生け花を観る
空き瓶にいけた桜草の花
1 花を一つの塊として観る
↑
@
A→
B→
C
↓
小さな花の集まりを一つの塊として見ると、ラグビーボールのような形が見えて来きます。
@〜Cに沿って花の形を観てみましょう。小さな花が.
ラグビーボールの面に沿って咲いているのがわかりますね。
他の花の向きもよく確認してみてください。面の向きを意識しながら花を観ると、花の集団がしっかりと一つのまとまりに見えてきます。
←イ
ロ→
2 部分にとらわれず全体の構造を観る
左の花の房です。花が終わって半分落ちてしまっています。
ラグビーボールの下半分がなくなっていますが、その代わり花の軸が見えています。(イ)
(イ)の位置をよく観てください。
(イ)はちょうど花の房の中心にあるのを心の中でしっかり確認してください。軸から茎が伸びてその周りに花を咲かせているのです。花の間を通り、茎の上を心のアリが散歩していきます。
(ロ)は茎がしおれて曲がり、花が塊から脱落して下の方に下がっています。
どこが近くてどこが遠いか、アリを散歩させながら、しっかり心に焼き付けてください。
3 瓶を観る
二つの花の房を受け止めている瓶ですが、あなたは
ここから一体どれだけの情報を見つけることが出来る
でしょうか下のヒントを見て考えてみてください。
@瓶の形はどんな形をしている?
それはどこで分かる?
A瓶の厚みはどれくらい?
E花の軸はどうなっている?
F瓶の上にたくさんの花が咲いているとわかる
証拠はどこ?
B光はどこからやってきている?
C瓶を置いている台はどうなっている?
D瓶の置かれている環境はどんなもの?
4 観る事で世界が見えてくる
@ 瓶の形が最もよくわかるのは水面でしょう。そこからしっかりした円筒である事がわかります。この円を手がかりにして、瓶の縁を散歩してみてください。
A’→
←A”
A
↓
A 瓶の厚みが直接わかるのは瓶の口ですね。
A’は感動的な理解。水面の円と瓶の外円との差が瓶の厚みとして現れています。重要なところですよ。
A”は瓶の底の厚み、レンズ効果による光の変化が要点
B’
B”
↑
B
B 光は瓶の背面斜め上から(B’〜B”)と、
前面斜め上からのニ方向(↑B)からやって来ているのがわかります。
(↑B)とその左横の光はあなたの頭上を越えてやってきた光が瓶の口に反射したもの。
B’は逆に向こうからやってきた光の反射、その証拠はB”レンズ効果で台に光と影を描いています。
C 細い板を敷き詰めた台、その隙間がアクセントになっていますが、瓶のレンズ効果による歪みをよく観て下さい。
D B”の影が薄いのは、反対側からやってきた光に照らされているため、二つの光の中で軟らかく浮き上がっている室内を思わせますね。
5 水面は
饒舌(じょうぜつ)
@→
A
↓
←B
←C
D
↓
←E
@は瓶のガラスを通して見た花の茎
Aは水面に写った影
Bは水に入った茎、水面の反射光でぼかされている
Cは水面に没した茎のレンズ効果、茎の輪郭の白にも注目
Dの影は、茎の上の花の様子を映し出している
Eの縦に現れた影の線は、手前のガラスの疵、これも小さなレンズ効果で光がゆがめられている
6 再び全体を観る
二つの光のうちどちらの光が
弱くなったか分りますよね。
逆光の中の桜草
「観る」という意味を分っていただけましたでしょうか。
ものを心の中に取り込んで一体となる。
すると、どんな些細なものにでもみな意味があることが分ってきます。
分かり合うこと、
ものの立場(相手の立場)から見つめること、
そんな体験がデッサンする心になって行くのです。
これでlesson6の終了です。
お疲れ様でした。