フランス語学習

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 フランス語学習に役立ちそうな書物を、私の知る範囲内で、集めまし た。 コメントは調査ではなく、私自身の個人的知識に基づきます。私の手元の書籍が古ければ(コメント時には最新版を使用しています)、改版により、ここでのコメントが、もはやあてはまらないということもあります。コメント欄では、できる限り、使う人の立場にたって、具体的な使い勝手や内容のレベルを説明しました。そのために、筆者自身が参考書として使用するか、少なくとも詳細な教材研究を行いました。たとえば、単語集や熟語集は全編を通じて暗記作業を行ったり(全部が身に付いたらなあ)、CD付きは自分で実際に書き取りなどを行いました。ですから、一使用者としての気持ちも含めて、率直にコメントしています、本を売りたい出版社の方や、苦労して教材を作成された執筆者の方には、ちょっと厳しいコメントもあるかも知れません。

 レベルは、フランス語学習者を、次のように分類しています

  • 初心者:フランス語歴1年以内
  • 初級者:フランス語歴2年目以降;フランス語検定4-3級受験レベル
  • 中級者:フランス語歴3年目以降;フランス語検定準2級・2級受験レベル
  • 上級者:フランス語検定準一級・一級

辞書

 最近の辞書は本当に良くなった。学習辞書に関して言えば、ここ数年のうちに購 入したものならば、どれを使っても、大きな差はない。
 辞書に関しては次の点に注意すること。
  • 紙媒体の辞書と電子辞書:
    電子辞書の長所は初心者でも早く引けること、圧倒的に軽く持ち運びに便利なことがあげられ る。一方、紙媒体の辞書の長所は、大きな範囲で語彙記述や変化表を見渡せること、用例が見やすいこと、地図がついていることがあげられる。一方の長所は他方の短所となる。出先では電子辞書を、自宅や図書館では紙媒体の辞書を利用すると良い
  • 和仏インデックス・和仏辞典:
    最近の学習用仏和辞書には和仏インデックスがついている。これはあくまで、索引にすぎないので、必ず、仏和辞典の記述を見直さなければならない。実は、それは和仏辞典でも同じである。一つの日本語表現には複数のフランス語表現が対応するし、複数の日本語表現に対応する一つのフランス語表現もある。和仏辞書に仏和辞書なみの記述を求めれば、辞書は重複箇所だらけの膨大なものとなる。この事実を忘れて、優れた和仏辞典がないと嘆くのは的外れと言わざるを得ない(ただし、和仏辞書の語彙数がまだまだ不足しているのは事実である)。
  • 辞書はたくさんあると便利:
    同じ仏和辞典でも、出版社が異なれば、記述内容が異なる。和仏辞典も同じ。中級から上級 レベルの境目にあたりでは、複数の辞書を持っていた方が良い。特に使用頻度の高い基本語を複数の辞書で引き直すのはとても勉強になる。

中級-上級NO1

フランス語を本格的に勉強しようとする人は、必ず必要な辞書だと考えて良い。収録語彙数が群をぬいているし、ある程度百科事典的要素を持っており、フランス語界において、、『リーダース英和辞典プラス』の地位を占めている。
大部で携帯には少々不便だが、持ち運べないことはない。
1985年の旧版と混同しないようにすること。新版は電子版を収録したCD-Romがついている。


仏語のプロ、 あるいはプロ予備軍なら、個人で所有している人が多い。だが、実は、仏語学習者にこそ、利用して欲しい辞書である。学部生なら、この辞書までは、きちんと引いてから、「この単語、辞書にありませんでした!」と言って欲しいものである。
もちろん、購入する必要は無い。図書館で利用すれば良いのだから。

中級No 1!

たぶん、業界シェア・ナンバーワンなのではないかと思う。私も、初心者が最初に手に取るべき辞書として、これを推薦している。理由は単純で、よく売れているので、何度も版を重ねているからである。それだけ、新語の採用や、誤植の修正が、頻繁に行われているということである。と以前は書いたが、最近の辞書は本当に良くなったDicoも完成度は高いが、今では、中級者の二冊目として勧める。

 


初級No 1!

現在、初級者に最もお勧めできる辞書がこれである。基本語彙に関する、用法の記述が優れているからである。辞書は単語の意味を調べるためだけではなく、単語の全体像をつかむためにも用いる必要がある。この辞書は、そうした要請によく答えている。実を言えば、私自身もよく使っている。基本語のニュアンスの違いや使い分けは、それだけ難しいのである(というのは言い訳かも)。



実は左の商品がお勧めということではない。 「電子辞書」がお勧めなの だ。英和辞典と仏和辞典を鞄につめこんで、片道二時間かけて、大学に通った苦労を思い出すと。「辞書は紙の方が良い」とか、「苦労して調べるから身に付く」な どという御託を並べる気がなくなる。なんと言っても、「調べないよりは、調べた方が良い」だ。
和仏辞典も収録されているのがありがたい。
(右へ)

Exwordに三つの仏和辞書が収録され、和仏辞書も収録されている。一方、タブレットやスマートフォンを持っている人は、アプリとして辞書を買うことも可能である。

電子辞書は、きわめて強力なツールだが、初級者にとっては、小さな画面(たとえiPadでも!)で『ロワイヤル仏和中辞典』や『ロベール仏和大辞典』などの中・大型辞書を利用するのは無謀である。これらを使うなら、紙媒体ものを利用するべきである。広いページを見渡せてこそ、辞書は役に立つのである。





参考書


中級-上級者NO1

実は私が使いこんだのは、旧版の方 である。旧版は仏文学を専攻する大学院生のバイブルともいうべき存在だった。名前の通り、事典なので、必要事項を調べるのに使うのだが、優秀な院生は、これを通読 (!)するのであった。私はついぞ、優秀にはなれなかったのだが...。これはその増補改訂版である。値段ははるが、旧版の倍くらいの厚みになっている。 文字も大きく読みやすくなった。


上級者NO1

右の書物の著者、朝倉季雄先生の文法エッセーを収録した書物。私のような似非フランス語専門家の化けの皮がするりと剥けてしまう恐ろしい本。


初心者-初級者No 1!

フランス語学習の第一歩に最適な参考書である。フランス語を読み・書き・話すための基本文法事項が網羅されており、練習問題も豊富で、丁寧な解説がつい て いる。この本より薄っぺらい初級文法書で勉強するのは時間の無駄である。
仏語検定三級までは、この本で対応できる(試験の傾向と対策は、別途必要)。

   

中級者向け NO1
フランス語を勉強して、一年ないし、一年半ほどの学生に勧めます。

とにかく、スパルタで、厳しい問題集です。右となりの第二巻とあわせて、63日間、ひたすら、鍛錬の日々を過ごさねばなりません。私は二年生の夏休みに仕 上げましたが、 結構きつかったです。(右へ)


しかし、得られる物 も大きいです。これを真面目にこな せば、フランス語検定二級は、ほぼ確実です(試験の傾向と対策は別途必要)。

残念ながら長らく品切れです。出版社にはぜひとも再版をお願いしたい。







単語集

 まず、単語集を作成する場合、、その中に基本単語を入れるどうかの問題があ る。ある程度のキャリアを積んだフランス語教師なら、500-1000語レベルまでの基本単語(初心者-初級レベル)に関しては、だいたい一致を見る。 2000語レベルで、初級者向け、初心者向けを標榜しながら(実際には初級-中級レベルになるが)、基本単語の重要なものが抜けているなら、その単語集は 信頼に値しない。一方、基本単語を省いた(あるいは販売促進のため、少しだけ収録した)単語集となると(中級-上級レベル)、その収録語彙の傾向は相当に 異なってくる。これは善し悪しの問題ではなく、方向性の問題であり、作成者のキャリアによる偏向である。
単語を覚えるこつは
  1. 同じ単語集を繰り返すよりも、異なった単語集を一から覚え直す方が良い(傾向順、abc順、テーマ別単語集といったふうに、単語集にはそれぞれ違いがある)
  2. 中級-上級レベルの場合、個々の単語が自分に必要かどうかを考えるのは無駄である。必要のない単語は時間が淘汰する。とにかく一旦は覚えること(覚えれば、不要と思った単語も、思いのほか頻繁に目にすることが多い)。
  3. 上級レベルでも、単語の暗記は続けること。辞書を引かないで本が読めるようになると、暗記をやめる人が多い。が、辞書を引かないで読める本のジャンルは、まだ限られているはず。世界を広げるには、暗記を続けるべし。

初級者向け

『リカの...』も右隣の『基本500語』も入門者には不向き。情報量の多すぎる単語集、分厚い単語集は、暗記の道具としては使いづらい。単語と訳語が一 対一になった薄い単語集の方が使い勝手が良い。
 とはいえ、大学で1年間フランス語を学んだ程度のレベルの人が復習に用いるには便利である。
 ただ気になるのは、不要なイラストが多すぎるということである。不要な余白
(右に続く)


や大きすぎる文字も気になる。
 真面目に勉強したい学生からすれば、持ち歩きやすいようページ数を減らし、本のサイズを小さくして欲しいはずである。
 一方、『基本500語』にアルファベ順の索引がついていないのも不便である。先に述べたこととは矛盾するが、ページ数が多少増えても、暗記する者の立場 からは、訳語と単語の索引がついていれば、確認に使えて、非常に便利である。

中級者向け

検定に合格する事と、語学の習得は必ずし も比例しない。実際、かなりの実力をもった学生が不合格になったり、どう考えてもフランスを習得していない学生が合格したりする。

その一因には、試験の傾向と対策を重視するかどうかということにある。右の書物とあわせて、試験に出易い単語や動詞活用を覚えることは、合格への近道とな る(右へ続く)


中級者向け

「検定のための勉強」なんて、と思うかも しれない。けれども、実力があるのに不合格を食らうのはばかばかしい。
それに、検定の問題は非常に良く練られており、本書に登場する単語や動詞活用は、フランスを身につける以上、いずれ、いつか、どこかで、覚えなくてはなら ないものばかりである。なら、今覚えて損は無いのである。

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お勧めできない

 語学は気楽に勉強するべきだという筆者の姿勢には共感できるが、いかんせん単語が偏っている。「フランス語検定に受かるかも」などと書いてあるが、かなり、怪しい

 復習をかねて、さらっと読み跳ばしてみるのには楽しい本かもしれないが、最初の一冊としてはお勧めできない。

 

お勧めできない

単語選定基準がむちゃくちゃ。初心者にも中級者にも役立たない。初心者や初級者は「はじめての」という甘い文句につられて、購入しないこと。中級者以上はもっとましな単語集を探すべき。


上級者向け。

 フランス語学習者が最初に覚えるべき2000語とはほど遠い内容であるフランス語検定2級以上の人が利用する分には、悪くない単語集である。知らない単 語にチェックを入れて、それだけを覚えれば、語彙力の増強をはかることができる。それだけに、最初の40頁ほどが初心者向けを装うやり方には、読者の信頼 を失う行為だと言わざるを得ない。


上級者向け

 かなりの上級者向けでありながら、人称代名詞が収録されたり、基本的会話表現を巻頭に付したり するのは、読者を欺く行為だと言わざるを得ない。
 とはいえ、フランス語検定準1級以上を取得した人が語彙力を増強するのに利用するには便利な単語集である。中には首を傾げるような訳語も見受けられる が、利用者が それなりのレベルに達している限り、問題にならない。


熟語集

検定2-3級の受験者には絶対にお勧めしない。理由は簡単で詰め込み過ぎだからである。 なぜ「仏検2-3級対応」と銘打ったのか、理解に苦しむ。久松氏は多くの信頼にたる、良質な参考書を提供している。それだけに、本書には、がっかりさせられる。「頑張って丸暗記する!といった受験フランス語のような発想をもってほしくないのです」というのであれば、タイトルから仏検云々を外すべきである。検定受験者が求めているのは、暗記のためのツールだからである。 その意味で、訳語と熟語を段組みでわけた暗記しやすいものとなっていないことも残念。とはいえ、そのまえに、ちゃんと基本熟語を絞り込む手間をかけるべきだ。

 



熟語集

 文学部の学生向けの熟語集。フランス語検定準一級、一級を受験する人は、目を通しても損はない。

 左と同様、使い勝手が悪い組版にはがっかりさせられる。せっかく二段組みを採用しながら、暗記作業に便利な作りには全くなっていない。右段はいったい何のためにあるのか。訳語をのせながら、網羅的ではない。左段の太字は何のためにあるのか。すべての熟語が太字になっていない。

 こうして見ると、熟語に関しては、本当にお勧めできる、良い参考書が、まだ見つからない。






CD付き参考書

 CDを聞いても、何を言ってるのか全然わからないから、聞くのが嫌になる。というのは、初心者がよく口にする言葉だ。けれども、努力しなければ一生聞き取れないままだ。何とか、踏みとどまってほしい。聞き取りのこつは、耳で聞こうとしないこと(!)だ。テキストを何度も音読し、自分で発音できるようになったフレーズは、必ず聞き取れる。まず、カタカナ発音でも良いから、とにかく口を動かすこと。なめらかに発音ができるようになったら、テープのナレーターのモノマネをするつもりで、発音を似せようとすること。これは、いわゆるシャドウイングと呼ばれる方法だ。最後に、もう一つ大事なのは、100パーセント聞き取れるようになることを目標にしないこと。文の発音は、単語の発音の集積ではない。単語間で発音の相互干渉があるので、文の中のここの単語は、単独で発音された場合とは、異なった発音になっていることも多い。すらすらと発音できるのに、聞き取れない、という文は、とりあえず、「後回し」にして構わない。完璧を目指すあまり、努力に嫌気がさすことがないように注意してほしい。


初級NO1

一課ごとに、フランスの文化や生活など、 さまざまなテーマに関して、数分のテキストが提供される。
 使用語彙数が限られており、比較的、ゆっくりと発音されるので、フランス語を学び始めて一年ほどの者から利用可能だろう。訳に目を通す前に、自力で、原 文を理 解すれば、講読の練習にもなる。
 フランスに関する基本知識を増やすのにも、とても便利。


初心者レベル

 当然の事だが、これだけで、フランスを身 につけることなど絶対にできない。
 文法学習と平行して利用すると良いだろう。文法学習では片隅に追いやられがちな日常表現を身につける事ができる。
 やや、男性フランス人の発音がなまっているのが気になるところだが、おおむね許容範囲だと思われる。


初級レベル

同じ事柄を、フランスと英語で表したら、 どういう共通点と相違点が現れるのかを示した好著。各課、特定の文法事項をテーマにして、例文が5つあげられるので、文法事項の復習にも役立つ。

かなり、丁寧な発音なので、聞き取り問題としても十分に利用できる。まず、テキストなしで、CDを聞いてみると良いだろう。CDには、和訳、英語例文、仏 語例文が全て収録されている。


 


上級レベル

 単語集だが、文章の中で覚えるというコンセプトなので、比較的短い文章が確証についており、CDはそれを読み上げたものである。2級レベルはノーマルスピードとロースピードで文章を読み上げてくれる。
 文章は良く練れており、聞き取り練習に使える。



 

上級レベル

 中級編なのに、上級レベルというのは変だが、他の参考書と比べれば、異色のレベルの高さである。使用単語の難易度はいくぶん低めだが、発音のスピード、文章の内容などの面では、フランス語検定一級受験者の練習にさえ使用できるレベルである。

 右側の上級編は、中級編と比べ、使用単語のレベルがあがっており、文章の幾分長めである。この本をこなして、検定に望めば、一級の問題も簡単に感じられるはずだ。

 相当にレベルが高いので、ほとんど売れてないのではないかと思う。それにも拘らず、このような良書を世に出した出版社の心意気には喝采を送りたい。


 

 ただ、不満がないわけではない。CDの不備である。全編を通じて、問題を解いたり、書き取ったりするためのポーズが明らかに短すぎるのだ

 単語レベルや文章のレベルは検定一級程度なのに、検定一級場合の半分のほどのポーズしかないのではないかと思う。

 実際、前半の内容把握問題を与えられたポーズの間に回答し尽くすことは、ほぼ不可能である。後半のディクテーションでは、ナレーションが終わらないうちに書き始めないと、つまり、聞き取りと書き取りを同時に進行させないと、すべての書き取ることは、物理的に不可能である。

 出版社には、改良版を切に期待する。読者には、手動でCDを止めながら、回答しても、十分な練習になることを申し添えておこう。

       

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