぬ大ヒットだった。再読三読熟読本。

●村上春樹『1Q84 BOOK3〈10月─12月〉』(新潮社:2010.4.16)
 ほぼ一日に一章のペースで読みついだ。一気読みにはならなかった。深読みする気になれない(青豆はなぜプルーストを読んでいたか、など)。もう一度読み たいとも思わない。村上春樹はこの作品を書くことで何がしたかったのだろう。物語としてはよくできていたし、文章や構成はさすがで飽きることはなかった。 だからこれはこれでいいと思った。BOOK4への雌伏の篇。

●天野節子『烙印』(幻冬舎:2010.12.10)
 『砂の器』を思わせる。清新な読後感。

●T・スタージョン『輝く断片』(大森望編,河出文庫:2010.10.20)
 たしかにこんな小説読んだことがない。

●白石一文『僕のなかの壊れていない部分』(光文社文庫:2005.3.20)
 村上春樹と保坂和志をかけあわせたような、しかし白石一文オリジナルのテイスト。

●岩田和宏『LOVEって何?──脳科学と精神分析から迫る「恋愛」』(幻冬舎ルネッサンス:2011.2.5)
 肝心の「脳科学と精神分析」のところが物足りない。

●野口悠紀雄『日本を破滅から救うための経済学──再活性化に向けて、いまなすべきこと』(ダイヤモンド社:2010.7.29)
●水野和夫・萱野稔人『超マクロ展望 世界経済の真実』(集英社新書:2010.12.12第2刷)
 毎朝、出勤前の時間を「経済学の勉強」にあてた。『超マクロ展望』はブルータスの記事に惹かれて読んだ。面白い。

●春名徹『細川三代──幽斎・三斎・忠利』(藤原書店:2010.10.30)
 一度読んだだけではこの本は味わえない。  

●佐々木健一『日本的感性──触覚とずらしの構造』(中公新書:2010.9.25)
 再読三読熟読本。 

●有川浩『阪急電車』(幻冬舎文庫:2010.8.5)
 こういう小説は好きだ。