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<A TRIBUTE TO TERRY JOHNSON;PILLOW TALKS>
(2001年11月)
 

イラストレーター、テリージョンスンこと湯村輝彦氏へのトリビュートアルバム「A TRIBUTE TO TERRY JOHNSON;PILLOW TALKS」がいい。
監修はCTPPの信藤三雄氏。
タイトルの通りセクシーソウルの名曲「PILOW TALK」を6組のアーティストがそれぞれのやりかたでカヴァーする。
でまずはオープニング。
「PILOW TALK」のオリジナルシンガー・シルヴィアからテリーへのメッセージに導かれて筒美京平作曲、小西康陽編曲による「テリーのテーマ」が始まる。
これがうさんくさくてなんともかっこいい。
疾走感溢れるギターにストリングスの絡みが気持ちいい。
声優・内海堅二氏(Dr.スランプの千兵衛博士でおなじみですな)によるやりすぎなぐらいのナレーションもばかばかしくて最高。
個人的には小西仕事久々のヒットって感じ。
でここから怒涛の「PILOW TALK」カヴァー。
信藤三雄率いるスクーターズ、約20年ぶりの新録。
これがもう素晴らしく良い。
この一曲だけでもこのアルバム買いです。
パーティーヴァージョンとでもいいたい軽快な演奏に、軽エロな日本語詞をこの上ないほどのキュートさで歌う星野節子嬢のヴォーカルがたまらん。
カーステレオで思わず何回もリピートしてしまいました。
で続くスチャダラパーは予想を裏切り渋〜いミックス。
このビートの重みは日本のヒップホップ黎明期から10年にわたり生き抜いてきたものの凄みすら感じさせる。
でクレージーケンバンドはエロ度2割増しながらも独自のユーモアでCKBにしかできないカヴァーを披露。
相変わらずこのバンド、愛と叡智とユーモアに満ちてて素晴らしい。
で小西康陽は小西印全開のアッパーなクラブミックス。
最近の小西リミックスはもはや「これでいいのだ!」としか言いようのない迷いのなさで「全部いっしょじゃねーか」の突っ込みさえ跳ね飛ばす豪快さがあるなぁ。
続く常盤響のスペイシーなエレクトロラウンジミックスは、はっきり言ってお気に入りです。
未来のボサノバとでもいいましょうか、このなんとも言えん呑気さに漂うハッピーサッドな心地よさは特筆もの。
でもりばやしみほのヴォーカルをフィーチャーした高木完もこれまた心地いいんだ。
スペイシーなバックトラックに響くアコースティックギターが大人だなぁ。
本家シルヴィアの股間直撃の濃厚なフェロモンヴォーカルもいいが、もりばやしのアンニュイな中に光るちょいロリータ系の危なげなフェロモン感もまた良し。

テリーが自らの作品によって実践してみせる「ヘタうま」感。
川勝正幸氏によるライナーによれば「ヘタうま」とは「プロの技術と素人の視線・センス」を併せ持ったものだとか。
「PILOW TALK」というお題をそれぞれのやりかたで料理した6組のアーティスト達。
彼らの音楽もまたその「ヘタうま」感に満ちている。
それこそが彼らのテリーへのリスペクトを最大限にあらわしているといえるんじゃなかろうか。
と、ちょっと締めてみましたが、単純にとても、とても楽しめるアルバムです。

特にお勧めはスクーターズと常盤響。即買いですね。

A TRIBUTE TO TERRY JOHNSON;PILLOW TALKS

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