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◆だんじり日記8・子供の世界(建築ジャーナル 2003年12月号掲載)

 だんじり祭りが終わり肌寒くなるころ、
岸和田の下町の路地裏では思い出したかのように
子供たちの「ソーリャ!ソーリャ!」の声が聞こえてきます。

4、5人のグループで仲良くロープを持ち、
ガラガラと手作りのだんじりを元気いっぱいに曳いています。
 このだんじりはもちろん子供たち自身が作ったものです。

グループの代表格が音頭をとり、仲間を集め、
木片や釘・かなづちなどの道具を手分けして準備します。
慣れない手つきでのこぎりを引き、かなづちで釘を打ちます。
自分たちの好きなだんじりのために全員が力をあわせ、夢中で作業に没頭します。
もちろんケガもしますが、早く完成させたいので少々の痛みは我慢します。

 組み立てはおおむね、土台→柱→外壁板貼り→屋根の順序です。
拾い集めた木片の適材適所を自分たちで考え、さらにディテールまで決めます。

完成すればいよいよ待ちに待ったプチだんじり祭りが始まります。
本番に負けないくらいの迫力で連日夕暮れまで曳行します。
槍まわしでだんじりが転倒したり歩道の段差にぶつけたりを繰り返すうちに
少しずつ破損が大きくなり、とうとう動かなくなります。

うまい具合にその頃には子供たちもプチだんじり祭りに飽きる頃です。
あれだけ情熱を傾けた手作りだんじりもあっという間にガラクタに変わります。
 岸和田の知られざる一面ですが子供の世界に受け継がれているすばらしい文化です。



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