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朝鮮戦争

〜1950年 韓国と北朝鮮との間で朝鮮戦争が起きていた〜

韓国に生まれたパクは、家族や親戚から祝福を受けて、友人と共に駐屯地へと赴いた。
パクの入った部隊は何とか戦火をくぐり抜けていたが、友人が北朝鮮の兵士に撃たれ重傷を負ってしまう。
パクは友人を運ぼうとするが、部隊長が足手まといになるから置いていけと指示する。
パクは部隊長に強い反感を覚えるが、もめている最中に、友人は息を引き取ってしまう。
やむなく友人を放置して去ってゆく。
一人、また一人と仲間が死んでゆく。
敵の襲撃を受けて部隊はバラバラになってしまう。
パクは近くに身を潜めていたが、銃声が止むと這い出してきた。
元の場所に戻ると、瀕死の部隊長が倒れていた。
部隊長は助けを求める身振りをしていたが、パクは見捨てて逃げ出した。
どこかで自殺しようと民家に入るが、そこにはライフルで頭を撃ち抜いて、先に自殺した北朝鮮の兵士の死体が転がっていた。
恐ろしくなったパクは何日も森の中を彷徨い続けた。
銃弾も撃ち尽くし、体力も限界に近づいたパクは、川のほとりで休もうとする。
そこには負傷した北朝鮮の兵士が横たわっていた。
警戒する両者だったが、相手も武器を持っていないようだった。
おまけに、向こうは両手を負傷し、銃も持てないありさまだった。
警戒心が解けた二人は、徐々に自分のことを話し始めた。
彼の名はチェと言った。チェもまたパクと同じく、家族親戚に祝福されここにきたが、仲間は皆死んでしまったらしい。
パクが部隊長を見殺しにしたことを言うと、チェは笑って、自分の部隊にはやけくそになって、上官を撃ち殺した奴がいたと言う。
束の間の平和であったが、数日してチェの容体が悪化し始めた。
パクは近くの川に水を汲みに行ったとき、韓国の部隊がこちらに近づいてきているのを見てしまう。
あわててチェのところへ戻りそれを伝え、一緒に逃げようとする。
しかし、チェはそれを拒否し、このままではお前まで疑われる、俺を撃ち殺せと言う。
チェはハンドガンを草むらに隠していた。
パクはチェを射殺し終わると、自分のこめかみに銃口を向けて、引き金を引いたが、弾は残されていなかった。

終

朝鮮戦争