1999年12月

CD

「日本少年2000系」あがた森魚

あがた森魚が盟友・鈴木慶一をプロデューサーに迎え作った豪華2枚組。とはいってもこの手作り感。あがた氏は永遠の日本少年だ。めくるめくサウンドの核となるのは氏の無垢な魂。傑作。

CD

「あたらしい愛の詩」鈴木祥子

サウンドプロデューサーに佐橋佳幸を迎えた鈴木祥子の新作。彼女のルーツであるアメリカンロックな音作りの上で唄われる詩の数々のなんと切実なことか。自らの痛みと向き合い「あたらしい愛」を模索する姿勢は美しく力強い。ロックってのはこういう詩のことなのである。

CD

「ヘテロ」種ともこ

天才ソングライター種ともこの新作は男性ソングライターの作品をシンガーに徹して唄うという異色作。作家陣はカーネーションの直枝政広、杉林泰雄、桜井鉄太郎などなど。彼女が類希なヴォーカリストであることがよくわかる1枚。個人的にはやはり直枝作品がいいなぁ

CD

「空気公団」空気公団

めちゃめちゃいいです、これは。以前カセットなどで発表した音源に新録を加えた構成で音は悪いがその空気感が見事。シンプルで素朴な音に柔らかなヴォーカル、そして何より曲がいい。いい歌がそこにある、それだけでいい。音楽ってこういうもんなんだよなと思い出させてくれるアルバム。

CD

「ミッドナイトプリーチャー」窪田晴男

かって小西康陽、桜井鉄太郎とともに毎週新曲という驚異的なラジオ番組「GirlGirlGirl」を作った男・窪田。これはその「GirlGirlGirl」において窪田が作った革新性に満ちた楽曲をまとめたものである。90〜92年の彼らの仕事がいかに革命的でそれ以降の音楽シーンに影響を与えたか。今だからこそ聞き直したい問題作。

CD

「PIZZICATO FIVE」ピチカートファイヴ

ピチカート今世紀最後のアルバムはモノクロのジャケットが象徴するようにとても落ちついたアルバムとなった。大好きだった20世紀との別れ、楽しかった時代への感謝。ラストナンバー「グッバイ・ベイビイ&エイメン」こんなに楽しくて悲しい曲は聴いたことがない。

CD

「38 carat collection」PREFAB SPROUT

PREFAB SPROUTのベスト盤。完璧主義でロマンチスト、パディ・マクアルーンの作り出す音楽はどんな宝石よりも美しく本物の輝きに満ちている。

BOOK

「笑芸人」

ついに出た、日本お笑い界最重要人物の一人、高田文夫責任編集による本格的お笑い誌。特集は「土曜8時テレビ戦争-全員集合VSひょうきん族」。両番組を徹底的に掘り下げお笑いがテレビの主役だった時代を浮かび上がらせる。それにしてもとんでもないマニアックさ、凄い。と三木のり平、由利徹のメモリアル特集もまた意義深い。

CD

「Yes,Paradise,Yes」suzuki k1>>7.5cc

鈴木慶一の幻の音源がついにCD化。ご詠歌とアンビエントのすさまじい融合に慶一御大の狂気を見た。あの世とこの世をいったりきたりするサウンドはトリップなんて生やさしいもんじゃない。心して聴け!

CD

「dis-covered 」ムーンライダーズ

前作「月面賛歌」はムーンライダーズによる演奏を曲ごとに様々なプロデューサーがそれぞれの手腕で再構成、再構築するという斬新なアイデアによって生み出されたアルバムであった。でその基になったムーンライダーズの音源をアルバム化したのがこれ。ま、ちょっとややこしいけど、そんなことはどうでもいい。ここにあるのはライブバンド・ムーンライダーズの生の姿。そこらのガキンチョバンドとは訳が違うぜ。やっぱ、ライダーズは怪物だ。