全体から?部分から?ものの見方・考え方
自然習得のこと@ヤッピィ


インターネットで重たーい大きなデータの情報をダウンロードするとき、回線が遅いと、
とても時間がかかりますよね。写真だと上から少しずつ見えていくことが多いかな。

ここではインターネットやコンピュータという機械のことではなくて、
人間が情報をゲットする時のお話です。

私たちは、
大きなものを見るときや、大きな情報を得るのに、少しずつしか情報をゲットできないとき
とても時間がかかりますよね。

皆さんがこのような
大きな情報をゲットするとき、どういう風にして全体を理解していきますか?


その情報のゲットの仕方は、大きく二通りの方法が考えられます。


ひとつは、情報全体を捉えながら、まんべんなく少しずつ、もやもやとした状態からだんだんはっきり
と情報を得る方法‥
かな。いわゆる全体から見ていく方法ですね。

二つ目は、情報全体の最初の部分から順番に、きちんとはっきりと情報をゲットしていく方法‥です。
いわゆる
部分から見ていく方法ですね。
私、理科系の技術者で、今までほとんどこの方法で学問も、仕事もしてきました。


そこで、今回は
画像という目で見える形で、情報をゲットしていく二通りのやり方を見ていきます。


デジタルカメラの写真はたくさんの点の集まりってことは皆さんご存知ですよね。

メガピクセル、って100万個の画素って言う意味です。

たとえば15万個の点の集まったきれいな写真があるとします。
でも15万個ってものすごく数が多いので、少しずつ手に入れて見ようとします


全体から見ていく方法

全体を捉えながらまんべんなく見ていくと…

情報量


部分から見ていく方法

左上の端から順番に点を拾っていくと

全体の
0.03
の情報
(画素数 50)

50だとこんな感じ、これ何だかわかりますか?ぼやーっとして何が何だかわからないなあ。

左上端からの50だと小さすぎて全然わかりません。少しだけ白い部分が……。

 

全体の0.2の情報
(画素数 300)

300点ゲットするとこんな感じになります。
想像力を働かせると、なんかもやっとしたものが…。

左上端からだと300では白い部分が少し大きくなっただけ、まだまだ何もわかりません

 

全体の
1
の情報
(画素数 1,500)

ちょっとずつ増えて1500点ゲットすると、なんとなく真中に金色の物がありそう。

左上端からだと1,500でもまだまだ何もわかりません

 

全体の
4
の情報
(画素数6,000)

6000個の情報がわかると金色の建物でしょうか…
ぼんやりと見えてきました

左上端から見ていると、6,000になっても白い部分だけで、何も見えません

 

全体の
10
の情報
(
画素数 15,000)

10%の情報量の15,000だと、そうそう金閣寺です
大体わかります

左上端からの方は10%の15,000で、やっと何か違うものがかすかに見えてきた。でも、全体は見えていません。

 

全体の
20
の情報
(画素数 30,000)

20%の30,000では、ほぼ間違えずに金閣寺の全容わかります。手前の松と庭園がきれい。

左上端からの方、何だか金色の建物の一部がわかるけど20%の情報では全体はやはりわかりません

 

全体の情報
(画素数 150,000)

全体の情報
(画素数 150,000)

最終的に15万個全部ゲットしたのがこれです。
全体からみた2030,000個と変わらなですよね。10%の15,000個でも大筋ではわかるくらい。
端からゲットしたときは10%では全体が見えず何もわからなかったのに



自然習得って何だろう?

振り返って自分のことをみると、私が中学・高校・大学で勉強してきた英語も、英語全体のうち

一つ一つの単語の意味を日本語に置き換えながら端っこから順番にまじめに英語の部品を

組立てながらやってきました。ひとつのことを完全に理解してから次のステップに進む

こうして中学・高校と進んできたけれども、自分の英語力はまだ全体の46,000点くらいの

ところかな。英語の全体がよくわからないまま勉強していた…。

きちんと文章の組み立てがうまくいってから、しゃべろうと思っていました。

でも、いつまでたっても完全には至っていないから、しゃべる勇気が出なかった。

このような私がやった英語の語学勉強とは全く違って、全体を捉えながら、少しずつ情報をゲット

して進んでいくのを実践しているのが赤ちゃんなんです。

周りで聞こえる日本語などの母語の環境で、全体を聞きながら少しずつ情報を拾って

赤ちゃんは50個〜300個位でも十分会話をしているのです

完全な言葉がもし15万個の情報の写真としたら、全部の15万個は遠いけど、

全体を捉えながらゲットした1,500個、たった1でも何とか通じるんです。

幼児なら6,000個くらい、小学生なら15,000個くらいの段階でしょうか、大人のようにはっきりとは

わからなくても、この段階で大人と全くコミュニケーションに不自由はありません

これがまさに自然習得なんです。

私は赤ちゃんのときから、日本語は自然に習得し成長してきたのに、部分から勉強して苦労して
やってきた英語は、部分から見た10%あたりで、全体が見えないまま挫折しちゃったのでしょうか。

今は、いろいろな言葉を、赤ちゃんのように全体を捉えながら、楽しんでいこうと思っています。

 

私はもともと意味のわからないことをほって置けないタイプ、がちがちの理科系、理屈屋です。

分かってからでないと次に進めない、一つ一つを完全に理解しないとしゃべれないタイプでした。


ここでは、すべてが全体から捉える方法が優れているといっているのではありません

ものの見方や考え方は、このように二通りあるということをお分かりいただきたいと思って、

このページを書きました。

言葉の面では赤ちゃんがやってきたように全体から捉える自然習得の方法が向いています

しかし、たとえば数学という学問は、部分からやって、ひとつずつ理解し、次のステップに進む

というやり方が適していると思います。


また、自分がいま、社会人として企業で生きてきたことを振り返ると、これまでは部分ばかり見ていた

けど、やはり全体を捉える見方もすることが必要じゃないかと思います

やはり、人間は、フレキシブルにいろいろな考え方をもち、理解することが大事だなと思っています。



注) ピクセルの話は、大阪で高校の物理の先生をしているYゆうちゃんのアイデアからヒントを
得ました。部分と全体の話は、ドイツのノーベル賞受賞の物理学者ハイゼンベルグさんの考え
と、彼と一緒に研究された京都大学名誉教授の物理学者 先生(ヤッピィも存じ上げています
のお話からヒントを得ました。