OFF!!'s Weekly Chart log
<<2004年8月29日付ランキング>>
1
「鈍獣」
2
「華氏911」マイケル・ムーア監督
3
大西ユカリと新世界コンサート
4
「漫画に愛を叫んだ男たち」長谷邦夫
5
「あの言葉、あの光」bonobos
<解説>
そんな訳で解説です。
観てきましたよ、「鈍獣」。
なんつっても脚本・宮藤官九郎、演出・河原雅彦、出演・生瀬勝久、古田新太、池田成志、はっきり言っておもしろくない訳ないじゃないですか!
久々に舞台を堪能しましたねぇ。
休憩を挟んで約3時間に及ぶ大作は満足度120%、お腹いっぱいです。
さんざん笑わせといて、そんな方向にストーリーが進むのかよ!という期待を裏切り、期待を越える荒業。
またまたクドカン脚本にはやられた。
クドカン脚本のおもしろさは、ストーリーの弱さを補って余りある「構成」の妙と同世代感をくすぐる「小技」(「太陽を盗んだ男」のジュリーなんてネタは30以下にはわからんだろう!)の数々であると再認識。
それにしても「鈍獣」このタイトル秀逸です。
でもちろん脂乗り切ってる3人の男優の力と技、そして凄みには何も言うことありません。
完璧です。
グイッとストーリーを引っ張る古田新太の駆動力、今、一番安心して観れる喜劇役者・生瀬勝久は緩急を巧みに操り、貫禄の横綱相撲、池田成志は得体の知れない男得体のしれなさ加減をしっかり見せてくれました。
上手すぎるよ!三人とも。
でこの百戦錬磨の男優たちに対するは、舞台初心者の西田尚美、乙葉、野波麻帆という新鮮な顔ぶれ。
正直、力量はまだまだだが、確かにこの濃すぎる3人に、さらにこってこての舞台女優さんでは脂っこすぎるかも。
個人的に以前からファンだったので、西田尚美は贔屓目に観ちゃうんだけど大健闘。
観客に最も近い目線でまきこまれ、突っ込んでいく役は大変だったろうな。
でも安心して芝居にのっていけたのは彼女の存在に負う所が多かったのでは。
乙葉、野波麻帆もそれぞれ華があって良かった。
「生の醍醐味」を思い知った芝居でした。
マイケル・ムーア監督「華氏911」観る。
十二分に話題になった話題作ながら、結局メディアは何一つこの作品の本質を伝えてないなぁなんて思いながら。
「ドキュメンタリーとして公正さに欠ける」「片側だけの意見にすぎない」はぁ〜?
戦争が大好きな人たちが安全な場所で金儲けしてる時、戦争なんて嫌いだった人たちが、戦争なんて知らなかった人たちが殺し合いさせられる。
このクソみたいな構造に、たった一人、身体張って、カメラ片手にレジスタンスするマイケル・ムーアに一体何が言える。
焼け爛れたイラクの子供達、爆弾に吹っ飛ばされたアメリカ兵、息子をイラクで失った母親の涙。
悲しくてやりきれないこの「現実」はでっち上げか?
何言ってやがる、1000人近い兵士が命を落としているなんて、ちゃんと伝えたメディアがあったか?
国をあげて情報操作してるのはどっちだ?
マスコミ、ジャーナリズムがまずやらなければならなかったことを、マイケル・ムーアは真っ当に真っ正直にやっている。
静かに提示された「やりきれない悲しみ」の前で涙が止まらなかった。
人間はどこまでも愚かだ。
そして同時に愛しい存在でもあるはずだ。
僕らは僕らそれぞれの「華氏911」を胸に、戦争と向き合う必要がある。
はっきり言っておこう「『OFF!!』は戦争に反対です」
行ってきました「大西ユカリと新世界」コンサート。
滋賀初ライブということで、大雨の中、大津から車で1時間半、高島町ガリバーホールまで。
残念ながら満杯とは言えない客の入りではあったが、大西ユカリのサービス精神溢れるエンターティメントぶりを堪能。
笑わせ、のせて、でもぎりぎり下品の手前でスッと引く。
間違いなく関西人であるが、その前にやはりこの人は「ソウル」の人なんだなぁと思った。
ダンスの切れのよさには、単純に「かっこええ」と感動しましたよ。
また観たい、そう思わせるステージ。
赤塚不二夫のブレーンとして、時にはゴーストライターとして赤塚の黄金期を支えた長谷邦夫がトキワ荘から続く漫画史を縦軸に、赤塚との出会いから別れまでの愛憎入り乱れた想いを横糸に綴ったノンフィクション。
「漫画に愛を叫んだ男」の間違いなく一人である長谷の本気ぶりが伝わる。
不遇時代の赤塚との出会い、同志として共に歩む漫画道、才能を開花させた赤塚を公私ともにサポートし、タモリとの邂逅を演出するなど黄金期の最重要人物として位置するに至る長谷の赤塚への深い愛。
そして酒に溺れ、酒に逃げ込んだ赤塚との決別。
前に「BSマンガ夜話〜まんが道」で、初めて書かれた“裏”漫画史として絶賛されていた通り、栄光の光と影、その影に踏み込んだ貴重な一冊。
最近のバンドにはうといのだが、大阪のダブバンド・bonobosの新曲「あの言葉、あの光」が素晴らしい。
アコースティックギターの緩やかなリズムに素直な言葉が響く。
音楽の喜び、マジックを感じさせる一曲。

<<2004年8月22日付ランキング>>
1
「たのしそう かなしそう」原田郁子
2
ジャリズム
3
「月に咲く花のようになるの」サンボマスター
4

「ウレシイノモト」小川美潮

5
ロクハ公園プール
<解説>
そんな訳で解説です。
クラムボンの原田郁子ソロ作「たのしそうかなしそう」が素晴らしい!
凄く純度の高い音楽、こういう音楽は強い。
彼女のピアノ、歌声から音楽の喜びが満ち溢れている。
希望の光が差し込むような、とにかく胸に響く音楽。
こういう音楽と出会うと、本当に音楽が好きで良かったと思う。
それと詞が凄くいいんだ。
素直な言葉使いで唄われる普遍的なラブソング、「君が/わたしの未来よ」このフレーズの強さと優しさ具合にグッときたね。
と共同プロデュースのポラリス・オオヤユウスケ氏はじめミュージシャン達の好サポートもいい。
発売は25日、これは買いです。
「笑いの金メダル」にあのジャリズムが登場。
今や売れっ子作家である渡辺鐘氏であるが、こんな番組に新人に交じって出ちゃうとは本当に一からの再スタートじゃないか。
ジャリズム、これからどう動くのか追いかけるしかないじゃない。
(しかし「笑いの金メダル」、素人審査員は「笑い」を見る目のレベルが低すぎる。まじに腹立ってくるぐらい)
最近の若手バンドにはうといんだが、サンボマスターはいいね。
林家こぶ平チックなルックスからは想像できないぐらい「ロック」ですな。
ロックに魅入られた男の愚直なまでにストレートな叫び。
これはいいよ。
ふとしたことで久々に「小川美潮」の名を耳にし、92年のアルバム「ウレシイノモト」聴き返す。
うわぁ、なんちゅう音や、スゲー!と改めて。
一曲目「ウレシイの素」における松永孝蔵氏のベースプレイが特に強力。
それにしても彼女の歌声も原田郁子同様、音楽の喜びに満ちていて素晴らしいな。
そう「歌姫」と言えばMISIAでも中島美嘉でもましてやアユ(この人、はっきりいって「ニセモノ」だろ)なんかじゃなくて、やっぱり「小川美潮」だよね。
遅い夏休みを取ったので、家族揃って草津のロクハ公園プールへ。
安くて空いてていい感じ。
紅葉パラダイスが無くなった今、ここの「回るプール」は貴重だ。

<<2004年8月15日付ランキング>>
1
「十字路」カーネーション
2
「放送禁止歌」森達也
3
「アイデン&ティティ32」みうらじゅん
4
「沈黙の薔薇」オリジナル・ラヴ
5
ふわふわふゅーちゃ風オムレツ
<解説>
そんな訳で解説です。
カーネーションの新作「スペードのエース」がついに出ました。
CCCDではありますが、音楽は魂こもってます。
いろいろ意見はあるでしょうが、僕はカーネーションを信じてます。
きっと、この落とし前はちゃんとつけてくれますよ。
そして僕らも音楽を愛する者として、しっかりレコード会社には意見していきましょう。
とまぁこの話は置いといて、「スペードのエース」は先週語りましたが、やはり30男、カーネーションのオールドファンとしては「十字路」がグッときすぎてしまいます。
この音、このメロ、そしてこの詞。
あぁどうして俺の気持ちがわかるの?ってぐらい共感できるというか、これ今の俺の歌じゃん!とか思っちゃいますね。
「GET DOWN/十字路の孤独な黒い鳥/くたばるなよおれも同じなんだ/どんなことがこれから起こるんだろ?/どんな意味があれば気がすむんだろ?」なんだよ、泣けてくるぜ。
またまた森達也本です。
俺も気に入るとしつこいな。
で「放送禁止歌」は「放送禁止」歌がどのように生まれ誰が決めるのか?という疑問から出発するノンフィクション。
「放送禁止歌」という実体の無い怪物に、疑問を持たず、思考を停止しやり過ごしてきたメディアの制作者がいかに多いか、制作者の一員でもある森が苦悩しながらもその背景に真っ向から挑む。
特に第4章「部落差別と放送禁止歌」はそれぞれ自分の差別意識と向き合って読んで欲しい。
みうらじゅん「アイデン&ティティ」の完結編がこの「32」。
32歳まさに「Too young to die,too old to ROCK'ROLL」な年齢。
苦悩しながらも自分の進むべき道を手探りで見つけようとする時期。
ちなみに僕は去年32歳で転職しましたが。
で相変わらず絵もストーリーも下手っちゃ下手なんだが、その下手さが主人公・中島をリアルなものとしている。
「ロックに生きること」を選んだバカなら、きっとこの良さがわかるはず。
そう、間違いなく俺もバカだ。
オリジナル・ラヴの新曲「沈黙の薔薇」。
そのストレートなポップぶりに田島貴男の凄みを見る。
王道のポップをしっかりと最高にかっこよく仕上げる、この天才は今こそ評価されるべき。
大津にある料理店「ふゅーちゃ」はよく前を通るのでずっと知ってはいたが、先日初めて入った。
でおすすめ料理「ふわふわふゅーちゃ風オムレツ」がめちゃめちゃうまくて驚く。
チーズたっぷりのあつあつオムレツ、一度ご賞味あれ。

<<2004年8月8日付ランキング>>
1
クレイジーケンバンドショー「満漢全席」
2
「スペードのエース」カーネーション
3
「カメラトーク」フリッパーズ・ギター
4
「池袋シネマ青春譜」森達也
5
タモリ倶楽部「カウパー氏腺液特集」
<解説>
お待たせしました。
そんな訳で解説です。
滋賀県は米原まで、念願のクレイジーケンバンドショーに行ってきました。
仕事の都合で途中からしか観れませんでしたが、・・・良かった!
実にショーアップされた充実の内容で、横山剣氏の軽妙洒脱なMCと魂こもった歌声、菅原愛子嬢のフェロモン、小野瀬雅生氏のはじけまくるギターetc・・。
何よりステージ全体から漂う幸せ感。
例えば「8時だヨ!全員集合」とかを大笑いしながら見て、エンディングが来た時の「え〜もう終わっちゃうの、もっともっとずっと観てたいよ〜」というあの気持ち。
「木彫りの龍」が流れてのエンディングでふと思い出した。
これは壮大なバラエティショーでありエンターティメント。イーネッ!
カーネーションの新曲「スペードのエース」。
CCCD発売前にファミマでダウンロード購入。
ライブで何度か聴いてたが、スカパラホーンズを迎えてのスタジオヴァージョンもこれまたいい!
王道のカーネーション・ポップで全国民に聴かせたいよ!
四の五の言わずにただ音に身を任せればわかるはず。
これは「本物」だってね。
フリッパーズギター90年作品「カメラトーク」を久々に聴き返す。
フリッパーズは青春の象徴的バンド、このアルバムは確か雨が降る日、梅田ロフトのWAVEで買ったっけ。
何度聴いてもいいものはいい。
永遠の一枚。
森達也氏の自伝的小説「池袋シネマ青春譜」読了。
青春時代のぐずぐず感、グダグダ感、やるせなく果てしない日々が、素っ裸で放り出される。
大人になるってことが今でもよくわからない。
日々は過ぎていく、苦悩と憂鬱にこんがらがったまま。
そう、そんな小説。
だから胸に響く。
「タモリ倶楽部」ビデオで。
乾貴美子の絶妙なネタふりの下、タモリ&みうらじゅんが大人ならではの力の抜け切ったエロ・バカトークを繰り出した「カウパー氏腺液」特集に爆笑。
こんな大人に私はなりたい。

<<2004年8月1日付ランキング>>
1
「KARLY」野本かりあ
1
「THE SUN」佐野元春
3
「oasis」イ・チャンドン監督
4
中島らも
5
「グミ・チョコレート・パイン パイン編」大槻ケンヂ
<解説>
そんな訳で解説です。
野本かりあの、というより小西康陽の新作が「KARLY」。
60ページの写真集とパッケージされたこのCDはもはや「映画」だな。
小西監督、野本主演というのがぴったりくるよな完璧なトータルアルバムで、すみからすみまで小西氏の美意識に支配されている。
小西氏の本気ぶり、渾身ぶりがヒシヒシと伝わってくるこの作品の前で言葉もありません。
90年代のピチカートのブレイクや渋谷系(懐かしい言葉だな)の台頭で「おしゃれ」なCDは一気に増えたが、そのほとんどは「おしゃれ」な雰囲気だけを持ってきた「まがい物」だった。
90年代の終わり頃には、ピチカートを「まがい物」の代表のように批判する人も多かったが、この作品を前にどんな批判が通用しよう。
20年近くも前からクソみたいなメジャーロックシーンの中で自分の美意識を貫いて「本物」のおしゃれを作り続けてきた氏が、今も自らのレーベルでここまで本気の作品を作っている。
全肯定です。
で同1位が佐野元春の「THE SUN」。
この人も本気だ。
長年歩みを共にしてきたepicと決別し自らのレーベル「Daisy Music」からの第一弾。
これだよ、これ。佐野元春にしか書けない唄の数々。
例えば「希望」なんて唄を聴くとソングライターとしての誠実さにグッとくる。
そしてホーボーキングバンドも素晴らしいサポートでこれだけ高いクオリティのロックを聴いちゃうと、ほんとオレンジレンジとか聴いてられるかよ!と言いたくなる。
ま、とにかく聴くべしの名盤。
韓国のイ・チャンドン監督「oasis」観る。
前科3犯の男と脳性麻痺の女のラブストーリー。
社会からはみ出した2人が紡ぐ文字通りの「純愛」。
不器用すぎる2人が、お互いを見つめ、魂と魂を通わせる、その「愛」というミラクル。
2人だけが共有した「愛」は、世間や常識の前で悲劇的な結果を生む。
それでもラストシーンの美しさと軽やかさは心に一筋の光を注ぐ。
ソル・ギョング、ムン・ソリ2人の素晴らしい主演俳優に拍手。
中島らも死去。
あまりにあっけない最後に言葉を失う。
とにかく「ありがとう」とだけ言っておきたい。
合掌。
大槻ケンヂの「グミ・チョコレート・パイン」最終章パイン編読了。
上手いか下手かでいうと下手な小説だと思うが、それでもそれを補って余りある「熱」に心震えた。
青春なんてのは決して明るかったり楽しかったりするものじゃない。
どうしょうもない憂鬱と苛立ちでポケットを一杯にさせて、何者でもない自分と向き合っては、焦り、苦悶し、結局オナニーに逃げたりするそんなどうしようもない時代。
そこをきっちり愛情をもって小説として形にした大槻ケンヂ。
信用できる。

今、あなたがご覧になっているHPは「OFF!!音楽と笑いの日々」です。
引き続きお楽しみください。