1999年7月
CD

「パンと蜜をめしあがれ」クラムボン

クラムボン待望のセカンドマキシシングルはインディー時代のアルバムにも収められている名曲「パンと蜜をめしあがれ」。ポップミュージックの持つ自由さと楽しさ、そして悲しさ全部を包み込む原田郁子の奔放なピアノと歌が素晴らしい。ほんとにいいバンドです。

CD

「TRANSIT LOUNGE」DL PROJECT

ディックリー久々のアルバムはDL PROJECT名義のラウンジ物。ラウンジ物やってるオシャレな人たちに見え隠れするあざとさみたいなのははっきり言って大嫌い。しかしさすがディックリー、根っからのエンターテナーかつバカラック直系のソングライターだけあってそんなあざとさを微塵も感じさせない。ひたすら気持ちいいアルバム

CD

「MARCHIN'ROUND THE WORLD」ERI+HIROSHI

元ラブタンバリンズのエリと藤原ヒロシのコラボレーション。ラブタンバリンズは大好きだったが解散後のエリの作品には正直がっかりした。確かにうまいよ、でもそこに「愛」が感じられなかった。ただ厳しいだけでユーモアのない音楽には心動かされない。しかし今作、藤原ヒロシの作り出す心地よいバックトラックにのる彼女の歌声はかたくなさがとれ実にいい塩梅である。これを待ってたんだよ。

BOOK

「いつも心にジージャンを」みうらじゅん

映画館の潜水服・ジージャンに身を包み暗闇の中で自分自身を手探りで探す男。男はついに自分自身を発見しジージャンを脱ぎ捨てたのである。しかし男はジージャンを捨て去ったわけではない。「いつも心にジージャンを」この奥深い言葉は一度ジージャンを脱ぎ捨てたからこそ吐ける言葉なのだ。男の名はみうらじゅん。しかし極私的な話になればなるほどエンターティメント化してくるというのが凄い。みうらじゅんはみうらじゅんでしかない。映画を材にとってるがこれはまごうことなき「みうらじゅん本」である。

CD

「nonstop to tokyo e.p.」pizzicato five

とりあえずこのジャケット。もうこれだけでいいでしょう。で音の方はいかにもピチカート。そのいかにもピチカートな曲を平気で作っちゃうとこがピチカートの凄みなのだ。そして今作でヴォーカリスト野宮真貴の類希なる資質を再確認。誰にも似てない、どこにもない、それでいていわゆる「個性的」ってわけではない歌声。これは奇跡である。

CD

「テクノ歌謡テイチク編 ラブリー・シンギング・サーキット」

日記でも散々書いてるがもう一度書く。何はなくともShi-shonenである。85年の冬、僕に音楽の魔法をかけたあの名曲「瞳はサンセットグロウ」が初CD化である。生きていて良かった。この一曲だけでも2500円は安い。しかしこの一曲だけに留まらずShi-Shonen大フューチャーで4曲。ジャケットもラブリーシンギングサーキットってタイトルもShi-Shonen。泣けてくるぜ。でその他ノンスタ音源大量放出ですっかり15才の時に戻ったような気分になっちゃった。永遠のポップ少年達よ、今すぐレコード屋に走れ。

BOOK

「和菓子屋の息子 ある自伝的試み」小林信彦

東京は両国、老舗の和菓子屋に生まれ10代目になるはずだった男が大空襲で一瞬にして消えてしまった幻の町・東京の下町の記憶をたどる。本当の下町、そこに暮らす人々の暮らし。戦争を通じ変わっていく町、人、暮らし。そしてついには消えてしまう町。生まれながらのウォッチャーである作者が自らのルーツである「町」を徹底的に掘り下げる。おもしろくないわけないじゃないか。