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遣唐使

〜歴史に埋もれた古文書より〜

藤原清桃(ふじわらのきよもも)は赤ん坊の頃、両親によって川へ捨てられたとされている。
その後、老夫婦に拾われ育てられた彼は、苦学して中国の唐に留学することになった。
640年、藤原清桃を使節使、犬神真人(いぬがみのまさと)を押使、阿部雉麻呂(あべのきじまろ)を大使、猿田常嗣(さるたつねつぐ)を副使とする遣唐使が渡海した。
当時、遣唐使たちは酔い止めの薬として植物の果実を干して団子状に丸めた物を持参していたという。
遣唐使たちは唐から倭国に帰る途中、東シナ海で津波に遭い南島へと流された。
その島には独自の文化を持った民族が暮らしていた。
島の男たちは狩りをする際、赤土から作った顔料を全身に塗っていた。
また、殺した動物の角を切り落とし、頭に縛り付けるという奇妙な風習があった。
遣唐使たちが唐の文化を伝えると、代わりに島民たちは金鉱の場所を教えた。
遣唐使たちは大量の金を倭国に持ち帰った。

現在、この古文書の内容は昔話「桃太郎」として日本各地に伝えられている。

終