メッセージ   2012年 3月18日

    「静かに待つ」 (ハバクク書3章16〜19節)

ハバククは南王国ユダ末期の預言者である。時代は紀元前600年頃…アッシリヤは滅ぼされ、エジプトも勢力を失いつつあった一方、ネブカデネザル率いるバビロニアが勢力を拡大していく。大国の狭間にあったユダは宗教的にも道徳的にも堕落し、やがてそのバビロンに滅ぼされ、捕囚の身となる…。

そのような時代に生きたハバククは、民の堕落を神に訴えたが、神からの答えはカルデヤ人(=バビロン)によって裁く…であった。いくら堕落していたとは言え、神に選ばれたユダが、凶暴で偶像礼拝を行なう異教の民によって裁かれるとは…聖なる神の矛盾としか言いようのない答えを前にしたハバククの苦悩は想像を絶する。しかし神は、やがてそのカルデヤ人をも裁くことを告げられる。神は高ぶる者をさばき、信仰者を救われる方である。ハバククはこれまでの神の恵みに立ち返り、信仰による讃美をもって彼の祈りはしめくくられる。神殿での讃美をつかさどる役目をになっていたと考えられるハバククならではである。

私たちも日々、様々な困難や厳しい現実を前にする。時には信仰を持って生きているのになぜ…と訴えたくなることもあるかも知れない。しかし、現実がいかようにあろうと、ただ神にのみ信頼を置く生き方の大切さをハバクク書は示している。様々な誘惑と困難に満ちた時代であるからこそ信仰を持つ必要がある…と。

目に見える現実に支えられるのではなく、現実を超えて働かれる神に支えられる信仰、そこに希望を置く生き方…それがハバクク書のテーマ「見よ、心のまっすぐでない者は心高ぶる。しかし、正しい人はその信仰によって生きる」(2:4)である。