OFF!!'s Weekly Chart log
<<2006年8月27日付ランキング>>
1
「憲法九条を世界遺産に」太田光・中沢新一
2
「Sevev&Bi-decade」吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ
3
「三遊亭白鳥1」三遊亭白鳥
4
晴乃ピーチク
5
「私が死んでも」野本かりあ
<解説>

そんな訳で解説です。
太田光と中沢新一の対談をまとめた「憲法九条を世界遺産に」。
ここ最近の太田光の言動については何度か日記にも書いてるように、その「言わずにはいれない」という衝動、なにか追い立てられるような氏の姿勢に好感を持ってる。
いや、好感なんてものじゃなくて、もっと心を揺さぶられるような、むしろ感動といった思いを持ってる。
中沢新一氏は前書きで「〜今僕達がそれをことばに出して語らなければならないはずなのに、臆病のためか怠惰なためか声高に語るのを避けている重大な事柄を、彼が必死になって語ろうとしてる姿に、僕は深く打たれたのである」「最前線にたったひとりで踊り出て、背後にひとりの援護射撃もない状態で、太田君はラッパを吹いているのである」と書いてる。
全く同感だ。
この本はそんな太田光と「共同戦線を張らなくちゃ」と感じた中沢新一の濃密なことばによって成立している。
宮沢賢治の矛盾から話は始まり、様々な歴史や芸術、やわらかな知性を持ってして「憲法九条」についての想いが語られていく。
しかしそれはそれだけに留まらず「芸論」にもなり「言葉」そのものまで考察していく。
ラディカルでロマンティックな理想主義者。
子供じみてる、現実的ではない、芸人と学者の所詮戯言、言うべきことではない-いくらでも批判できるだろう。
でも僕はこの二人の吹くラッパに揺さぶられるのだ。
理屈じゃない。
それこそロックミュージックやサブカルチャー、僕が愛してきたものが僕に与えてくれた「感受性」と「想像力」が導いてくれた想いなのだから。
吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズの新作「Seven&Bi-decade」ばかり聴いてる。
ゴキゲンとしか表現できないゴキゲンなアルバム。
最高だぜ、このおっさんたち。
ビッグバンドが奏でる血湧き肉踊る音楽。
スウィングしなきゃ意味が無い。
ワザオギレーベルからついに出た「三遊亭白鳥1」。
サービス向上(?)を図る安飲み屋が舞台の「マキシム・ド・のん兵衛」、田舎から上京してきた貧乏学生がおりなす、誤解が誤解を生む爆笑巨編「青春残酷物語」の2本を収録。
いや、笑った。
力技で狂っていく白鳥ワールド。
あー生で聞きたい!
浅草演芸ホールで出会ったのが「晴乃ピーチク」師匠。
相方・パーチクを失い、今は似顔絵漫談として一人舞台に立つ。
矢継ぎ早に繰り出される喋りのテンポの良さ、お客さんを巻き込み、引き込む東京の粋。
笑いながら唸っちゃったねぇ。
04年に発表された野本かりあのアルバム「KARLY」。
脚本、監督・小西康陽、主演・野本かりあ、共演は石坂浩二とヘップバーンという趣向の大傑作。
ラストナンバー「私が死んでも」聴いてたらちょっと泣けてきた。
音楽家・小西康陽の遺書ともとれる渾身の一曲。


<<2006年8月20日付ランキング>>
1
SAKANA@磔磔
2
「グッドナイト&グッドラック」ジョージ・クルーニー監督
3
「ベスト オブ くるり」くるり
4
「豪さんのポッド」
5
「クイックジャパン」長澤まさみ、政治特集号
<解説>

そんな訳で解説です。
念願だったSAKANAのライブ観る。
まさにブルース、紛れも無く「音楽」。
pocopenさんと西脇さん、二人のギターアンサンブルは強さと繊細さが絡み合って、これ以上も以下も無い最適な音空間を作り上げる。
pocopenさんの歌声、一声聴いて鳥肌が立った。
いい歌ってのはすべての感情がそこにあるもんだ。
魂に訴える音楽を本物という。
ジョージ・クルーニー監督がクールにスタイリッシュに、そして熱すぎる想いを込めて作った映画が「グッドナイト&グッドラック」。
赤狩りの時代、一人のTVキャスターがあらゆるリスクを向こうに立ち上がる。
真実を見極める目と、何ものをも恐れない揺ぎ無い信念。
男ならかくありたいと思う。
くるりのベスト盤聴く。
馴染み深い京都の風景が切り取られたアートワークも嬉しいが、くるり聴くと自分の中の「男の子」が騒ぎ出す。
ますます「おばちゃん」化している僕だけど、やっぱり「男の子」だからなぁ。
吉田豪氏のポッドキャスト「豪さんのポッド」がおもろい(それにしてもお笑いコンビ「象さんのポット」を憶えてる人ってどれだけいるのか?)。
凝縮された男の崇高なるバカ話。
最高。
今号の「クイックジャパン」誌は仁王立ちする長澤まさみちゃんが表紙。
「『南ちゃん』は絶対現実にはいません」と言い放つ12000字インタビューにもグッときたが、もう一つの特集、森達也責任編集による「政治」がおもろい。
小林よしのり×森達也のガチンコ対談や「六ヶ所村」問題について語る大貫妙子インタビュー、爆笑問題のインタビューもまさに今だからこそ。
読み応えあり


<<2006年8月6日付ランキング>>
1
「WILD FANTASY」カーネーション
2
「metrotr-on-line 2006.july」鈴木博文
3
「メリメリ」クレイジーケンバンド
4
postscript
5
向田邦子
<解説>

そんな訳で解説です。
しばらく一位っすよ、カーネーションは!というぐらい聴き倒してる「WILD FANTASY」。
奇跡的なサビメロが麻薬的快楽をもたらす「MAGIC」、そして矢部さんの完璧なポップメロディーに直枝さん渾身の言葉が乗った「Butterfly」が今のお気に入り。
聴けば聴くほど深みにはまるぜ。
でカーネーションの師匠と言えばムーンライダーズの鈴木博文。
ついに復活したメトロトロンレコードから通販限定で毎月発売(!)されるという「metrotr-on-line」シリーズ。
第一弾は鈴木博文、久々のソロ作。
もう全く鈴木博文。
一曲目のアコースティックギターの響き、そこからもう誰にも似ていない彼の世界が広がる。
無機質なリズムが不気味な異色作「突然の平凡」にゾクっとくる。
そして吐き出される言葉の感触。
これこそ彼の真骨頂。
そう20年も前、この感触が僕のある部分を形成したのだ。
CKBのシングル「メリメリ」。
シングルと言えど8曲入りという過剰なサービス精神がまさにCKB。
メロメロにスウィートな表題曲、そして来るべき新作アルバムのオケをバックに剣さんが曲解説や近況を語る「メリメリ放送局」(これ最高)、そしてCMでお馴染みのスカッとさわやかな一曲からクールなバックトラックがとにかくカッコイイ、ラヴァーズロックなナンバーまで、全くどこまで旺盛な制作意欲。量と質、この凄まじい音楽愛。
イイネ!
この八月、いよいよ再発されるフリッパーズ・ギター作品。
それに合わせて、フリッパーズに深く関わった「M」氏によって、当時の様子が克明に描かれるブログが「postscript」。
今明かされるパンドラの箱。
なるほど、そういうことだったのかと当時感じていたことが、次々と裏付けされていくよな感覚。
おもしろすぎる。
ここんとこちょっとづつ、ちょっとづつ読んでるのが向田邦子さんのエッセイ。
しなやかな強さ、無理の無い優しさと愛らしさ。
とても清潔な文章。
ささくれた心を落ち着かせてくれる良薬。


今、あなたがご覧になっているHPは「OFF!!音楽と笑いの日々」です。
引き続きお楽しみください。