不正咬合、矯正治療についての説明

一口に不正咬合と言っても、その状態はさまざまで患者さん一人一人で異なってきます。 一度診察させていただいたうえで、治療期間、費用、用いる装置など、治療のアウトラインを説明致します。

治療を開始時期については、もう少し治療開始を待ってよい場合もありますが、手をこまねいている間に難しい状態へと変化してしまう ことも多く見られます。早めに受診されることをお薦めします。

矯正治療に年齢制限はありません。大人の方も歯周組織のお手入れがきっちりできている場合は矯正治療ができます。大人は無理と決め込まずにご相談ください。どうしても装置が気になる方には、矯正装置が外から見えない装置や透明で目立たない装置で治療も行いますのでご相談ください。

*乳歯の歯並びもご相談ください
1)姿勢をただし、癖をなおすなどの対応、注意でよくなることもあります。
2)簡単な装置で治せることもあります。
3)難しい症例と判断された場合は、その後の対応をご説明させていただきます
虫歯の予防をしながら、歯並びの良い子に育てましょう!

治療の進め方
初診相談(カウンセリング)
まず歯並びを見せていただき患者さんの希望や心配な点をお聞きします。そして治療方法、期間、費用のアウトラインをお話します。

検査:
歯型模型、歯と顎のレントゲン検査、口腔と顔面の写真検査を行います。状態によっては顎関節の精密検査を追加する場合もあります。

診断説明:
精密検査の結果をもとに不正咬合の状態を詳しくお知らせします。ついで治療方法や期間についてインフォームチョイス(この言葉の意味は下記の治療方針をご覧下さい)に基づいて相談します。
歯みがき指導 クリーニング(PMTC):
治療に先だって歯みがき指導を行います。固定式装置が入った時には装置に合わせた指導を行います。
自分だけでは取れない汚れがたまって行かないように定期的に歯科衛生士が専門的にクリーニングをおこないます

治療開始:
いろいろな矯正装置を使って歯を動かす動的治療を段階的に進めます。
小さなお子様には負担の少ないやり方で治療をスタートします。患者さんご自身のご意向を尊重して、装置や使い方も工夫します。
3〜5週間に1回の通院になりますが、装置が壊れたり、不快な事があればいつでも受診して下さい。

保定(アフターケア):
正常なかみあわせになって装置がはずれた後、歯並びを安定させるためのアフターケアが必要です。比較的簡単な装置を入れて3〜6ヶ月に1回、検診のつもりで来院して下さい。

不正咬合の予防:
不正咬合には2つの原因があります。
 一つは先天的なもので、いわゆる遺伝からくるものです。歯の形も数も大きさも、顎の形も大きさも、目の大きさや鼻の高さと同じように、親の影響を受けます。残念ながら、この点に関しては予防は無理ですので、矯正治療を受けなければなりません。
 もう一つは後天的なものです。これは、生まれた後の悪い環境によって作られるものですから予防ができます。ちょっとした知識を持つことで、矯正治療を受けずに済めば、こんなに素晴らしいことはありません。
 以下のチェックをして、お子さんの不正咬合を予防してください。
 ちゃんと口唇を閉じて、鼻で呼吸をしていますか?
 最近、ぼーっとしているとき、例えば、人のお話を聞いている時やテレビを見ている時に、口が半開きになっている子供達をよく見かけます。うちの子は大丈夫、もしくは、時々かな?と思われた方も、子供さんが何かに夢中になっているとき、そーっと横から覗いてみてください。意外と開いているかも?
 赤ちゃんは哺乳時、必ず鼻呼吸をしています。が、幼児期に鼻がつまりやすい時期があったりするとすぐ口で呼吸するようになります。鼻づまりが治っても、そのまま口呼吸を続けている子がたくさんいます。鼻がつまっているからしかたがない、ということもありますが、逆に口呼吸をするために、ほんとうは鼻で呼吸ができるにもかかわらず、習慣性に鼻からではなく口で呼吸をしてしまうようになったりもしてしまいます。鼻の調子の良い時に、鼻呼吸に戻す努力をしましょう。
口呼吸をするとどうしていけないのでしょうか?
 空気の通り道を確保するため、舌の位置が下前方に位置するようになります。すると、上あごの発育が阻害され、下の歯列が大きくなって、受け口あるいは顎偏位といって左右にずれる状態になりやすくなります。逆に出っ歯の傾向を強くする場合もあったり、開咬といって、前歯がかみ合わない状態を作り出すこともあります。
 歯並びが悪くなるほかにも、歯ぐきが腫れやすくなったり、歯につく汚れがねばっこくなり、容易に清掃できなくなり虫歯ができやすくなることもあります。
指しゃぶりをしていませんか?:
 胎児がお母さんのお腹の中で指をしゃぶっている写真があります。生後まもなく指をしゃぶるのは生理的な状態であると言われています。が、2、3才にはやめるように導いていきましょう。小児科の先生の中には、無理に指しゃぶりをやめさせると精神的なストレスが大きくなるので、やめさせないほうが良いと言われる先生もおられるとのことですが、指しゃぶりを続ければ、正常咬合はほとんど望めません。出っ歯や開咬という前歯がかみ合わない状態の歯並びになります。舌や頬の筋肉の使い方にも、悪い癖がつきますので、口腔周囲筋トレーニングも必要になってきます。後の矯正治療の大変さを考えれば、精神的な負担が少ないやり方で、やめさせてあげるようにしましょう。

頬杖をつく、うつぶせ寝をする、いつも同じ方向を向いて寝るなどの癖はないですか?
唇をかんだり、ギュッととじたり、巻き込んだりをひんぱんにしていませんか?いづれも顎がいがんだり、ずらしたり、歯並びを変形させてしまいます。
たいてい、気づかないうちに良くない癖が定着してしまいます。気づいたらできるだけそういう癖をとりのぞきましょう。
矯正治療についても“予防に努め、悪化を防ぐ”為に受診しましょう