OFF!!'s Weekly Chart log
<<2005年3月27日付ランキング>>
1
加藤千晶/西村哲也/青木孝明@拾得
2
「エターナル・サンシャイン」ミシェル・ゴンドリー監督
3
田畑智子 in 「血と骨」
4
「ラグタイム」おおはた雄一
5
綾戸智絵@琵琶湖ホール
<解説>
そんな訳で解説です。
京都のライブハウス拾得で行われた、西村哲也、加藤千晶、青木孝明のライブに行く。
この3人の名前にピンとくる人は何人いるかわからないが、とりあえず僕にはビンビンきたね。
そう3人はあのメトロトロンレコード(ムーンライダーズの鈴木兄弟主催のインディーレーベル。鈴木博文氏の傑作ソロを中心に、慶一氏作品やカーネーション、青山陽一、さらに栗コーダーカルテットまで輩出した素晴らしいレーベル。いづれこのレーベルについてたっぷり書くつもり)出身。
西村、青木両氏は過去ライブ観てるが加藤さんは初めて。
00年作「ライラックアパート一〇三」はもう相当聴きこんでいて、ライブをいつか観たいと思ってたのが念願かなった。
何しろ京都では初ライブとのこと。
拾得の持つ雰囲気、3人の音楽との相性も良く、とてもとても幸せな音楽空間を体験できた。
ここにある小さな音楽は、ビジネスとしてみたら何の価値もないかもしれない。
でも紛れもなくここにあるのは「音楽」で「音楽ビジネス」じゃない。
自分にとって大切なもの、自分がしたいこと、すべきこと、を再確認した、とても有意義なライブ。
多分一生忘れない。
チャーリー・カウフマン脚本、ミシェル・ゴンドリー監督「エターナル・サンシャイン」観る。
ジム・キャリーの抑えた演技で恋の痛みと喜びを描く。
藤子F不二雄の短編のような、少し不思議で、ちょっとビターな味わいが、たまらない。
記憶を消しても決して消えない想い、惹かれあう魂は必ずめぐり合う運命にある・・なんてね。
34歳ダメ男のロマンティシズムにビンビン響く傑作。
崔洋一監督「血と骨」やっと観る。
人間の闇、国の闇が生み出した怪物、ビートたけし演じる「金俊平」(存在感が尋常じゃない。たけし以外誰が演じられようか)、彼をとりまく人々の群像劇。
映画としての語り口の上手さはさすが。
そして出演者達の素晴らしい演技は、日本にもこんなにいい役者がいっぱいいるじゃないか!と邦画ファンとして誇りに思えるほど。
松重豊、オダギリジョー、中村優子など印象に残る俳優陣の中で、特に僕が惹かれたのは田畑智子。
闇に食いつぶされてしまう悲劇的な娘を、静かな悲しみを湛えた演技で健気に演じて見せた彼女に拍手。
そういえば彼女のデビュー作「お引越し」を観たのは学生の時だったか。一度、四条河原町ですれ違ったことがあったっけ。
素晴らしい女優さんです。
おおはた雄一「ラグタイム」というアルバムを聴く。
その音の佇まいが何とも心地いい。
つまびかれるアコースティックギターの音、マーケティングからは決して生み出すことの出来ない歌。
音楽がそこにある。
それだけで素晴らしい。
ひょんなことから綾戸智絵のライブ観る。
好みのヴォーカリストではなかったんだけど、その音楽の力にちょっと感動した。
この人の音楽は強い。
彼女は何万人の前でも、たった何十人の前でも、変わらず自分の音楽を奏でることが出来るだろう。
そしてそこにいる全ての人を楽しませることに、全ての力を注ぐだろう。
この人の音楽は強い。

<<2005年3月20日付ランキング>>
1

「ナイトグライダー」堂島孝平

2
「戦争は終わった」夏木マリ
3
「モーターサイクルダイアリーズ」ウォルター・サレス監督
4
「I Miss You」akiko
5

「さよなら、さよならハリウッド」ウディ・アレン監督

<解説>
そんな訳で解説です。
ヤング・シティ・ポッパー、堂島孝平の新曲「ナイトグライダー」がいい。
実に、いい。
直球のシティ・ポップ、会心の豪速球。
キラキラ輝く、ポップミュージックのマジック。
なんだよ、2005年に、34歳にもなって、まだこんな気持ちにしてくれるポップソングに出会えるのかよ!チキショー、泣けてくるぜ・・と大絶賛。
夏木マリ貫禄の1枚「戦争が終わった」。
小西康陽監督、夏木マリ主演というのが相応しい、映画のようなジャズアルバム。
20年、30年聴き続けられる耐久性のある音楽。
30年後、どんな気持ちで聴けるかな、そのためにも大切にしとこう。
チェ・ゲバラの若き日を描いた「モーターサイクルダイアリーズ」やっと観る。
旅する青春映画の傑作。
主演のオットコ前俳優、ガエル・ガルシア・ベルナルが素晴らしい。
青くて、真っ直ぐで、静かなる情熱を胸に秘めた若きゲバラ。
まだ何者でもない若者が、旅をする中で出会う「現実」に、自分がすべきことを見つけていく。
ま、難しいことを考えずに、青春映画として観ても胸が熱くなるよ。
ジャズシンガーakikoの「mood indigo」がかっちょいい!
プロデュースは須永辰緒氏。でそこに収められた「I Miss You」という曲が、メロメロにメロウであぁ〜、気持ちいいっ!
流麗なストリングスとakikoのヴォーカルに包まれてずっとずっとこのままでいたい感じ。
ウディ・アレンの新作「さよなら、さよならハリウッド」がもう「ウディ・アレン」丸出しで最高。
神経症の映画監督って設定がもう、ホントに。
ウディ・アレンの映画小噺、決して大作ではないけど、幸せを与えてくれる。
皮肉たっぷりにハリウッドを描きながら、原題「HOLLYWOOD ENDING」が相応しいハッピーなエンディングに拍手。

<<2005年3月13日付ランキング>>
1
「てん、」クラムボン
2
「オールド・ボーイ」パク・チャヌク監督
3
「エンプティ・ハンズ」メロウヘッドfeat.佐野元春
4
「残響」大橋純子
5
「まりン」飯島真理
<解説>
そんな訳で解説です。
クラムボンの新作「てん、」がまた凄まじい作品。
昨年の原田郁子嬢のソロ作は、開放的で音楽の喜びに満ち溢れた素晴らしい作品だったが、今作は緊張感みなぎるバックトラックとヴォーカルのせめぎあいの中に音楽の喜びが見える。
ランナーズ・ハイならぬミュージシャンズ・ハイというか、ギリギリのところで発せられる音と音がぶつかり合い、絡み合う、その緊張の先に訪れる音の幸福感。
クラムボンは今、最もクオリティの高い音を発しているバンドだ。
それでいてポップミュージックとしてもしっかり成立させているとこが、また凄い。
いや、D-51とか聴いてる場合じゃないよ、ホントに。
パク・チャヌク監督「オールドボーイ」やっと観る。
参りました。お見事です。
もう、ここまでやられると言葉も無いですよ、実際。
壮大なるホラ話、凶暴で残酷で、やさしくて美しくて。
映画の醍醐味を感じさせる1本。
深沼元昭のソロプロジェクト、メロウヘッドの新曲「エンプティハンズ」。
ヴォーカルに佐野元春を迎えた、まさにキラーポップチューン。
クールでタイトでそしてドリーミーな音。
ポップヴォーカリスト・佐野元春の魅力も再認識。
ポップミュージックのマジックを感じさせる一曲。
こういう曲が普通にコンビニからガンガン流れてきたら、日本の音楽のレベルも自然とあがると思うんだけどな。
ホント、だからD-51とかより数百倍いいよ!
それとカップリング曲「加湿器の水」のメロウなメロディーもとにかく好きだなぁ。
いきなり大橋純子です。
そう、あの「シルエット・ロマンス」や「夏女ソニア」の、あの大橋純子です。
シンガポールの天才・ディック・リー作曲による新曲「残響」が素晴らしい。
これぞシティーポップ。
最高!
でべたつかないアレンジも相当かっこいいなぁと思ったら、あの成田忍じゃないか!
ポストYMOと言われた今や幻のバンド「アーバンダンス」を率いた才人。
彼がプロデュースを手がけた遊佐未森のファースト「瞳水晶」は僕にとっては殿堂入りの一枚なのだ。
でも、ラジオやテレビはちゃんとこういうの紹介しないとダメですよ、ホントに。
D-51なんて、もうかけなくてもいいからさぁ。
YMOの三人が手がけた歌謡曲を集めた「イエローマジック歌謡曲」をまだ聴いてる。
で今週おすすめするのは飯島真理「まりン」。
坂本龍一の上品なアレンジが心地よい。
つーか気持ちよすぎる。
飯島真理のキュートなヴォーカルも心くすぐるなぁ。
こういうキラキラと輝くようなドリーミーなポップソング、今やほぼ絶滅状態だからな。
D-51とかは早く絶滅させるべきだと思うが。

<<2005年3月6日付ランキング>>
1
「歌のアルバム」清水ミチコ
2
「理由」大林宣彦監督
3
「USAカニバケツ」町山智浩
4
「COJI COJI」さくらももこ
5
「きたかチョーさん まってたドン」川上さんと長嶋さん
<解説>
そんな訳で解説です。
清水ミチコの「歌のアルバム」がおもろい。
いや、おもろすぎる。
これは大傑作ですねぇ。
モノマネ、ネタが音楽と見事に融合。
もう既に何回も聴いてるのに笑える。
なんだ、このカラカラに乾いたユーモアは。
実にくだらなく、バカバカしく、意味が無い。
つまりは最高!ということ。
清水ミチコのネタの中でも最高傑作の誉れ高い「野球中継」、フレンチポップの名曲をこれ以上に無いくだらなさでカヴァーした「イェル・ケ・クク」が特に好き。
大林宣彦監督「理由」観る。
まぎれもない「大林映画」で、そこかしこに仕掛けられた記号、暗号に「大林映画の記憶」が喚起される。
これはまるで「転校生」のあのシーンのようだとか、このセルフ回し「時をかける少女」のようだとか、この光の具合は「異人たちとの夏」のようだとか・・・もうたまりませんね。
それでいて今まで観たことも無い「映画」になってるとこが、インディー魂を持ち続ける大林監督らしい。
107人のキャストもまた良し。
相変わらず岸部一徳がウマイ。
町山智浩氏によるアメリカンポップカルチャー裏話大全「USAカニバケツ」。
おもしろくないわけがない。
ここでとりあげられる話題は、アメリカの影、成功者ではなくむしろ負け犬たち。
だからこそ、そのコッテリした生き様にグッとくる。
本屋で見つけたらぜひ読んでみてください。
さくらももこの最高傑作「COJI COJI」を再読。
これもバカでおもろいなぁ。
バカな子どもをもっとバカにしたようなコジコジのキャラ設定が、それだけで素晴らしい。
小ネタの無邪気なくだらなさは読んでて幸せを感じる。
今更ながらさくらももこ天才也。
バカバカしいといえばYMOの3人が絡んだ歌謡曲を集めた「イエローマジック歌謡曲」で久々に聴いた「きたかチョーさん まってたドン」。
人生において「プリティ長嶋」の存在なんてほんとにどーでもいい。
こんな曲聴いても何のプラスにもならない、最高にくだらない。
でも、だから人生っておもろいんだなぁ。

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引き続きお楽しみください。