OFF!!'s Weekly Chart log
<<2006年5月28日付ランキング>>
1
「フォーエバー.ヤン ミュージック・ミーム2」ヤン富田
2
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」ディヴィット・クローネンバーグ監督
3
「あおげば尊し」市川準監督
4
「dreamin dreamin」capsule
5
池津祥子
<解説>

そんな訳で解説です。
ついに出たヤン富田氏の新作が「フォーエバー・ヤン ミュージック・ミーム2」。
収録曲はDOOPEES「だいじょーぶ」。
もうこの一曲で泣きそうになる。
95年ヤン富田がキャロライン・ノバク、スージー・キムをヴォーカリストに(この時点で既に複雑な仕掛けが施されてるんだが)作り出したDOOPEES。
そのファーストアルバム「DOOPEE TIME」はポップファン、キュート好き、みんなこぞって必聴のド名盤。
で「だいじょーぶ」はいとうせいこう「建設的」に収められたヤン作曲、高木完作詞のラヴァーッズロックの大名曲。
ヤン氏の爪弾くアコースティックギターに乗せて、あの声で歌われちゃたまらない。
もうこの時点でぶっちぎりの一位。
さらに2曲目はその「だいじょうーぶ」チーム、ヤン、いとうせいこう、高木完によるNAIVES名義で「フォーエバー・ヤング」。
いとうのポエトリーリーディング、高木のラップが絡み合う、大人の琴線にがっつり触れる傑作。
そういえば80年代初頭、僕が初めて聴いたヒップホップはこのチームによるものだった。
そりゃ衝撃だったよ。
あの頃、ラップは文科系のパンクだった。
いつからかジャリの戯言に成り下がっちゃったけどね。
そんなことより、来るべきDOOPEESの新作が楽しみだ。
デイヴィット・クローネンバーグ監督「ヒストリー・オブ・バイオレンス」見る。
平和な暮らしに忍び寄る暴力。
暴かれていく“ヒストリー・オブ・バイオレンス”。
先が読めない展開、おだやかな風景が、一瞬に凍りつくバイオレンス描写。
クローネンバーグ監督、ド変態なり。
市川準監督の新作「あおげば尊し」観る。
生きる意味、死の意味。
悩みながら、その意味を伝えようとする姿勢こそが、生きる価値に他ならない。
主人公の小学校教師を演じたテリー伊藤が素晴らしい。
我が道を行くcapsuleの新作からラストナンバー「dreamin dreamin」を。
余韻を残すエンディングに、ふとPSY・Sの「私は流行、あなたは世間」を思い出した。
capsule、もしかしたら21世紀のPSY・S?
いよいよ始まったクドカンの昼ドラ「吾輩は主婦である」。
斉藤由貴(かわいい)、竹下景子(おいしい役どころ)を相手に池津祥子が怪演。
目が離せません。


<<2006年5月21日付ランキング>>
1
「アースダイバー」中沢新一
2
「27/03/03」高田渡/高田漣
3
「ナイロビの蜂」フェルナンド・メイレレス監督
4
斎藤誠@滋賀・ユーストン
5
「休暇小屋」遊佐未森
<解説>

そんな訳で解説です。
中沢新一「アースダイバー」は、04〜05年「週刊現代」に連載、昨年単行本にまとめられたものだが、やっと読了。
縄文地図を手に現代の東京を歩いてみると、そこには古代からの土地の記憶と密接に結びついた現在がある。
皇居=「空虚な中心」からドーナツ状に形成していった東京。
湿った大地だった新宿には、湿った「肉欲」の世界が開花し、埋立地で土地の歴史を持たない銀座には「モダン」が息づく。
解体された「戦車」によって作られた東京タワーは、縄文時代から死霊の王国とされていた場所に建ち、生と死を結ぶ「橋」として荘厳な存在感を示す-とかまぁイチイチおもしろいんだわ。
でまた読み物としても全然難しくなくて、キャッチーなフレーズ続出でサクサク読めちゃう。
その上、めちゃめちゃロマンティックなんだよね。
そこがまた、たまらない読み物。
高田渡/高田漣親子の共演ライブを丸ごとパッケージングしたのが「27/03/03」。
飄々と饒舌に喋り、唄う高田渡。
息子として、そして素晴らしいミュージシャンとしてその演奏、その空間に彩りを添える高田漣。
血を越えて、繋がっていく音楽。
とても大切な何かを感じさせる音。
これが、いいんだよ。
「シティ・オブ・ゴッド」で世界中の映画ファンの度肝を抜いたフェルナンド・メイレレス監督の新作「ナイロビの蜂」観る。
謎に満ちた妻の死、その謎を解くべく夫は行動をはじめる。そこには国家をも巻き込んだ世界的な陰謀が-という重厚な社会派ドラマ。
この決してスタイルだけでは撮れない題材を見事にメイレレス節で作り上げた。
最初の五分で、監督の並々ならぬ絵画的センスに驚き、そこかしこに仕掛けられた超絶的映像テクにハッとすること数回。
アフリカの大地をシャープに捉えた色彩、過去と現在が交差する「語り」の巧さ。
映画でしかなしえない表現がここにはある。
メイレレス監督、スゲーよ!
ギタリストとして数々の名曲を支え、またソロ・シンガーとしても味わい深い作品を残す斎藤誠。
彼のライブをはじめて観る。
丁寧にマイクに拾われたMATINギターの音色、そして深く温かみのある歌声が実に心地よかった。
テクだけでも、想いだけでも音楽は届かない。
長い年月を経て、どちらもが上手く機能しあい、その先にある音楽に辿り着く。
成熟した音楽の良さを実感したライブだった。
遊佐未森の新作「休暇小屋」が良い。
ジワジワと良さが沁みこんできてる。
今日も2回聴いちゃった。
20年前に出会った彼女の音楽もまた、とても素敵に成熟している。
地に足がついて、背筋が伸びてて、揺ぎ無い視線で世界を見つめてる。
慈愛に満ちた、本物の優しさを感じさせる音楽。
こういうの聴くとまた「女性にはかなわないなぁ」って思っちゃう。
こんな音楽を、ごく自然に生み出せてしまう女性の強さと優しさに、僕みたいなダメ男は畏敬の念を抱かざるをえないのだ。


<<2006年5月14日付ランキング>>
1
シティボーイズミックス presents「マンドラゴラの降る沼」@シアター・ドラマシティ
2
「アンダースロウ・ブルース」レムスイム
3
モロ師岡「モロカタルシス」@拾得
4
「MAMALAID RAG2」MAMALAID RAG
5
「星降る夜に」東京スカパラダイスオーケストラ
<解説>

そんな訳で解説です。
シティボーイズのコントライブ「マンドラゴラの降る沼」@シアター・ドラマシティから今、帰ってきたとこで即一位!
年に一度のお楽しみとして、毎年5月のシティボーイズライブに行き始め早10年。
今作は5年ぶりにいとうせいこう参加とあって期待値高かったんだが、見事応えてくれましたねぇ。
作・演出が三木聡から細川徹に代わって、一個一個のネタは若さと勢いが増してはいたが、その反面バラつきがあって全体的に散漫だったことは否めない。
が今回観てそこが上手くクリアされていた。
それはもちろんシティボーイズ+細川徹の歯車ががっちり噛み合い始めたということもあろうが、「いとうせいこうの存在」それが大きかったのでは。
斉木+きたろう(+中村有志)のボケに対して、大竹のツッコミという構図から、さらにもう一つひいた所にいとうせいこうが入ることで、タイトに引き締まった感がある。
いとうという「客観的な枠組み」が一つ一つのコントを一本の作品としてまとめたように思う(実際、構成はいとうが担当してる)。
10年前(96年「丈夫な足場」)初めてシティボーイズライブを観た時の衝撃。
その感覚を感じることが出来た。…とかなんとか、どーでもいいですよね、そんなこと。
笑った。気持ちよく笑った。
あの「エスプレッソ王子」を彷彿とさせる斉木さんの「ガラ会長」!
それに銀紛蝶さんの怪助演。そうそうスチャダラ、シンコの音楽もかっこいい!
年一回、これ観るために働いてるって感じだよ。
日記の方でも絶賛しておりますがレムスイムの「アンダースロウ・ブルース」が最高!
ヴォーカル、ギター、ドラムの大久保由希とベースの内田典文からなるレムスイム。
キュートでポップで凶暴な「ブルース」。
まずリズムがいい、そしてギターがカッコイイ、歌がキュート(でも時折ハードボイルドな横顔を見せる)、でなによりユーモアがある。
ここポイント。
だから最高なのだ。
これはもう聴いてくれ!としか言えない。
シティボーイズの完璧にデザインされ、細部まで行き届いた完成度の高いライブもいいが、手作り感溢れる剥き出しのライブもいい。
モロ師岡により一人コントライブ@拾得はまさにそんな剥き出しのライブだった。
気になる脇役俳優として、もはや売れっ子といっていいモロ師岡。
一人コント師としては20年のキャリアを持つ彼が、2時間半出ずっぱり喋りっぱなしで大熱演。
同じ一人芝居のイッセー尾形が誰かになりきるタイプだとしたら、モロ師岡はどこまでいっても「モロ師岡」が滲み出てくる。
そこが楽しい。
サラリーマン落語という新機軸を含め、どこかせせこましい愛すべき「モロ師岡」的なキャラが繰り広げるなんとも言えない笑い。
好きだなぁ、こういうの。
MAMALAID RAGの新作「MAMALAID RAG2」聴く。
一聴すると実に趣味のいいポップミュージック。
でも聴き進むうちに、そのふてぶてしさが(褒め言葉)が顔を覗かせる。
「意地の悪い出来杉君」ヴォーカル・ギターの田中拡邦は、今後のポップミュージックシーンを背負うべき才人。
大いなる序章として聴かせてもらった。
まだまだ奥になにか隠し持ってるバンドだぞ。
スカパラの歌モノシングル「星降る夜に」。
ゲストヴォーカルは甲本ヒロト!これだけでもランクインしちゃうよね。
武骨で不器用でロマンティックな甲本ヒロトの歌声に、グッときた。


<<2006年5月7日付ランキング>>
1
キセル@デパオク・ミュージック
2
永作博美 in 「好きだ、」
3
「インタリュード」与世山澄子
4
「C-46」Ink
5
「ブロークン・フラワーズ」ジム・ジャームッシュ監督
<解説>

そんな訳で解説です。
京都のプラッツ近鉄というデパートの屋上で開かれたライブイベントが「デパオク・ミュージック」。
主催のロボピッチャーに、タテタカコ、ANATAKIKOU、そしてキセルが出演。
開放的なステージで、それぞれ持ち味がうまく出ていて非常に楽しめたんだけど、中でもキセルには感心した。
CDでは何度か耳にしていて、「わかるんだけど、弱いな」って印象で特に肩入れしてなかったけど、ライブ観て印象変わった。
CDより全然、音も歌も太くてミュージシャンシップの高さを感じさせた。
シンプルだけどマッドな音作り、めちゃめちゃ好みだなぁと嬉しくなったよ。
石川寛監督「好きだ、」観る。
脚本、撮影、編集までこなす監督の繊細な世界観は、有無を言わせぬ強さと美しさを持っている。
で宮崎あおいちゃんの瑞々しさがメインディッシュってとこでもあるんだが、ここはあえて17年後のヒロインを演じた永作博美を押したい。
彼女の表情、そのベビーフェイスに垣間見せる切なさや心の揺れに、胸がきゅんとなった。
沖縄のジャズシンガー、与世山澄子の昨年出たアルバムが「インタリュード」。
遅ればせながら聴く。
彼女にとって20年ぶりのアルバムで、プロデュースはパードン木村。
彼女の店、沖縄のジャズ喫茶「インタリュード」で録音された歌の数々は、彼女をとりまくその空間、空気までをも生々しく封じ込めている。
目を閉じ、ヘッドフォンで聴いてると目の前で歌われてるような錯覚に陥る。
時に大胆に強く、時に繊細に優しく-この先何年も他のしめるアルバム。
石野卓球と川辺ヒロシのユニット・Inkのアルバム「C-46」聴く。
タイトル、アートワークからもわかるように46分カセットに録音して聴きたくなる様な、新しくて懐かしいサウンド。
僕はテクノポップという言葉を久しぶりに思い出した。
カッコよくって、ちょっと笑える音楽。
ジム・ジャームッシュ監督「ブロークン・フラワーズ」観る。
ちょいダメ親父なビル・マーレイがとにかくいい味出してる。
「もしも、別れた女が○○になってたら…」という「もしも」コントのジャームッシュ版の趣き。
人生って「なんだかな〜」ってことなんだよね、きっと。


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引き続きお楽しみください。