SELECTED by OFF!
2002 best album
1
「Jem'appelle MONSIEUR」ムッシュかまやつ

文句なし一位はムッシュ。
僕にとって、ここ数年の中で最も感動した盤でもある。
ムッシュの長い歴史とそれに反比例する身軽さを、あざやかにドキュメントしてみせたプロデューサー小西康陽の見事な手腕が光った。
こんな大人に私はなりたい。

2
「GRAN TURISMO」クレイジーケンバンド
まさに絶好調のCKB。
横山剣、天才也。
大人の男の本気のユーモア、粋でイナセなサウンドはもろに腰にくる。
あぁ、CKBと同時代に生きていることを感謝。
こんな大人に私はなりたい。イイネっ
3
「AUDIO SPONGE」SKETCH SHOW
細野&高橋が帰ってきた。
テクノ、エレクトロ、もはやこれはスケッチショウ。
音楽界の重鎮のこの力の抜け具合。
軽妙に、飄々としつつ、まだ最先端にいるよ、この二人。
こんな大人に私はなりたい。
4
「初恋に捧ぐ」初恋の嵐

青くて、切なくて、美しい音楽がここにはある。
嵐のように過ぎ去っていく「一瞬」が初恋の想いのように「永遠」を刻む。
多分、これからもずっと聴き続けていくであろうアルバム。
大人になんかなりたくなかった。

5
「YOKO ELEGANCE」渚ようこ
天才プロデューサー・横山剣と真の歌姫・渚ようこの幸福な出会い。
渚ようこの歌声はマジックである。
時にやさしく、時に力強く、様々に表情を変えるその歌声に見事にはまった。
6
「ヒゲの未亡人の休日」ヒゲの未亡人(岸野雄一&ゲイリー芦屋)
21世紀のシャンソン。
キワモノの一歩手前で奇跡的な美しさを保った唯一無比の音楽。
どこにも属さない音楽。
百聞は一聴にしかず。聴け。
7
「essential」櫛引彩香
例えば、僕が25歳(独身・女)だったら、まるで鏡を見るようにこのCDを聴くことだろう。
日常の中の等身大の音楽。
何気なく、さりげなく切り取られたちょっとした心の響き。

8

「Utrecht & Maestro」インスタントシトロン

もはや僕のベスト常連になったインスタントシトロン。
今回もまたもや無敵のポップ具合。
「かわいい」の中に潜む怪物。
ウィスパーヴォイスに込められた男気にまたもやグッときた。

9

「dreamsville」rallypapa&carnegiemama

「夢の街」から届けられたラリーパパ&カーネギーママのファースト。
いくら世紀が変わっても楽器を奏で、音楽を創造する原始的な快感は変わらない。
決して機械では作ることのできないギターの響きに音楽の原風景を見た。

10

「COMPUTER HOUSE OF MODE」SPANK HAPPY

90年代の残像。
バブルのゾンビ。
病んだ現在に毒をもって毒を制するスパンクハッピー。
これは危険なアルバムである。


<総評>
いや、いや、そんなわけでこんなベストになっちゃいました。
まずは頭3作。
そう、2002年はズバリ「大人」の音楽が良かった。
共通するのは「愛と叡智とユーモア」。
特に「ユーモア」ってのがポイント。
「ユーモア」はこんな時代を生き抜く最大の武器なのだ。
ムッシュ、CKB、細野&高橋。
その軽みにどれだけ勇気付けられたことか。
そして「初恋の嵐」は本当に美しい音楽。
表題曲「初恋に捧ぐ」のあの疾走感、青春という残酷な季節の一瞬の輝きが永遠に封じ込められたような大名曲。
「YOKO ELEGANCE」は一曲目のイントロ、そして渚ようこの第一声でもはやベストテン入り決定。
新しい昭和。こういう歌声を待っていた。
「ヒゲの未亡人の休日」は今回のベストの肝かも。
こればっかりは説明のしょうもないのだけど、まぁ聴いてみてよ。ってとこ。
ただ一言「いい」んだよね。
櫛引彩香は今後の期待も込めて。
この人はもっともっといいソングライターになると思う。
インスタントシトロンはねぇ、もう断固支持。
今、ほんと一番いいポップソングを奏でてるバンド。
子供から大人まで広く多くの人に聞いてもらいたいと思う音楽。

世界中に彼らの音楽が届けば戦争なんてすぐになくなっちゃうと思うよ。
ラリーパパ&カーネギーママは、ライブみたいなぁって感じのバンド。
楽器一つ一つの音が人間が奏でてるって感じがあって、そこがまた懐かしくも新しい。
これ聴くとバンドやりたいなぁって思っちゃう。
スパンクハッピーは毒気があって、妙にひっかかってくるアルバム。
1年後、2年後聴いたらどんな印象になるかなってのが興味深い。

とまぁ、またまたバラエティにとんだベストになりましたが、これが2002年僕の心に残ったアルバム。
一応、単独アーティストのオリジナルアルバムという規定を自分に設けての選出ですが、例えばピチカートファイヴのトリビュート「戦争に反対する唯一の手段は」やユーミンや岡村靖幸のトリビュート盤、カーネーションなどが参加したティーンエイジシンフォニーのコンピ盤なんかも愛聴しました。
これを読んで興味もたれたかたはぜひ買って聴いてみてください。


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