メッセージ   2012年 10月 7日

「この福音に生きて」1
    (エペソ人への手紙2章1〜10節)

クリスチャンはイエス・キリストの十字架による救い=福音によって生かされている。そのことの喜びについて「たねまき会」でお話させていただくことになっている。クリスチャンで良かった=福音に生きる喜び、について整理したい。

ナチスドイツによる強制収用所から生還したフランクルはその著書『夜と霧』において、人に生きる力を与えるものとして「祈り、歌、ユーモア」を挙げている。祈り・・・人は困難に直面すると、たとえ神を信じていない人でも祈ったり自分を超えたものにすがろうとしたりする。そして結果が良いと信仰を深めていくが、悪いと離れていくと言うのが一般的かもしれない。しかし結果が良かろうと悪かろうとすべてが超越者=神の大きな計画の中の働きとして受け止める時、人生はより豊かなものとなっていくというのが私たちクリスチャンの立っているところである。

ただし、この点だけなら「キリスト教」に限らずとも、成熟した宗教、あるいはしっかりした人生観を持っていれば、豊かな人生を送ることができるだろう。では福音に生きるとはどういうことか。クリスチャンで良かったと自分では思うが、周りの人たちがそのように思ってくれるわけではない。と言うよりも、それぞれの信仰や主義主張において、○○で良かった・・・とクリスチャンでなくても自分の立場を喜んで充実した人生を送っている人はたくさんいる。

お坊さんから牧師になったという方がおられる。しかし、その逆とまではいかなくても、牧師やクリスチャンであることをやめて信仰からはなれ、あるいは他の宗教へということもある。現代の社会において私たちは、クリスチャンとして確信を持って生きると同時に、ほかの信仰や人生観を持っている方々を尊重し、よき隣人となることも求められている。クリスチャンで良かった・・・考え始めると難しい。