〜例えばこんな場合〜
宗司（仮名）は大学卒業後、父の経営する建設会社で働いてきた。父は長男である宗司にゆくゆくは会社を引き継いで欲しいとの思いから、今日まで厳しく指導してきた。そんな父も今は年老いて８０歳となり、自分は父の期待通りに今では社長の重責を負うまでになった。身体は人一倍強かった父だが、２年前風邪をこじらせたことから、耽りがちになり、身体もやせ細ってきたように見える。会社を引退するまではガンガン仕事に取り組んできたが、それがあだとなっているのかなと思うときもある。
そんな父を見ていると、父が存命のうちに父の遺産の相続のことをちゃんとしておいた方がいいと思うようになった。母は父の面倒を見ているだけ、まだ元気だが、両親とも頭がはっきりしているうちに互いの考えを聞いておいた方がいいともいえる。 父の財産としては、１００坪あるこの家と、少し離れた所にある３００坪ある土地、２社の株券、預貯金が主なところだろうと思っているが、本人に確認した訳ではないのではっきりとは分からない。現在もすべて父名義であり、金銭に換算して一体いくらになるのか分からない。
宗司は、相続のことについて父に直接話そうかと思ったこともあるが、生きている本人を前にすると言い出しづらくて、暇を見つけては相続のことについて自分なりに本で調べたり、親密な友人と酒を酌み交わしたりしたときにそれとなく話を聞いたりしてきた。が、厄介というか、複雑というか、結局よく分からない。宗司に分かっていることは、父の財産の相続対策が必要だということ、相続した際、このままでゆくと相続税がかかりそうだということぐらいである。
そこでこういうことは一人悩むより、専門家に相談して、父との間に入ってもらい、当事者間の仲立ちとなって円満に進めてもらうのが一番納得できて安心できると思った。できれば相続について専門知識があるだけでなく、経験があり、誠実で信頼でき、人間的にも目に適う専門家が見つかればいいのだが．．．。
