黐木舎


平成12年(2000年)
7月






29日(土)晴れ
高齢化社会到来云うところだろうか。
近所で続けて3人お方が亡くなった。
その内の一人がお宮の隣のお爺さんである。
こうなると私にお呼びがかかる。
この地域では樒をお供えした人の名前を書く。その名前を書くお手伝いをするのである。
その方お葬式が28日がお通夜で有ったこともあり、中村達也の展覧会のオープニングパーティーと時間的に一緒になり、お葬式の通夜会場と境内のパーティー会場を行ったり来たりの慌ただしい感じでしたが、沢山の方が来て下さって本当良かったです。
中村達也を中心に、芸術を語り、文化を語る若き人々を見るのは何時の世も嬉しいものです。
彩美(娘)が2日掛けて掛けて作ったイタリヤ料理も出すと共に無くなるという始末。
午後11時になって早く終わらせて帰らそうとするが、終わり掛けては又始まり終わったのが29日午前2時近く。
私も相当酔いが回っていたようだ。
会場に最後に来た女性に抱きついてのポラロイド写真による記念撮影。後で見ると私は唯のエロ爺。情けない。

一番後ろにいる影のような男が中村達也。お疲れさま、体本調子じゃないのに頑張りました。
少し体を休めるように。


27日(木)曇り
もちの木基金の第1回に於ける中村達也をニューヨークに無理矢理行かすと云う企画を立てて早くも2年経ちました。
皆さんから彼のスポンサーに成っていただき、作品の先物買いをした訳です。
昨年4月日本を出発して1年、彼はニューヨークの現代美術と出会い何かを感じ作品を彼なりに制作をしてきました。
今年4月に日本に帰国。
彼曰く「もっと居てたかったが、資金切れで帰ってきました。又、行きたいです。」
帰国後作品の整理等を済ませ、明日から布忍神社絵馬堂にて彼のNYで制作された作品の展示を行います。
26日27日と彼と彼のスタッフに依って作品を搬入展示を済ませたのを見て、彼のスポンサーに成っていただいた方々への約束を守れた事への安堵感を、私は少し得ました。

今回の彼の作品を見て、後期印象派的な色の綺麗さを感じ、又デジタル的な試行を見た思いがします。
大変無理な思いをした第1回もちの木基金の企画でしたが、良かったかなと思います。
さて皆様の思いは、いかばかりでしょうか。

中村達也展
平成12年7月28日〜8月12日まで
布忍神社絵馬堂にて


25日(火)雨のち曇り
世の中おかしいよと思ってしまうことが時折ある。
これからの日本はどうなるんだろうか何て思ったりする。
今、日本中の学生は夏休み。
お宮はこの時が大変なんです。

今日も藤棚の下で、中学生ぐらいの男女が昼間から人目も気にしないで抱き合って居るんです。
その横を見てみない振りをした大人が、お宮にお参りしています。
小さな子を連れたお母さんが、遊んでいます。
小学生がセミ取りに来ています。
「こら、お前達昼間から何をしてる」「お参りに来る人はお前達のことを良いことをしていると見てないぞ」と、云いに行くと、女の子は男の子の膝の上から退いて「ヘヘヘェ」と苦笑いして立つのです。
その顔は、まだ穴の青い子供に一寸毛が生えた程度。
男は一部緊張がまだ元に戻らないのか、立つことも出来ないらしい。
「愛し合うことは悪い事じゃないけど、もう少し羞恥心を考えろ」と云うと、女の子は「しゅ・う・し・し・んって何」と聞き返す始末。
「馬鹿垂れ、オレ子やったら、どつきたおすぞ。通る人皆見てゆやないか」と叱るが、そこにはジュース缶を置いたまま悪びれず自転車で立ち去ろうとする。
「こら、空き缶ゴミ箱に捨てろ」と云うと、男の方が空き缶を二つ持ってゴミ箱に捨てに行く。
女の子はその後を自転車を押して付いて行く。
やがて自転車に乗った男の子の後ろに、女の子が乗って立ち去っていった。
私は社務所に戻ろうとすると、60歳余りの男の人がセミ取りの網を持って私に話しかけてきた。
「今先程から、孫を連れてセミ取り来たんですけど、この頃の若い者は仕方ないですな」と云うのである。
これを聞いて落ち込んでいる気持ちが、輪を掛けて落ち込んでしまった。
大人の威厳は何処に行ってしまった。情けない限りである。
お前達大人が50年掛けて今のような若者を作り上げたんだろう。自由と言う言葉の元、作り上げたものがこの結果ではないのかと思ってしまう。
「そうですね、見て見ぬ振りをする大人が多すぎますね。子供は素直です。教えてあげると分かりますが教えない事は分かりませんよね。黙る大人が悪いんです」と、云うと何も云わずに孫を連れて帰っていった。

今私はお宮参りに来た若いお父さんと母さんに、子供は三歳までに良いこと、悪いこと、悲しいこと、楽しいことを話してやって下さい。子供の仕付けは三歳までにしなさいよ。と、云うようにしています。

これからの夏休み中の約一ヶ月間、お宮の境内で子供を捕まえては、いろんな話しをするようにしています。
仕付けの成っていない子のには叱る毎日です。
しかしこの頃、親を捕まえて叱る日が多くなりました。
子供が砂を賽銭箱に入れ居るのに叱らない親が居ます。
この親には「砂を入れるならお金を入れるように」と仕付けていますが、この様な親はお宮で遊んでも滅多に賽銭を入れてお参りもしません。
困ったものです。


16日(日)晴れ
今年の梅雨も開けたような気がする。
何故かと云うと、蝉が鳴いたから。
一番最初に鳴いたのは9日の日曜日でした。しかし、一匹だけで直ぐに鳴かなく成ったのです。
今日の蝉は一匹ではなく沢山の蝉が鳴き出したことと、午後から日差しか一度に暑くなったこともあり、私は勝手に梅雨は明けたと思っています。
明日は満月と、昨日思っていました。そうして、今世紀最後の月蝕。
何かあるぞ・・・・。
狼男でも出るのじゃないかと・・・・・。
明日は何かあるぞ・・・と、隣のお宮の夏祭りを手伝いながら不謹慎にもその様なことを考えていました。
すると、
狼男ではなく、こそ泥が!!!。

昨日のことですが、我が婆さん(我が儘で、頑固で何でも人ごとのように云う困った元気なお婆さん)昼間にしこたまのお金を持って、近鉄百貨店に買い物に行ったのです。
買い物に疲れたのか、帰ってきて夕ご飯を食べて自分お部屋に入って寝てしまったようです。
私は近所のお宮の夏祭りを手伝いに行っており、午後11時頃帰ってくると大きな鼾が婆さんの部屋から聞こえていました。
ちょうど14日からネパール人のラムも来ていたのですが、私の知り合いが連れだして飲みに連れ出してくれたようです。
私が帰ったときはまだラムも帰っていなかったし、私も疲れていて服のまま布団の上でうたた寝をしてしまっていました。
ラムもその後帰ってきて表戸を戸締まりして二階へ上がってくると私も鼾をかいて寝ていたそうです。
娘はその後、炊事場を片付けて二階へ上がろうとすると、先程閉めた表戸が開いているのを見て不思議に思い、戸をもう一度閉めに行き表を見渡したところ何もなく、二三歩表に出て表から婆さんの部屋の網戸を見ると全開。
娘は、泥棒と思ったそうです。
全開の雨戸から婆さんお部屋に入って起こすが、婆さんは起きる気配なし。
二階の私をお越しに来る。
私もラムも驚いて一階に来るが、婆さんは起きる気配無いし。
やっとの事で起きる。
「こそ泥が入ったらしい」と婆さんに云うが取り合わない。
どうも婆さん、暑さの為に網戸を開けて寝ていたようだ。
何か盗られている物はないかと婆さんに聞くが、「何もない」と言う。
それじゃ寝ようと行ったところ、婆さん「袋が無いと叫ぶ」
盗られた物があるなら警察に被害届をと、110番。
被害は、今日買い物に行った時に持って行った鞄と中の財布。財布には約7000円余りとクレジットカード。
警察が来て調書を取る。ワイワイガヤガヤ、警察が帰ったのは午前2時を過ぎていたかな。
警察曰く、夏の暑い夜網戸を開けて寝るのは、泥棒さん入って下さいというようなもの。
二階、三階も気を付けて下さい。とのこと、そうして一言、「明日は満月やよってに忙しいかも」
同僚の人が「もう今日から忙しいがな」

皆さん、満月の夜と暑い夜は気を付けて下さい。