<9歳の大学生>
矢野祥「僕、9歳の大学生」(祥伝社)で、アメリカの大学に9歳で入学した日本人少年がいることを知った。文・日記・詩とも幼い子どもが書いたものとはとても思えない。 祥(しょう)くんの父親は日本人、母親は韓国人。両親とも元留学生で、祥くんは日米両国籍を持ち、妹が一人いる。
1995年 4歳9ケ月で私立小学校に二年飛び級で入学。知能指数200以上
96年 5歳でIQ145以上の「天才児」スクール(米国に2校)に転入学
99年 8歳の時、大学入学全国統一テストで1500点を記録。シカゴへ転居
( 参考 ハーバード大生の平均1300点、エール大卒ブッシュ大統領1206点)
2000年 9歳でシカゴの私立ロヨラ大学生物学科に入学。最年少大学生
03年 順調にいけば12歳で大学卒業となり、医学大学院に進学予定
いやはや、彼の学歴には恐れ入りましたのひとこと。こんなことが現実にあるのかと、造物主の不公平、いたずらに思いを致すばかりである。
過去には10歳と12歳の大学卒業生が1名ずついたそうだ。二人の卒業後の人生はどんなものだったのか、ぜひ知りたいものである。
世界各国マスコミは祥くんを「ワンダー・ボーイ」「医学の申し子」「特別な天恵のわりに心優しい子」「音楽の才能豊か」などと称している。日本のマスコミでも取り上げたのだろうか。寡聞にして、祥くんのことは全く知らなかった。
取材を受ける度に、祥くんはIQの高さを認め神に感謝するが、勉学に努力していることも評価してほしいと言い続けている。医学、生物学、音楽、テコンドーに興味を持ち、将来は医者になり、同時にピアニスト・作曲家にもなりたいと言う。尊敬する人物はマーティン・ルーサー・キング牧師。
祥くんは大学での成績も抜群でテストは常にほぼ満点。ピアノやテンコドーの腕前もぐんぐん上達。まさに順風満帆だが、やはり幼い顔もちらつく。近所の少年少女とパーティーをしたり、時には親に叱られて正座させられることもある。
両親には両親の悩みがある。学齢前の祥くんを受け入れてくれる学校探しと転居・転職、大学への車での送迎、息子との対話を図るための勉強、息子の将来への不安と責任等々、「天才児」を子に持つが故の心労が絶えない。
9歳の大学生祥くんは果たして幸せなのだろうか。両親はどうなのだろう? 子どもはやはり年齢相応に成長するのがいいのではないか? 読後何となく違和感が残る。
先ずは祥くんの今後の成長を見守りながら、幸多かれと祈るとしよう。