セミのふしぎ
今年も、セミがにぎやかに鳴いていますね。
以前、ひょうご自然教室の例会で、セミの羽化を観察に行きました。
そのとき、ふと疑問に思ったことがあり、例会の終ったあともずっとそのことを考えていました。
「そのこと」とは・・・
セミは、何年も幼虫の期間を地中で過ごしますが、ある夏に生れたセミの幼虫は、同じ年の夏に生まれたセミ同士としか子孫を残さないのでは?ということです。
とってもむずかしい言い方をすれば、「日本のセミたちはどのようにして、各年ごとに羽化する集団間で遺伝情報を交換しているのか?」 というところでしょうか。
その次の夏のセミや、次の次の夏のセミとは交尾しないとすると、何万年何十万年のちには違う種類に別れて進化してしまうのでは?
自然教室のある元リーダーに、このことを電子メールでたずねてみると、すぐに返事がありました。そして、ある1冊の本を紹介してくれました。その本によると、セミの幼虫の期間は、いつも決まっているわけではないようです。その本には、実験に基づく論文のデータの引用として
ミンミンゼミ 二年・三年・四年
ツクツクボウシ 一年・二年
アブラゼミ 二年・三年・四年
クマゼミ 二年・四年・五年
などと紹介されていました。
そうか、なるほど、これなら何万年も同じ種でいられるわけですね。
それと、セミが幼虫でいる期間は七年と思いこんでいる人が結構多く、わたしもそういう記憶があったので、この結果は意外でした。
←クマゼミの羽化(2001年7月14日明石公園にて)
ところが、セミについていろいろ調べてみると、もっと意外なことがありました。
また、むずかしいことばを使うと「セミの発生周期と、時間による遺伝的隔離 」つまり、私が疑問に思ったことが、現実におこっているような例があるのです。
それは「周期ゼミ」という種類のセミで「十七年ゼミ」が特に有名です。アメリカ合衆国に分布し、その地域で十七年ごとにおびただしい数が大発生し、ほかの年はほとんどいないというセミです。つまり十七年周期の集団だけが孤立して一つの種になってしまったということでしょうか。ほかには十三年周期のセミもいるようです。
数学が得意な人ならお気づきでしょうが、十七年も十三年も「素数」なんですよね。
たとえば、十二年だったら二でも三でも四でも六でも割り切れる・・・
もしかして天敵の発生周期から逃れるために、自分たちの発生周期をだんだん延ばしていって、ついに十何年もの幼虫期間の集団だけになってしまったのしょうか。このことも調べてみようと思います。
セミってやっぱりふしぎだなあ。
参考図書:盛口 満「ぼくらの昆虫記」(講談社新書)