1.受験申し込み
  2回目の2次試験申し込みである。今回は経歴証明がいらないのでインターネット申し込 みにする。便利である。今回は選択科目を間違えずに電気応用にした。また、専門技術を 電気機器性能 検証・診断装置開発技術という領域を独自に設定した。(長ったらしい)ネッ トで支払いもでき、郵 便局に行く必要もない。4月14日簡単に申し込みは終了。

2.受験勉強
  昨年作ったノートに加え、新しくA4のノートを用意し、昨年になかったキーワードを抽出してその内容を1キーワードにつき1ページで書き込んでいこうと決め、33項目を抽出した。このキーワードを1ページごとに書き込むことはすぐにできたが、内容を埋めていくことは昨年と同じで遅々として進まない。6月を終わって書き込み完了したのは5ページほどであった。しかし、その最初のページにあった、発電設備の課題と解決策というキーワードに対する書き込み内容が、結果的に筆記試験を大きく左右する内容であった。書き込み内容は国内発電所の種類別発電電力量の割合と、種類別ごとのCo2排出量(s/kw)、発電単価(円/kwh)の一覧表であり、最初のページであるため何度も読み返した関係でよく記憶に残る結果となった。
  さて、7月に入って土日及び海の日前後の4連休をすべて勉強にあてるおなじみの直前駆け込み勉強の開始である。朝から晩まで1日9時間勉強する昨年と同じパターンで勉強を進める。この2年 間、7月の休みはどこにも行っていない。エアコンなしの暑い部屋で扇風機だけでPC画面とにらめっこが続く。試験前日までに予定のページをすべて埋まったが、ほかにもおさらいしておきたいことが…、でも時間がたらない。ま、おなじみの直前駆け込み勉強だからしかたがない。しかし、この試験はいくら時間があっても不安が残るような気がする。まあこれぐらいにしておくか、と早めに床につく。

3.8月2日(日)受験日 いざ出陣
 出勤日と同じように6時に起床。7時の電車に乗り、試験地の大阪産業大学を目指す。出かけると きは雨が降っていたが、野崎駅につく頃には雨が上がっていた。例によっておっさんたちの行列が 延々と続く。少し太陽がでてきたので暑くなってきた。予定通り教室に到着。去年と同じ教室だ。しかし、選択科目が違うので少し奥に移動し階段教室の後ろの方になり、しかも3人掛けの机の右端 だった。昨年と違い出入りがやりやすく、気分的に楽である。そうこうしているうちに、午前の試験が始まる。
@必須科目(午前の部:10時〜12時半
 午前の必須科目の問題が配布される。あらかじめ受験番号、氏名、選択科目、専門技術を記入  するが専門技術名がやたら長いので時間がかかる。もっと短くしておけば良かったと思いつつ記入 する。
 いよいよ試験開始である。問題文をめくる。あれ?問題が2つしかない。去年のように5つの選択科目分野より2問づつ出題され、自分の選択科目以外の3分野からそれぞれ1問選択して解答用紙1枚(合計3枚)に解答記入する方式ではない。
問題は次の2問。
(1)低炭素社会にむけた取り組みとして、電気電子分野における主要な課題を挙げ、  それらの  課題を解決する技術の開発・導入の現状と今後の展望について論理的に述べよ。
(2)地震などによる大規模な自然災害を想定し、被害を最小限とするための取り組みとして、電気   電子分野における主要な課題をあげ、それらの課題を解決する技術の開発・導入の現状と今後  の展望について、論理的に述べよ。

 迷わず(1)の低炭素社会を選択した。30分程度かけて論文構成を考える。
まず、前書きで地球温暖化防止のためにCo2の低減が必要なことを述べる。次に課題として、(a)我が国の発電電力のうち60%が化石燃料に依存しており、この比率を下げ、再生可能エネルギーの比率を高める必要があること、(b)電力使用の50%以上がモーター動力であり20%程度が照明なので、これらの省エネが必要であること、(c)我が国の全エネルギーの40%を運輸関係が占め、そのほとんどが化石燃料を使用しているため、この化石燃料の比率を低減する必要があること、と いった点をあげ、解決策として(a)は太陽光・風力等の再生可能エネルギーの比率を高める必要があり、そのためには出力の不安定さをカバーするための電力貯蔵技術を向上させる必要があること、(b)はモーターのインバータ装着率が20%程度と低いので、その装着率を向上させる必要があること、最新のモータへの換装を進める必要があること、照明はLED照明の技術開発と普及を図る必要 があること、自然昼光の積極的採用等のシステム化を図る必要があること、(c)は自動車の脱化石燃料化・省エネ化が必要であり、HB車・電気自動車への切り替えを図る必要があるが、そのた  めには燃料電池・2次電池の小型化・高効率化・低価格化が必要であること、といった点をあげた。また、最後のまとめとして政府の対応が必要であること訴えて締めくくる構成とした。
 以上の内容を肉付けし論文としてまとめたが、3枚の最後まで使い切る構成となった。我ながら上 出来であると判断、A判定間違いなしと確信した。
  30分以上余して論文完了。問題持ち帰りのため、見直しとアンダーラインを引く等の作業を続け時間まで在席した。

A選択科目(午後の部:13時半〜17時)
 午後の選択科目の問題用紙が配布される。午前同様解答用紙に受験番号・専門技術等を記入するが、枚数が午前の倍の6枚!記入にやたら時間がかかる。書き終わると同時に開始の合図があった。専門技術名は短めにしておく方が良い…。
 さて、午後の専門科目の問題はT−1が5設問のうち3設問を選び、解答用紙600字1枚にまとめる問題、T−2が3設問のうち1設問を選び解答用紙600字3枚にまとめる問題である。午前は3枚で2時間半に対し、午後は3時間半で6枚にまとめなくてはならず、時間の制約が午前より大きい。最大の焦点は3枚ものの問題をどうまとめるかである。これがうまくまとめられないと時間切れになる可能性が大きい。その3枚ものの問題は以下の3点であった。
(1) オール電化住宅の定義の説明、オール電化住宅で使用される設備・機器3つの概要説明、オ   ール電化住宅のデメリットを3つ挙げ、それを解決するための展望を述べよ。
(2) 高調波の発生原理、規制実施方法について、高調波の抑制法、高調波の今後の展望につい  てそれぞれ解答せよ。
(3) モータ制御用インバータに対するユーザ満足度を昭和63年と平成20年で比較し、大きく向上し  た項目3つを選び技術的理由を述べ、平成20年度において満足度がまだ高くない項目2つを選び、 今後の展望についてあなたの考えを述べよ。
 これらの問題で最初(3)項のインバータの問題が面白そうだったので解答を考えていたが、解答 できそうにない項目が1つあったため急遽(1)のオール電化住宅を解答することにした。オール電化の定義、機器概要の説明は簡単にできるが、問題はデメリット3つを何にするかである。1つめはエコキュート等の設備費が高く、夜間電力料金を使用しても耐用年数中にペイできないこと、2つ目は電力の発電所構成からCO2排出量はかえってオール電化の方が多いこと、まではすぐに思いついたが3つ目をどうするかで悩んだ末、IH調理器では鍋等の調理器具に従来品のアルミ、銅、土鍋等の調理器具が使えず、すべて新規購入せねばならないためロスが大きいことを挙げることにした。CO2の排出量については、午前の問題での解答をそのまま流用して説明、1kWhあたりのCO2排出量が電気は0.6kg、ガスは0.4kgという値になることを説明した。
 この値は私が独自に計算したものであるが正確かどうか自信はなかったが、数値表示したほうが説得力があると考え、記入しておいた。
 1枚ものの設問では以下の3問を選択解答した。
(1)T−1−2 トップランナー方式の説明と変圧器の効率アップ方法の説明。
(2)T−1−3 非接触給電の原理と応用例の説明。
(3)T―1−5 産業用誘導加熱装置と家庭用誘導加熱装置の違いをそれぞれ例をあげて説明。
 これらの技術がでてきた背景あるいは必要性等をしっかり述べて具体的説明を簡単に述べる感じで解答した。3枚ものの解答がよくできたと判断したのでこれらの問題では50点前後でも合格できるのではないかと思ったためである。10分ほど余して解答完了。解答用紙のチェックを済ませたあと周囲をみわたせる余裕もできた。まだ一生懸命書き込んでいるいる人がいる。あと5分といった時点で1ページほど残しているようだ。これでは合格は難しいのではないだろうか。昨年の自分を思い出す。
 17時まで在席し、終了。昨年と同様、西日の当たる中おっさんたちの行列の中に入り駅まで歩く。今年は昨年より出来が良いため、気分的に楽である。筆記合格になるかどうかわからないが、結果がでるのが楽しみである。

4.合否通知
 10月27日 技術士会のHPで筆記合格を確認。思わずガッツポーズが出る。2日後に届いた合否通知では当然A、Aである。だが、口答試験の日程は年明けの2010年1月10日の午前9時45分となっている。げげ!この時間帯では前泊が必要ではないか。旅費のほかにホテル代が…。費用は乏しい小遣いからの捻出なのでこれはこたえる。それに年明けでは時間が空きすぎて、正月休みが憂鬱である。ま、しかたがない。これも運命、身を任せるしかない。事前の勉強がたっぷりできると前向きにとらえよう。。。が、案の定、結局は直前の泥縄式対応になってしまうのだが…。

 参考書:20年度の参考書 技術士第二次試験「電気電子部門」対策 解答例&練習問題
     をそのまま使用。新規購入なし。著者:福田 遵  発行元:日刊工業新聞社

 受験費用
  受験料:14,000円
  合計 :14,000円
技術士2次試験(H21)受験記