第1級陸上無線技術士受験体験記

1.受験動機
  55歳になった時、60歳定年以後のことを考えると不安を覚え、なにか資格を取得しておかなければと一種の焦りを感じた。当時仕事は携帯基地局の品質管理関係、5G無線LAN基地局品質管理関係を担当していた関係で、無線関係の資格取得を目指すこととした。
  まず、小手調べの意味で第1級陸上無線技士(1陸特)を受験するすることにし、すでに取得している職場の同僚から電気通信振興会の1陸特問題集を借用した。この問題集を使って2005年夏から通勤電車の中での勉強を開始し、2月の受験を目指した。ところが2月の1陸特受験日直前である1月末に2級陸上無線技術士(2陸技)の試験があることがわかり、しかも土・日曜が試験日であったため、無謀にも2陸技も受験することにした。結果は
 1陸特:無線工学 105/120(87.5%)合格、 法規 100/100(100%)合格
 2陸技:無線工学の基礎 89/125(71%)合格、 法規 71/100(71%)合格
     無線工学A 77/125(62%)合格、 無線工学B 71/125(57%)不合格
 で、2陸技は無線工学Bが4点の不足でおしくも不合格となった。
  残念無念といったところであるが、1陸特の参考書で2陸技を目指したところに無理があると感じ、1陸技・2陸技用の教科書を3冊(無線工学の基礎・無線工学A・無線工学Bなぜか法規はない)購入し、7月末の試験で2陸技のリベンジと1陸技の合格を目指すことにした。

2.勉強方法
  ネット上(http://www.khz-net.com/kema/003radio/01licence/01kakomon.html)で1陸技の過去問を入手、通勤電車の中でひたすら過去問を解くことを繰り返した。5月の1ヶ月間は工事担任者(デジアナ総合種)の受験(合格した)のため無線の勉強はお休みしたが、それ以外は毎日ひたすら過去問を解くことを繰り返した。教科書は分からなかったり、解答が間違っていたときに調べるために使用する程度であった。1陸技・2陸技は過去問からの出題が多い(少し内容を変更してあるが)ので、この方法は有効であると思える。この年の4月25日に福知山線の脱線事故があり、電車のなかでの勉強は少しやりにくい面(座れないこと、朝は超ラッシュうで勉強どころではない)があったが、6月19日の全面復旧から勉強を加速することができた。毎日毎日何回も繰り返し問題を解くことが重要と思える。入手できた1陸技の過去問(7種類)を3回程度繰り返した。一通りやったら、再度プリントアウトし問題を解くのである。7種類×4科目×3回で84科目の問題を解いたことになる。これで問題を解くコツを修得することができる。

3.1陸技受験
2005年7月26日(火)1日目
  いよいよ1陸技受験日である。この試験は平日にあるため、休暇を2日とる必要があり、その面ではサラリーマンにとってハードルが高い試験といえる。いつもの通勤と同じ時間である7時過の電車に乗り、受験地大阪にむけて出発。大阪天満宮に8時半頃に着き徒歩で西沢学園に向かう。9時前に教室に入り、9時半の試験開始まで教科書をひろげ復習する。この学校の教室はあまりきれいではない。古い伝統のある専門学校であるため、しかたがないのかもしれないが、せめて机や椅子を新しい物にして欲しいものだ。
  いよいよ9時半より試験開始、最初の科目は無線工学の基礎、2時間半で25問を解く。私の得意科目だ。問題全体を眺めてみるとそんなに難しい問題もなさそうだ。順調に問題をといていく。やや迷う問題もあったが、割合としては一割以下、問題なさそうである。時間も30分以上余して完了。マークチェックをして12時に試験終了。順調な滑り出しである。
  12時より昼食。駅の横のコンビニで買ったサンドイッチとお茶で昼食を済ます。前回の受験時は昼に外に出て食堂で食事したことで時間ぎりぎりになったため、今回からサンドイッチを教室で食べるように変更した。この方が時間に余裕ができて食事後の復習に時間がとれて都合が良い。
  13時より法規の試験である。法規はひたすら暗記するだけなので、過去問の繰り返しが最も効果がある。2時間で20問100点満点である。とんでもない問題は出ないはずなのでじっくり問題を眺める。分かりやすい問題が多い。順番に解答していく。A問題は完璧にできた。B問題で一部わからない問題があったが大勢に影響ない程度である。余裕をもって試験完了。本日の試験は、ほぼ完璧といえる。

2005年7月27日(水)2日目
  2日目は無線工学Aと難解な無線工学Bの試験である。2陸技の試験でも無線工学Bで不合格となった苦い経験がある。今回はその轍を踏まぬよう頑張ってきたつもりである。
  9時半より無線工学Aである。全体を眺めてみると前半はやさしい感じだが後半が難しい感じである。変調、復調回路、リップル率の計算でてこずる。過去問の比率は低いように感じる。昨日の順調な感じとはまったく正反対である。無線設備の基本に関わる部分を十分理解できていないことが原因ではないかと感じる。それでもなんとか答えを書き込んだ。試験終了後の感触では70%以上とれていそうな感じであるが、あまり余裕があるとは言えない。
  試験終了後、教室をかわる。無線工学Bは受験者が増えるため、割り当ての教室が変わることが原因のように思われる。新しい教室で昼食をすませ。最後の復習をする。そうこうしている内に新しい受験者が続々と入ってくる。やはり無線工学Bは難しいので不合格になる人も多いいのだろう。事実、私も2陸技の試験では、無線工学Bで不合格となった。無線工学Bだけ受験といった状態にならぬよう頑張らなければ、と思いを新たにした。
  13時より問題の無線工学Bの試験開始である。全体を眺めてみるとやはり難しい。過去問でお目にかかっていない山岳回折の問題なんてのもある。減衰定数の算出で単位がNp/mなんてのもある。初めて見る単位である。あとで調べるとデシベルと同様の考え方であるがdBが常用対数を使用しているのに対し、自然対数を使用していることが特徴の単位である。勉強不足を痛切に感じる。やっとこさ解答を記入して試験を終わる。ふー・・やっと終わったというのが正直なところである。60%以上とれたかどうか。複雑な気持ちで試験場をあとにした。

  後日無線協会より発表された解答での採点結果は以下のとおり。
 無線工学の基礎:101/125(81%)合格、法規:92/100(92%)合格、
 無線工学A:81/125(65%)合格、無線工学B 77/125(62%)合格
  なんと合格である。1日目は余裕で合格だが、2日目はぎりぎりである。試験後の感触そのものであるといえる。しかし、無線工学A、Bとも解答を良く見ると簡単だと思った問題の最後の選択で、勘違いして選択を誤っている問題が2問程度ある。これが正解なら両科目とも70%以上とすることができ余裕があるものになったと思う。焦らず、じっくり選択する必要がある。

【教訓】簡単と思った問題でも、焦らずゆっくり考えて解答選択すること。


2005年7月29日(金)2陸技無線工学B リベンジ
  前回(1月)の試験において71点と75点に4点およばず不合格となった2陸技の無線工学Bへの再挑戦の日である。この半年間、一つ上のクラスである1陸技の勉強を続けてきた。その効果が確認できる日でもある。午前中は通常どうり会社へ出勤し、午前中で仕事を打ち切り、試験場へ向かった。
  試験開始15分前に試験場に入り試験開始を待つ。2日前1陸技の試験を受けているだけに緊張感も何もない。13時試験開始。ざっと全体を眺めてみるが、やはり1陸技に比較してやさしい問題が多いと感じる。前回の試験時と違って楽勝ムード、悩んだ問題も2問程度である。淡々と問題解答を記入し終え、記入後のチェックを3回程度実施。おそらく合格間違いないと確信したので試験終了を待たず、途中退室した。
  教室を出て、階段を降りたところで無線協会が書籍販売をしていたので、1陸技に多少不安が残るのだが、免許申請用書類を2通購入しておいた。晴れ晴れとした気分で試験場を後にし、家路についた。

  後日無線協会より発表された解答での採点結果
 無線工学B 106/125(85%)で余裕の合格であった。やはり1陸技と2陸技には差があることが良く分かった。リベンジ達成である。

【教訓】目指す資格の一つ上のクラスの勉強をすれば、その資格は楽勝である。


 受験費用
 受験料 :\ 43,020 (1陸特=5,380+2陸技1,1880×2=23,760 +1陸技=1,3880)
 参考書代:\ 8,715
  合計 :\ 51,735

参考書:
 1・2陸技受験教室 (著)安達宏司 発行元 東京電機大出版局 無線工学の基礎 \2,940
 1・2陸技受験教室 (著)吉川忠久 発行元 東京電機大出版局 無線工学A   ¥3,045
 1・2陸技受験教室 (著)吉川忠久 発行元 東京電機大出版局 無線工学B   \2,730


   

      \2,940            ¥3,045          \2,730