「猪木パンの需要と供給」
(2001年8月)
 
ある晴れた日曜日。
いつものように、妻と娘と買い物に出かけた。
自宅から車で3分ほどの位置にあるジャスコ系の食品スーパー「マックスバリュー大津店」。
いつものように「今晩のおかずは何にしょうか?」などと考えながら食材を物色。
野菜売り場から魚、肉と移ってちょうどスーパーの中央部にあるパンコーナーにさしかかる。
娘がこれまたいつものように「ポケモンのパン買っていい?」と聞いてくる。
ポケモンパンにはポケモンシールが入っていて、娘はこれが目当てなのだ。
「うん、いいよ」「わーい」とてもささいだけれど、なんとなく幸福感が漂う一瞬。
チョコにしようかクリームにしようか、はたまたイチゴクリームか、数豊富なポケモンパンをうれしそうに物色する娘を軽く微笑みながら眺める。
とその時、パン棚の上段付近からなにやら殺気めいたオーラが漂っているのが感じられた。
「パン屋という幸せ空間の中に不似合いな、この殺気めいたオーラは一体・・」とふと振り向くと、そこには・・
・・・「燃える闘もろこし魂パン」て・・。
いや、いや、なんで2001年の今、猪木やねん。
ターゲットどこや。
っつーか、猪木とパン関係あらへんがなっ!
「元気ですかー!」言われても。
「食べて満足!闘もろこし魂パン!ありがとーっ!」って完全に売れ残ってしもてるんやん、君。
思いっきり「50円引」シール張られとるがな。
なに?「A.猪木の闘魂シリーズ」?おい、まだあるんかい。
とふと隣を見ると・・・
若っ!写真、若っ。
いつの時代の猪木やねん!確実に20年以上前の写真やで。
俺が小学生の時、見てた猪木より若いで、これ。
また「ピザパンだーっ!」って、なんや。
たんに「だーっ!」つけてるだけやん。
「元気ですかー!」「ありがとーっ!」って完全に売れ残ってるやん。
売れてないやん。
子供のハート掴めてないやん。
っつーか、今の子供、猪木知らんやん。
おい、おい、また「50円引」シール貼られてるで。
えっ?「A.猪木の闘魂シリーズ」?
まさかとは思うけど、もうないやろね。
あったで!
「アントンケーキ」ってパンからもはずれてるやん。
それにアントン、絵になっとるがな。
もう一枚写真なかったんかい。
にしてもまた、ものすごいアングルやがな。でもこの絵、子供に確実に受けへんで。
なに?「A.猪木の横顔をテーマにしたカステラケーキです」?
単に丸いケーキ半分に切ってるだけやがな。
「3個入」て、君〜。「3個入」は普通か。
だから、また「50円引」シール貼られてるって。
150円の50円引きゆーたら大きいで。
デフレやからやって?
違うがな、単に売れてないねん、君が。
子供、そっぽ向いとんねん。
おい、アントン、どこ見てるねん。
おい。
おい!アントン!
アントーン!

というわけで、この「A.猪木の闘魂シリーズ」。
一体、どこを目指してるのか?
一体、誰が買うのか?
しばらくパンコーナーの前で見張っていたが「50円引」されてるにも関わらず誰も買わず。
目ざとく見つけて手にとって笑ってる客がやっと一人。
よくみると妻だった・・。
で協議の結果、「買っとけ」ということでここに紹介します。
味は何の変哲もない単なる菓子パンでした・・。
ありがとーっ!

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引き続きお楽しみください