「歌謡曲」 (1996)

ちょっと前の話になりますがブルータス誌で「歌謡曲`96」と銘打った特集を組んでいて、それを読んでかって自分が歌謡曲好きのエアチェック小僧だったことを思い出した。
実家に残してきた70年代後半から80年代前半までに録音されたカセットを早速取りに帰って全部聞き直してみたら出てくる出てくるあの懐かしい歌謡曲の数々。
やたらいい曲ばかりの松田聖子(最近彼女の「声」の魔力にとりつかれている。
特に結婚前の彼女の「声」はなんともいえないフェロモンが出てて辛抱たまらんって感じだ。)やまるでオザケンみたいなノリの田原俊彦(関係ないけど「インスタントシトロン」の「幸せな時間」という曲は「ハッとしてグッド」にストリングスとホーンのアレンジがそっくり。でもすごくポップないい曲なのでぜひ聞いてみよう。)。
マッチ奈保子伊藤つかさ(昔、兄貴の部屋に生写真が飾ってあった。兄貴にしても恥ずかしい過去だろう。それにしてもセーラー服をきた女の子に「少女人形」なんて歌うたわせるなんて大人って考えることがエロだなぁ)などアイドル物。
妙にポップな横浜銀蝿(なぜか銀蝿一家の曲をやたら録音してる。嶋大輔はもちろんジョニーのソロから杉本哲太のいた紅麗威甦まで。「大輔・哲太のロックンロール」をぜひ再演して欲しい)にジューシーフルーツ(近田春男色強し)。
それとあのねのね(原田伸郎の「鼻から抜ける声」は今こそ笑える。)とかうなずきトリオ(大瀧詠一恐るべし・・)、柳沢慎吾(氏が菊池ふたりっこ麻衣子とともに司会を務めるNHKの広報番組「土曜プラザ」は必見。荒い作りに二人の微妙な息の合わなさ加減が実にスリリング。)の歌う薬師丸ひろ子の応援歌なんていう珍品まで。もちろんぼんちも。(ちなみに鈴木慶一編曲。)コミックソングも結構押さえていた。
今思えばあの頃のヒットチャートは実に魅力的だった。
松田聖子やたのきんがいればツイスト(「ふとがね金太」が本名だったら笑う。)やサザンゴダイゴもいる。いきなり寺尾聰があらわれたり五木ひろし(来年あたりブレイクしそう。とりあえず名曲「夜空」は中古盤屋でゲットしといた。)や小林幸子が1位になってたり。
なんのひねりもなくただ同じような音が並ぶ今のチャートなんかよりずっと豊かだ。
それにしても中古盤屋で歌謡曲のシングル盤をあさる時のワクワクしつつもどこか空虚なあの感じはたまらないものがある。でここ最近はまってる歌謡曲と歌謡曲を感じる最近の曲を意味なく紹介しよう。

「わがままな片思い;松田聖子」
「天国のキッス」のB面に収められた細野さん作編曲のまるでピチカートの新曲みたいなポップナンバー。
そういえばピチのボーカル野宮真貴嬢はポータブルロック時代「電気仕掛けの松田聖子」なんて言われてたっけ。
「君は薔薇より美しい;布施明」
今こそ布施明を聴きたい。
映画「ラヂオの時間」のラストに氏の歌が流れるんだけどそれを聴いて何故か妙にハッピーな気分になった。
こんな時代だからこそ氏のゴージャスで小粋な歌声が必要だと思う。
「心の中をみて下さい;井上順」
ピンクレディーでお馴染みの都倉俊一のペンによる痛快なダンスミュージック。
井上順のキャラに合わせたほのぼの系の詞とあまりにミスマッチな強力なリズムに腰もトロトロにとろけだす。
「渡り鳥はぐれ鳥;沢田研二」
ジュリー試行錯誤時代の名曲。
バックはもちろんエキゾチックス。
中学生の時なぜか大好きだった。
「素直になりたい;ハイファイセット」
杉真理作のドリーミーなポップソング。
それにしても素直になるどころか泥棒になって捕まってしまったメンバー大川氏のことを思うと不憫でならない。

「恋をしたかった;市井由理」
朝本浩文氏プロデュースのヒップホップ歌謡。
小泉今日子氏の手によるつぼを心得た無駄のない詞も素晴らしいが何より市井由理ちゃんの友達以上恋人未満って感じの歌声が最高。
同じメンバーによる「優しいトーン」という曲もこれまた最高で私(二十六歳、妻子持ち)でさえも胸キュンになってしまう素晴らしすぎる名曲。
それにしてもUAの一連の作品といい朝本氏の最近のいい仕事ぶりは感動的ですらある。
「マインドサーカス;中谷美紀」
坂本龍一久々の歌謡仕事。
「教授、あんたやっぱりうまいよ・・。」と言わずにおれない名曲。
大胆なストリングスアレンジとリズムの素晴らしさに「世界のサカモト」を見た。
売野雅男の詞もまたいいんだよねぇ。
「君に星が降る;竹中直人」
これまた教授の大傑作ボサ歌謡。
風呂場でつい口ずさむ歌、第一位。
もちろん歌詞はうろ覚え。
「No,Goodbye;カーネーション」
遂にブレイクしたカーネーション。
アルバム「ガールフレンドアーミー」(超名盤!)からまたさらに進んだ音世界にグッときた。
カップリングの「 I WANT YOU」も最高。
スマップにカヴァーして欲しい。
「バイバイブルース;ヒックスビル」
ヒックスビル最高!去年インディーで出たミニアルバムもよかったけどメジャーデビュー盤のこのシングルは超がつく名曲。
いなたいギターにソウルフルなボーカル、どこか懐かしくそれでいて96年の気分。
(これはマチャアキにカヴァーして欲しい。)アルバム「トゥデイ」ははっきり言って96年上半期のベスト。
四の五の言わず聴け!
「さいだぁぶるーす;かせきさいだぁ」
これはラップなんで歌謡曲を感じる曲というのはおかしいかもしれないけど、永遠に残るいい曲という意味であえて選んだ。
カップリング曲の「じゃっ夏なんで」も名曲。96年の夏の印象はこのシングルと共に永遠に私の心に残るでしょう。


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引き続きお楽しみ下さい。