ムーンライダーズの新曲「Kissin' you till I die」がめちゃめちゃにいい。
元曲は99年にライダーズの公式サイトから無料配信された「Pissin'
till I die」。
「死ぬまで小便し続ける」というタイトル通りパンクな歌詞と実験的なサウンド、それでいて耳に残る甘いメロディ、ネット配信のみという発表形態と、まさにムーンライダーズ丸出しのムーンライダーズな傑作なんだけど、これがさらに新たな音と新たな歌詞を身にまとって「死ぬまで君にキスし続ける」という大傑作になった。
印象的でどこか病的なイメージのイントロ、オーソドックスでアメリカンなギターのうねり、ロマンティックで流麗なストリングスの隙間を縦横無尽にサイケでアヴァンギャルドな音のかけらが這いずり回る。
鈴木慶一、博文兄弟による甘くて情けなくて痛くて切ない詩はまさに必殺のムーンライダーズ節。
「ムーンライダーズは文学である」そう思う。
大人のやるせなさを感じさせる武川のヴォーカルと慶一の不器用で危なげで痛々しいまでにセンチメンタルなヴォーカルが重なる時、30男のロマンティシズムは大きく揺さぶられるんだなぁ。
でまぁこの素晴らしいムーンライダーズの新曲を聴きながら浮かんだキーワードは「メロウ」である。
辞書で引くと「熟して、柔らかく、美しい」という意味の「メロウ」。
ムーンライダーズがメロウという言葉で語られたことは今までなかったように思うが、この「メロウ」な感じがムーンライダーズの音楽の肝であるんじゃなかろうか。
そしてなんつっても鈴木慶一のヴォーカルはメロウなメロディに実にはまるのだ。
「Mellow Moonriders」そんなライダーズの味わいかたをちょっと提唱してみたい。
勝手に選ぶ「Mellow Moonriders」な曲
9月の海はクラゲの海(Don't trust over 30)
青空のマリー(青空百景)
G.o.a.P(アマチュア・アカデミー)
ダイナマイトとクールガイ(AOR)
涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない(最後の晩餐)
幸せの洪水の前で(AOR)
Virginity(MODERN MUSIC)
Kissin' you till I die
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