ここでは、これまでのレッスンを踏まえて、少し理屈っぽい話をします。
そんな話に耳を傾けてもらえるほどに、
あなたの心がデッサンの方に向って開かれていれば素晴らしい。
絵が嫌いになった原因その1
学生時代に絵が下手と言われてそのまま嫌いになった。
絵が嫌いという人の中で最も多いいケースではないかと思われます。 日本に優れた美術教師が少ないせいでしょうか、これは明らかにその教師が悪かったのです。 心の線をひく達人は子供です。それは色をぬるのも同じです。子供は心で動き素晴らしい絵を描きます。 ところが子供達の多くはは、学年が進むにつれて絵に伸びやかさがなくなり、硬く死んだ絵を描くようになります。 これは明らかに、絵を頭脳で描くように教えられているためでしょう。 点数のいい絵は、上手に似せた絵という教育は子供達からのびやかな心を奪ってしまっているといっていいでしょう。 社会生活のために必要な理屈(頭脳での理解)を重視するあまり、人の根本たる心の教育がおろそかになった結果といっていいのです。 もう一度、子供の心を取り戻しませんか。 心はなくなってはいません。 生まれて死ぬまであなたと共にあるのです。 ただ、昼間の星空のように、頭脳で作られた常識の輝きにまぎれて見えないだけなのです。 そっと静かにじぶんの内に目をやれば、やがて満天の空に自分の心の輝いているのが見えてくるでしょう。 人はありのままの自分でいいのです。それを駄目だというものは信用できません。 あなたはあなたのままでいい。 あなたの心が自信満満でひく線、そこに人の心を打つデッサンが生まれるのです。 |
絵が嫌いになった原因その2
絵は絵かきが描くもの、自分にはとてもそんなことは出来ない
この考え方もかなり多いように思えます。 絵を権威付けてみてしまう世の中に慣れてしまった結果起こる誤解です。 古来から伝わる素晴らしい名画を見て、その技術に圧倒されます。とてもそんなふうに描くことなんて出来ないと、誰もが思います。 それはそのとおりですが、間違っているのは、それが最高の芸術だと考えてしまう点です。 そんな絵は、おいそれと近づく事も出来ないくらい高い所に祭り上げられています。 目もくらむような金額で、その価値を吹聴されます。 売れる絵が本当の絵だと考えてしまう社会的な土壌は何処にでもあります。 そんな背景のなかで、当然のように思い込まされてしまう考え方がここにあります。 売れないような絵は駄目な絵、とてもそんな絵は描けない。 絵なんて自分とは無縁の世界だと、そう考えてしまいます。 でも待って下さい、本当の絵はお金で量れるようなものではありません。 お金で絵を測るのは、社会の理論、あるいは経済的な計算です。そこに心の理論はほとんど働いていません。 絵はもともと心の表れです。絵を量るものは心をおいて他にありません。 心で量れば、誰もが素晴らしい価値を持つ絵を描くことが出来るのです。 心を二の次にする社会に生きている私達ですが、せめて子供のように絵を描いて見失った心を取り戻しませんか。 あなたは世界でただ一人の貴重な才能を持っているのです。 |
絵が嫌いになった理由その3
自分の絵が好きになれない
自分の心を表現するのには、様々な方法があります。音楽や文学もその一つです。 あなたは絵よりも、音楽や他の表現方法に向いているのかも知れません。 でも一つだけ考え違いをしている点があるように思うのです。 自分の絵が好きになれないのは何故でしょうか。 それは自分の絵を、自分の心の表れとして見ていないか、 絵そのものを、社会の権威的な見方で理解しているかのどちらかではないでしょうか。 そうでなければ自己嫌悪でしょうか。 見栄を捨てて描いた心の線はあなたそのものです。 どうか、自分を愛して下さい。 自愛は利己的だと言われるかもしれません。 しかし、自分を愛せないものに人を愛する事が出来るでしょうか。 人の幸せを考えるためには、どうすれば自分が幸せになれるかを探求しつづける必要があるのです。 自分の絵が好きになる。 それは自分を大切にすることなのです。 |
絵が嫌いになった理由その4
自分には才能がない
自分に才能がないと言って絵から遠ざかる人もよく見かけます。 でも、もうそんなにここで言葉を費やす必要もないでしょう。 今まで見てきたように、心の線をひく事、これが才能に他なりません。 誰もが心の線をひく事が出来ます。 才能がないというのも、絵を権威的に見てしまった結果だと思います。 才能とは、命のことです。生きるままに感じ、活動をするその力こそが才能といえるものなのです。 誰もが才能を持っています。 問題はそれを引き出すかどうかです。 そしてそれは自分を大切にするかどうかにかかっているのです。 どうか、自分に才能がないなどと言わないで下さい。 |
絵が嫌いになった理由その5
絵に興味がもてない
本当に興味がなければ仕方がありません。 でも、そういうあなたがここを見ているとすれば、その言葉の裏に、絵を無視できない何かを感じているのかもしれません。 もしそうなら、あなたはどこかで絵と自分のつながりに気付いているのです。 絵は自分自身。 自分に興味のない人はいないはずですから、そんな人は絵の世界に足を踏み込むだけでいいのです。 一度絵の世界に目を向けて見ませんか。 絵の中の自分に気付けば、あなたはきっと絵に興味を抱くでしょう 以上で今回のレッスンは終わりです。 少しでも絵が、あなたの身近に感じられたなら、素晴らしいことです。 ありがとうございました。 |