1.受験日時
  平成22年1月10日(日)午前9時45分〜10時30分
  前の晩、ホテル(東急ステイ)で良く眠れず、頭がぼんやりした状態。枕がかわるとどうも熟睡できない。面接まえの緊張が原因と思う。7時過ぎの朝食もあまりのどを通らない。なんとか胃袋に詰め込み出発準備する。8時半にホテルをチェックアウトしフォーラムエイトに向かう。歩いて10分もかからない。7F試験本部前で受付を済ませる。面接部屋は503号室とわかり、まず部屋の確認に5Fに降りる。まだ誰もいないようだ。その後控え室へ移りお茶を飲みながら時間をすごす。朝早いのでまだ人は少ないのではないかと思っていたが、結構人がいる。誰も無言で重苦しい雰囲気が漂う。気がつけばほとんどの人がダークスーツである。私だけが茶色のブレーザーにネクタイというスタイルで浮いた感じがする。いまさらどうしようもないので気にしないことにした。どうやら私は本日の面接、トップバッターのようだ。5分前に部屋の前の椅子に腰掛ける。俄然緊張感が高まってくる。向かいの部屋の前にも受験生が座った。軽く会釈する。そうこうするうち、ドアがあき面接官から名前を呼ばれ、「はい」と答え中に入る。
 
2.面接官
  2名。右の一人は丸顔笑点の三遊亭小遊三風。左のもう一人は眼鏡をかけた学者風でイッセー尾形の頭をぼさぼさにした感じ。荷物を後ろの椅子に置き、立ったまま、受験番号・氏名を大きな声で告げ、「よろしくお願いいたします。」と頭をさげた。右の試験官から「おかけください。」と言われ、席に着く。

3.質疑応答内容
  質問は右の試験官が主導して進む。途中で左の学者風に交代する。Rが右、Lが左の試験官
 @R:どこから来られましたか?
  私:兵庫県○○市より来ました。
 AR:今日来られたのですか?
  私:いえ昨日来まして、ホテルに1泊しました。
(1)経歴及び応用能力
 @R:それでは業務経歴と体験論文をあわせて10分で説明してください。
  私:経歴3分、体験論文6分半の練習どおりの説明をする。(当初、体験論文5分で説明するよう考えていたが5分では無理なのでどのように時間指定されても6分半ですることに決めていた。10分近くで説明完了し、内心大喜び。緊張感は解けたが、相変わらず頭がぼんやりしている)
 AR:業務経験でいろいろ経験されているようですが専門技術としては何になりますか?
  私:やはり、一番長く25年間従事いたしました○○関係の試験技術、測定技術になります。
 BL:業務の種類が劇的に変わる経験をされていますが、これの原因は何ですか?またそのような経験をされてどう感じていますか?
  私:会社都合です。最初はオイルショックによる配置転換、2回目は○○事業部門が○○社と合併することになり所属部が解散しました関係で所属先が変更となりました。このような経験は精神的にはつらい面もありましたが技術の幅を広げることができ良かったと思っています。
 CR:診断装置の検出感度が大きく向上していますがそれの原因として考えられるものは?
  私:計測器関係、特にA/D変換器の性能向上が大きいと思います。当時は汎用的に入手できるA/D変換器は10μSのサンプリングタイムでしたが今では1nS以下です。
 DR:余寿命診断はできないのですか?
  私:いろんな絶縁材料が複合化しておりますので余寿命診断は現状なかなか困難です。
 ER:今後の課題としては何がありますか?
  私:体験論文の略記業務にも書いてありますような不具合を的確に判定できるようなソフト面の開発・充実が必要であると思います。
 FR:それでは技術体験論文の略記のみの事例について内容を簡単に説明してください。
  私:ニューラルネットワークを利用した○○内部絶縁診断ソフトについて簡単に説明。すべての不具合パターンを学習させることは不可能なので、正常状態のパターンを十分に学習させ、その正常パターンとの乖離距離の大小で不具合の判定を実施する方式と説明。ニューラルネットワークそのものについては素人であることを説明。研究所の専門家への依頼により完成したことを説明し、納得いただいた。
(2)体系的専門知識
 @R:電動機の速度制御方式について説明してください。
  私:(私が最も恐れていた質問。一瞬頭の中が真っ白になる)速度制御には巻線型電動機の抵抗法やVVVFによる制御V/f制御とかあります。またベクトル制御といった方法もあります。(と、しどろもどろに回答)
 AR:そのベクトル制御とはどのようなものですか?(と突っ込まれる)
  私:I0とI1との位相角を調整してI2の大きさに関わらずI0を一定に保つ制御です。
 BL:そのI0とは何のことですか?(とさらに突っ込まれる)
  私:励磁電流です。(うろ覚え、自信はない)詳しいことは良くわかりません。(と回答)
 CL:巻線型誘導電動機の速度制御方法として抵抗法以外は?
  私:うーん(と考えていたらR試験官が電動機は得意じゃないんですよね?と助け舟をだしてくれた。ハイそうですと答え、これでこの項目は終了。ふー)
(3)技術に関する見識
 @R:アメリカのオバマ大統領が進めているスマートグリッド構想について説明してください。
  私:それは地産地消です。それぞれの地方で発電し、地元で消費することを基本とし、その発電には太陽光発電・風力・水力発電等を極力利用するものです。(ここまで説明してハタと気がついた。この説明はマイクログリッドの説明じゃあないか…。スマートグリッドとは何だたっけ?)それらの単独の発電だけでは不安定な系統となりますので多くの同様な系統を有機的に結合し系統制御するものです。(と軌道修正)
 AR:有機的結合を具体的にいいますと?
  私:ネットワークを利用して情報を収集し系統制御する方式です。(たぶんこれだろうというだけで、自信なし。しかしR面接官はうなずいて納得。思えばR面接官が巧みに誘導してくれたように思える。これでこの質問は終わり)
 BL:家庭でCO2削減のための省エネを考えた場合、どのような技術が必要と思うか?
  私:太陽光発電の導入とか、ハイブリッド車の導入とか考えられます。
 CL:いや、そういう面じゃなく家電とかそういった面での必要技術は?
  私:家電品のネットワーク化とかそういった面ですか?(と逆質問。この人の質問はよく理解できない)当然このような家庭が増えますと系統が不安定になりますので電力貯蔵が重要になってきます。
 DL:家庭用の電力貯蔵としてはどんな方法がありますか?
  私:電力貯蔵にはいろいろな電池があります。例えばNAS電池とか。
 EL:NASは電力用ですけどね。電気自動車についてはどう思いますか?
  私:電池の性能向上にかかっていると考えています。いままで、リチウムイオン電池は発火の危険性があるため自動車には採用されずニッケル・水素蓄電池を使用していますが、より大容量化・小型化を考えた場合、リチウムイオン電池が有利です。リチウムイオン電池の安全性を高め、より小型で大容量化が可能となって1充電での走行距離が伸びれば売れるようになると思います。そうすれば価格も低下しハイブリッド車を凌ぐようになると思います。
(4)技術者倫理
 @R:技術士倫理に反するような行為としてはどのようなものがありますか?
  私:古くは姉歯建築士の構造計算改ざんがありました。また最近では原子力発電所配管溶接データ捏造といった事件もありました。
 AL:それらのことについてどの様に思いますか?
  私:絶対にやってはならないことです。いずれ自分に跳ね返ってきます。つじつまがあわなくなったりして、後でかえって状況を悪くすることになります。絶対にやってはならないことです。
(5)技術士制度の認識その他
 @R:3義務2責務を言って下さい。
  私:信用失墜行為の禁止義務、秘密保持の義務、公益確保の責務、資質向上の責務、あれ?後一つあったはずですけど…。
  R:名称表示の義務ですよ。
  私:ああそうでした。
 AL:資質向上はどのようにして実現されますか?
  私:電気学会の研究会への参加、電気学会全国大会への参加などを考えております。
 BR:学会発表等はされていますか?
  私:体験論文に書いています電気学会開閉保護装置研究会の論文2件は私が論文作成し、発表にも行きました。
 CR:査読付論文発表は?
  私:先ほど説明しました略記業務に書いてありますニューラルネットワークを利用した○○内部絶縁診断がそれに該当します。連名になっていますが私が論文作成したわけではありません。
 DL:先ほどの業務経歴説明の中にありましたが、電気学会の調査専門委員会の委員をやられたことがあるのですか?
  私:はい。○○調査専門委員会の委員を3年間務めました。
 EL:技術士になると社内での待遇はどうかわりますか?
  私:待遇はかわりません。私はすでに定年退職していますので。それよりもボランティアをやりたいです。技術士会のHPにもありますように理科支援員配置事業とか科学コミニュケータ事業です。子供たちと直接接して子供たちの理科離れを防ぐ貢献をしたいと思います。
    (面接官納得)
 FR:それではこれで終了します。
  私:ありがとうございました。

  2010年3月6日 追記
 1月10日より約2ヶ月間、悶々とした日々をすごした。この試験は合否が自己判定しずらく、他の資格試験と比較して悶々度が高いと思う。
 3月5日(金)に2次試験合格発表があった。おお!技術士会のHPに私の受験番号があるではないか! やった!合格だ。しかしながら私の選択科目の電気応用は口答試験合格率が68%で部門最低。よくも受かったものだと胸をなでおろした感じである。めでたしめでたし…。が、53人中17人が不合格である。不合格になった人ごめんなさいという気持ちになる。さぞかし悔しいことであろうことが想像できる。私がその立場であったら次も受験する気になれるかどうかわからない。ああ…。

   しかし、いつまでも同情ばかりしていられない。次は何を目指すか。。。。

参考書:なし WEB上の各種体験記を参考にした。

 受験費用
  面接会場までの交通費:13,000円×2=26,000円
  ホテル代      :        8,000円
  合計        : 34,000円

合格までの総費用
 平成19年度1次試験費用合計:14,150円
 平成20年度2次試験費用合計:16,400円
 平成21年度2次試験費用合計:14,000円 (筆記のみの費用)
 平成21年度口答試験費用合計:34,000円
 合計            :78,550円

 あと、登録費用が37,000円程度かかる…。小遣いが…。
二次口答試験受験記(H21)