2000年7月-8月

COMIC

「愛 しりそめし頃に・・」藤子不二雄A

トキワ荘の語り部、随一の抒情派・藤子不二雄Aによる漫画にとりつかれた文化系男達の青春物語。極私的な物語ゆえの普遍性。巻末付録の「テラさん」こと寺田ヒロオの直筆書簡は「トキワ荘」フリークにはたまらないだろう。

CD

「Drops will kiss」福間未紗

ずっと「OFF!」で紹介したいと思っていたシンガーソングライター福間未紗の新作。彼女の5作目になる今作はテクノ解釈のフォークといった前作までとは趣を変え、唄とアコースティックギターのみで作られている。彼女の時に不安定なヴォーカルは、彼女の作るあまりに繊細で誠実な唄をより純度の高いものにしてるように思う。夜、眠る前にヘッドフォンで聞くことをお薦めします。満天の星空を見上げた時の気持ち。それと同じ気持ちになるよ。

CD

「鈴木博文&GREAT SKIFFLE AUTREY」鈴木博文

鈴木博文が青山陽一、西村哲也などを擁するバンド・GREAT SKIFFLE AUTREYを率いてのライブをまるまる収録したライブ盤。今から10数年前、氏の初ソロ作を浴びるように聞いていた。孤独と憂鬱に押しつぶされそうだった俺は、孤独と憂鬱を真正面から唄ってみせた氏の音楽にどれだけ救われたか。珠玉の名曲たち。もし君がロックという音楽を知りたかったら鈴木博文の音楽を聞けばいい。

CD

「デキルカナ?」ママスタジヲ

ライブで見てすっかり気に入ったママスタジヲのデビュー盤。エレキなギターとピコピコシンセがはじけるまさにひねくれポップなアルバム。懐かしくも新しいニューウェーヴィーな詞、サウンドがうれしい。

BOOK

「日本史原論」爆笑問題

才人・太田光が「日本の歴史」をお題に作る「笑い」。縄文時代から昭和まで様々な史実や歴史的人物を相手に徹底的に茶化し、つっこみ、ぼけまくる。「笑いの発想」を最も効果的な場所に飛ばし、落とす。センスと技術をともに持ち得る太田ならではの作品。こんな本が教科書だったらもっと歴史の成績はよかったかもね。

CD

「 miss maki nomiya sings」野宮真貴

野宮真貴、実に20年ぶりのソロ作。ポータブルロック時代から彼女の歌声に魅了され続けているものとしては今日のまさに「スーパースター」な彼女の活躍は喜ばしいばかり。でそんな彼女のソロ作、ピチよりいいかも、という素晴らしい出来。鈴木慶一からインスタントカフェレコーズまでと幅広くサウンドメーカーが参加してるが彼女の変わらぬ瑞々しい歌声がのっかるとそれはもう彼女にしか作れない彼女の作品になるのだ。

CD

「paingiver」鈴木祥子

鈴木祥子が全ての楽器を演奏しての一人多重録音作。乾いた荒々しいギターに乗せて傷口をさらけ出すような彼女の言葉が響く。真にロックなナンバー。特に男子は心して聞くべし。

CD

「最後のデート」杉真理・須藤薫

タイトルナンバーは杉・須藤のベテランポップ職人が放つ、まさに王道のポップソング。2曲目に収められたトロピカルなダンスナンバー「クラブ・ロビーナ」もまたいい。今の時代、こんなまっとうなポップスを愛するということはある意味ひねくれた、パンクな姿勢と言えるだろう。そんなパンクな心意気にグッとくる。

CD

「空に咲く花」遊佐未森

数年ぶりに買った遊佐未森。特筆はカップリングされた薗まり「逢いたくて逢いたくて」のカバー。ハワイアンバージョンとも言うべきアレンジで蘇った昭和の名曲。遊佐の歌声は持ち前の透明感にキュートさが加わってもうこれが心地よいのなんのって。 

BOOK

「とんまつりJAPAN」みうらじゅん

横尾忠則による装丁が強烈なみうらじゅんが放つまさにみうら本。日本全国のとんまな祭り「とんまつり」を異常なまでの執念で追うみうら。これはもはや「芸」である。アナーキーな芸人・みうらの祭りを材題にした新作落語として俺は見るね、この本を。

CD

「a touch of fullmoon shows in the night」
ムーンライダーズ

ムーンライダーズ、97年の20周年記念ライブのCD化。過去のアルバムのA面1曲目を並べた前半、ライダーズクラシックの数々を肉体的な演奏で聞かせる後半。ライブバンドとしてのライダーズもやはり怪物だった。20年のバンドの歴史を感じさせる「スカンピン」が圧巻。


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