骨肉腫 |
犬で最も多く見られる骨の腫瘍は骨肉腫です。 他の骨の腫瘍は発生が少ないので、 ここでは犬の骨肉腫について記載します。 骨肉腫は大型犬に多く発生し、 若齢に発生するものと中齢から老齢に発生する 2峰性の発生があるとされています。 頭の骨や脊椎などの体軸骨格から発生するものは少なく、 前肢、後肢に発生するものが多く、 さらに前足では、肘から遠い部分、 後肢では膝に近い部分の骨に発生が多いです。 |
大型犬の四肢に発生する骨肉腫は悪いものが多く、 約90%が肺に転移を起こし、1年以内に死亡します。 なにも治療を行わなかった場合の 平均生存期間は約100日といわれています。 |
骨肉腫はかなり痛みを伴う腫瘍です。 その痛みは、痛み止めなどの薬ではほとんど取れません。 ゆえに一番最初に、手術により断脚し、 その痛みを取ってあげることを考えてあげる必要があります。 断脚を行わなかった場合、ほとんどの場合で痛みのため、 動物は元気、食欲が低下し、生活の質は著しく低下します。 |
断脚を行うにあたって大切なこと ・手術の目的は? この手術の第1目的は癌を治すための根治手術ではなく、 痛みを取るための対症的手術です。 手術で断脚を行っても、 しない場合とほとんど生存期間は変わりません。 ただし、断脚を行った場合の生活の質は しないものと比べて大きく向上します。 ・断脚後、3本の足でちゃんと生活はできるの? 通常は動物側が上手く対応してくれます。 しかし、他の足に関節炎などの病気があるときなど、 飼い主さんの補助を必要とすることもあります。 ここで大切なことは、 断脚をしなくても動物は腫瘍のある足は使えなくなります。 痛い足のない3本の足と、 痛みのある使用できない足を持つ3本の足と、 どちらを動物は望んでいるのでしょうか? ・本当に腫瘍なの? 断脚は、動物にはもちろん、 飼い主さんにも精神的に大きなダメージを与えます。 勇気を持って断脚を決断して手術をしたら、 腫瘍ではなかった・・・。 これだけは絶対にしてはいけません。 ゆえに、骨肉腫の診断は、 多くの方向から見る確実な診断が必要です。 |
ほかにできることは? 骨肉腫は多くの例で治る腫瘍ではありません。 しかしながら、いくつかの抗癌剤が、 その生存期間を3倍のばすことができると言われています。 少ない根治の可能性は、断脚と抗癌剤の使用が最も高いものです。 |
骨肉腫は本当に治らない腫瘍なの? 残念ながら、多くの症例は、 X線、CTなどで遠隔転移を確認できなくても、 肺転移をすでに起こしている可能性が高く、 後に遠隔転移を確認できる様になってきます。 また、初診の地点ですでに、 単純X線写真ですでに肺に転移を認める場合も多いです。 骨肉腫の根治の可能性はまず、早期診断です。 大型犬で足を引きずる、痛みがある、 こんな時は長く様子を見ずに なるべく早く病院で診てもらった方がいいでしょう。 |