二次試験H21年度問題
【午前】
必須科目                            10時〜12時30分

U 次の2問題(U−1、U−2)から1問題を選んで解答せよ。(解答問題番号を明記し、答案用紙3枚以内にまとめよ。)

 U−1 低炭素社会にむけた取り組みとして、電気電子分野における主要な課題を挙げ、それらの課題を解決する技術の開発・導入の現状と今後の展望について論理的に述べよ。

 U−2 地震などによる大規模な自然災害を想定し、被害を最小限とするための取り組みとして、電気電子分野における主要な課題をあげ、それらの課題を解決する技術の開発・導入の現状と今後の展望について、論理的に述べよ。



平成21年度技術士第二次試験問題【電気電子部門】    (午後)

選択科目【4−1】発送配変電                1時30分〜5時

T 次の2問題(T−1、T−2)について解答せよ。

 T−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

  T−1−1 原子力発電所用タービン発電機と汽力発電所用タービン発電機とで、極数が異なる理由を述べよ。また、設計上及び構造上の相違点を4つ挙げて説明せよ。

  T−1−2 直流送電の長所を3つ、短所を3つそれぞれ述べよ。さらに、適用例を3つ挙げ、その採用理由について述べよ。

  T−1−3 電力系統におけるループ系統と放射状系統について、送電能力・信頼度及び運用性の観点から比較説明せよ。また、放射状系統の事故時における供給信頼度向上のために、わが国でとられている方法を説明せよ。

  T−1−4 単相及び三相の低圧配電方式について、代表的な方式を3種類挙げ、その結線図を示し、特徴を説明せよ。これらは、一線または中性点が接地されるが、その理由について述べよ。

  T−1−5 遮断器の役割と要求性能を説明せよ。さらに、3kV以上の電力系統に適用される交流遮断器の種類を消弧媒体の観点から3つ挙げ、その特徴及びアーク消弧方法に関して、知るところを述べよ。

 T−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

  T−2−1 最近、バイオマス発電が導入されつつあるが、この社会的背景について概要を述べよ。バイオマスエネルギーの転換技術として、直接燃焼方式・熱分解ガス化方式、及びメタン発酵方式があるが、それぞれの概要と導入されている発電方式を説明せよ。また、バイオマスをエネルギーとして利用するに当たっての課題を3点述べよ。

  T−2−2 水力発電所に関する以下の問いに答えよ。
  (1)比速度の意味と定義を述べよ。さらに、ペルトン及びフランシスの各水車における有効落差と比速度の関係、及び出力と効率の関係について説明せよ。
  (2)発電所の単機出力と発電機台数を決定するときに考慮すべき点を、フランシス水車を採用した場合につき論ぜよ。

  T−2−3 避雷装置の役割を述べよ。また、これまで用いられてきた避雷装置の種類と技術的変遷を述べると共に、現在、変電所で主に用いられている避雷装置の特徴を述べよ。さらに、避雷装置に関わる今後の技術開発の動向について設備のコンパクト化の観点から、あなたの意見を述べよ。


選択科目【4−2】電気応用

T 次の2問題(T−1、T−2)について解答せよ。

 T−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

  T−1−1 誘導電動機の外部に制動装置を取り付けずに行う電気的制動法を3つ挙げ、それぞれの原理と特徴を述べよ。

  T−1−2 CO2削減を目的とした省エネ法ではトップランナー方式が制定され、高圧配電用変圧器がトップランナー方式の対象機器として指定を受けている。このトップランナー方式とはどのような方式かを説明せよ。また高圧配電用変圧器の効率を上げる方法を3つ挙げ、説明せよ。

  T−1−3 現在、大容量から小容量までの避接触給電装置が多く用いられている。非接触給電の原理を説明し、さらに応用例を1つ挙げて、その技術的特徴を述べよ。

  T−1−4 電気鉄道の交流き電方式と直流き電方式のそれぞれについて、変電所及びき電回路の特徴を説明せよ。

  T−1−5 産業用に用いられる誘導加熱装置と家庭用に用いられる誘導加熱装置の違いについて、それぞれの例を挙げて説明せよ。

 T−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

  T−2−1 最近「オール電化住宅」と呼ばれる住宅が増加している。オール電化住宅の定義は統一されていないが、あなたが考えるオール電化住宅の定義を述べよ。さらにオール電化住宅において、空調、調理などに使われる電気設備・機器を3つ挙げ、それぞれ概要を説明せよ。また、オール電化住宅のデメリットを3つ挙げ、それを解決するための展望を述べよ。

  T−2−2 高調波に関する次の問いに解答せよ。
(1)高調波が発生する原理について図を用いて説明せよ。
(2)高調波の規制はどのように実施されているか説明せよ。
(3)高調波の抑制法・対策法について説明せよ。
(4)高調波の今後の展望についてあなたの考えを述べよ。

  T−2−3 下図はモータ制御用インバータに対するユーザの満足度の推移を示したものである。この調査結果を参考にして、昭和63年度から平成20年度の20年で大きく変化している項目のうち3つを選び、その技術的理由を説明せよ。さらに平成20年度において満足度がまだそれほど高くない項目のうち2つを選び、今後の展望についてあなたの考えを述べよ。


選択科目【4−3】電子応用

T 次の2問題(T−1、T−2)について解答せよ。

 T−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

  T−1−1 76GHz帯を用いた自動車衝突防止用レーダが実用化されている。自動車衝突防止用レーダに76GHz帯が用いられている理由、及びこれを実用化できた技術的背景について述べよ。

  T−1−2 USB3.0はUSB2.0に比し10倍以上の通信速度を実現する。なぜこのような高速化可能になったのかその理由を述べ、USB3.0を用いる機器を設計する際の注意点を挙げよ。

  T−1−3 最近の携帯型オーディオ機器には1ビットDAC(1ビットDA変換器あるいはオーバーサンプリング型DA変換器)が用いられている。この1ビットDACの原理を説明し、なぜ最近の携帯型オーディオ機器に用いられているのか、その理由を述べよ。

  T−1−4 連続時間線形システムにおける伝達関数の極、零点と周波数特性の関係について図を用いて説明せよ。

  T−1−5 適応デジタルフィルタにおけるLMS(Least Mean Squares)アルゴリズムについて、その原理、応用例、課題等を述べよ。

 T−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

  T−2−1 最近の電子機器は高機能化のため、アナログ回路やデジタル回路、あるいはマイクロコントローラなどを駆使して実現されているが、そのため回路設計が非常に複雑になってきている。したがって設計間違いがなく、かつ設計期間を短縮できる効率的な設計手法が求められるようになった。このような複雑な回路設計を効率的に行うためにはどのような設計手法をとることが必要かについてあなたの考えを述べよ。

  T−2−2 電子計測機器は高性能化、簡易化してきており、デジタル表示/デジタル記録できるものが一般的になっている。測定の原理や精度に関する知識無く、これらの機器を使用して計測すると、思わぬ誤りを犯すおそれがある。そのような例を2つ挙げて説明し、精度、確度、あるいは分解能などについて論じ、正確な計測をするためにはどうすれば良いか説明せよ。また、1つの計測値を得るために複数回の計測を行うことの意義を述べよ。

  T−2−3 あなたが使用したことのあるMEMSセンサを2つ挙げ、その動作原理と      どのように使用したかを説明せよ。また、そのMEMSセンサは他の同一種類のセンサ比較してどのような特長があるかを述べ、今後あなたならどのように使用していくか、考えを述べよ。


選択科目【4−4】情報通信

T 次の2問題(T−1、T−2)について解答せよ。

 T−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

  T−1−1 ナイキスト周波数、折り返し雑音、アパーチャ効果、実際の標本化周波数とナイキスト周波数との関係について、それぞれ説明せよ。また最大周波数が20kHzの周波数成分を持つアナログ信号を、標本化定理を満足するようにサンプリングし、1024レベルで量子化を行ったのち、2値のPCM(Pulse Code Modulation)信号として伝送するとき、ビットレートは最低いくら必要か。

  T−1−2 ルータがIP(Internet Protocol)パケットを処理する上での基本原理を説明し、類似の処理をする他方式との違いについて簡潔に述べよ。ルータのアーキテクチャの変遷に関して、背景と特徴、及び今後の見通しについて説明せよ。

  T−1−3 PON(Passive Optical Network)システムについて、その基本構成を説明し、そのメリットを2つ述べよ。また、現在標準化されているギガビットクラスの
   PON規格を2つ記せ。さらに、複数のユーザが安全に双方向通信できる仕組みについて説明せよ。

  T−1−4 無線LAN(IEEE802.11b)システムとGPS(Global Positional System)では、スペクトル拡散通信方式のどのような特徴を利用しているのか、それぞれ特徴を2つずつ挙げて説明せよ。また、第3世代移動通信システムでは、多重アクセス方式としてCDMA(Code Division Multiple Access)が用いられている理由を3つ挙げて説明すると共に、無線LANではなぜCDMAは用いられず他の多重アクセス方式が採用されているのか説明せよ。

  T−1−5 「クラウド」の活用が注目されているが、その背景と概要、技術的特徴を述べよ。情報通信サービスの観点から、今後取り組むべき課題を3つ挙げ、説明せよ。

 T−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

  T−2−1 ICT(情報通信技術)は多大な便益をもたらす一方、意図しない情報流出や悪意ある攻撃などのセキュリティ問題にも直面してきた。今後見込まれるNGN(次世代通信網)やIPv6などの技術進化、ワイヤレス化の進展、情報家電の普及などで、端末数の増加や一般への利用普及がさらに進むことなどが想定される。情報セキュリティに関する現在の課題を挙げ、これらを踏まえて、今後の課題を分析せよ。また、今後の課題に対する解決策について、あなたの考えを述べよ。

  T−2−2 移動通信環境において高速・高品質・低遅延のブロードバンドシステムを実現するために克服すべき課題を挙げ述べよ。それら課題を解決するためには、どのようなシステム構成方法、変調方式、誤り制御方式が有効であるか、それぞれについて具体的説明せよ。また、これら技術の将来展望について、あなたの考えを述べよ。

  T−2−3 光通信技術の主要な3つの構成要素技術(光ファイバ、半導体レーザ、光ファイバ増幅器)について、それぞれ、原理、特徴、長距離・大容量通信を可能にする理由について述べよ。また、今後のさらなるトラフィック需要の増大に対して取り組むべき課題と解決策について、あなたの考えを述べよ。


選択科目【4−5】電気設備

T 次の2問題(T−1、T−2)について解答せよ。

 T−1 次の5設問のうち3設問を選んで解答せよ。(設問ごとに答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、それぞれ1枚以内にまとめよ。)

  T−1−1 受変電設備の主変圧器LTC制御されることがある。
(1) このLTC制御とはどのような制御であり、何を目的とした制御か。
(2) 単線結線図を図示し、この図を用いて動作を述べよ。

  T−1−2 電力需要設備の「使用前自主検査」に関して、実施する検査項目を4項目挙げ、それぞれの内容を述べよ。

  T−1−3 ビルなどに設置されている自動火災報知装置の構成要素5つを簡潔に説明し、これらを設置する際の留意点について述べよ。

  T−1−4 高圧設備に使用されるケーブルについて、以下の問いに答えよ。
(1) 現在最もよく使用されているケーブルの名称を述べよ。
(2) そのケーブルの劣化原因の代表的なもの2例について、簡潔に述べよ。
(3) そのケーブルの絶縁診断の方法で、現場でよく使用される方法を2つ明示した上で、どちらか1つについて測定方法及び留意点について述べよ。

  T−1−5 接地に関する以下の問いについて、3問中2問を選択して答えよ。
(1) 電気設備基準で示されている接地工事の種類を述べ、それらの概要を説明せよ。
(2) 電気設備技術基準では所定の接地抵抗値が定められているが、その値が得られない場合の対策法を複数示し、それらの方策を適用する場合の留意点について述べよ。
(3) 下図のような半径rの半球状の接地電極の接地抵抗値を以下A)〜C)のように求めよ。ただし大地の抵抗値をρとする。


A)上図のように電極の中心からIだけ離れた点で、厚みdIの同心球部分の抵抗dRを求めよ。(曲面部分を等価的に平板と考えて抵抗値を計算する。等価的な平板の厚みはdI、面積は半球の表面積を用いる。)
B)電極表面(I=r)から、距離r1までの合成抵抗値を求めよ。
C)距離r1を無限に大きくしたときの抵抗値を求めよ。

 T−2 次の3設問のうち1設問を選んで解答せよ。(答案用紙を替えて解答設問番号を明記し、3枚以内にまとめよ。)

  T−2−1 以下の問いに答えよ。
(1) 国が法律で定めているトップランナー方式とはどのような制度か概要を述べよ。
(2) 電気電子機器でトップランナー方式の対象となっている機種を、変圧器を除いて6種類以上記せ。
(3) トップランナー変圧器の対象となっている種類を記せ。
(4) 変圧器の等価回路を描き、損失との関係を述べるとともに、各損失の負荷電流依存性を図示して最大効率点について記せ。
(5) (3)で挙げた変圧器の損失低下に関する技術的背景を損失の種類ごとに述べよ。

  T−2−2 近年省エネルギーが求められているが、省エネルギーに関する以下の問いに答えよ
  (1)ビルエネルギー管理システム(BEMS: Building and Energy Management System)    とは何か。また、企業におけるBEMS導入のメリットを述べよ。
  (2)照明設備の省エネルギー技術について、機器単体及び照明システムのそれぞれについて2つ以上例を挙げ、それらについて簡単に述べよ。
  (3)LCA(Life cycle Assessment)とは何か。また社会及び企業において、LCAを行うことのメリットには、何があるか。

  T−2−3 建物の電気設備に関わる建設計画においては、負荷、電源、情報通信、管理設備など、すべて検討する必要がある。数百人程度収容可能なメインアリーナを持つ公共的な多目的体育館に必要な情報通信設備を列挙して各項目について説明し、設備設計における留意点と今後の展望を具体的に記述せよ。