鈴木博文「シングスムーンライダーズ」(1996)

誰も何も書かないので書く。
鈴木博文氏の「シングス・ムーンライダーズ」を聴け!
今年ついに20周年を迎えた孤高のロックバンド、ムーンライダーズのベーシストにして「くれない埠頭」「大寒町」等のライダーズの数々の名曲を作った氏が自らのレーベル「メトロトロンレコード」(インディーレーベルとしてもう10年近く数々の良質な音楽を提供し続けてるにも関わらずどうして雑誌なんかのインディーレーベル特集では全く無視されてるのか?クルーエルやエスカレーターを語るのもいいけどまずメトロトロンからだろう。ちなみにメトロトロンの第一弾アルバムであり、博文氏のファーストソロアルバム「Wang-Gang King」のアナログ盤に先日サインをしてもらい感激のあまり失神しそうになった。)から放つ大問題作!
でこのアルバム、氏がムーンライダーズに書いた数々の名曲をセルフカバーするという物。
中学の終わりから高校、大学に入る頃まで僕はほんとに孤独だった。
「人にあわせるぐらいなら一人のほうがまし」なんて強がり言いつつ、どうしようもないやりきれなさと苛立ちでポケットをいっぱいにしていたあの頃、窓のむこうから世界中の憂鬱が僕の部屋に襲いかかってくる様な気がしていた。
そんな時、いつもそばにあったのがムーンライダーズの音楽だった。
特に鈴木博文氏の作る曲のヒリヒリとする感覚は時に僕を責め、時になぐさめてくれた。
氏の曲から僕はロックというものを、ロックであるということを学んだのだ。
でここでカバーされてる曲は僕にとっても思い入れのある曲ばかりでとても冷静に聴いてられないんだけど、氏の乾いたボーカルとシンプルな編成で歌われる歌の数々はこれこそがロックなのだとしか言いようがない。
「いとこ同士」や「さよならは夜明けの夢に」「くれない埠頭」といったライダーズクラシックから「インテリア」や「霧の10A」といった隠れた名曲までほんと全曲最高なんだけど僕のベストチューンは「駅は今、朝の中」。
当時ちょっとしたことがあって僕にはめちゃめちゃ思い出深い曲。
「僕は卑怯で/臆病者で/君の中にはいられない」というフレーズはいつ聴いてもちょっと僕の胸を痛くさせるのだ。
ライダーズ好きな人も聴いたことないって人もぜひレコード屋で探して聴いてほしい。
テレビやラジオから簡単に垂れ流される音楽からはやっぱり「本物」は見つからない。
カラオケで歌う為やコンビニで流される為だけに作られる音楽はやっぱりうそだと思う。
だからちゃんと自分から探し求めて「本物」を見つけて下さい。


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引き続きお楽しみ下さい。