ハッチングの練習
ハッチングとは、線を並行に何本も描く技法で、主に影や表情を出すために使われてきたものです。
筆触法でデッサンをする場合、ハッチングは欠かせない技術となります。
なぜなら、筆触法は全てを線で描くことを理想とします。このため、面を表現するにも空間を描く場合でも、そこにどうしてもハッチングの技法が必要となってくるからです。
筆触法は,ハッチングだけで絵を描く手法だと言っても過言ではありません。
このハッチングの技術を身につけるために、楽しみながらやれる練習方法を考えてみました。
まず挑戦してみてください。
まずは斜めのハッチングの練習です。
右上から左下に向う線、ついで左上から右下に向う線の
ハッチング。
団子がいくつも並んだように、線の長さに変化をつけて
描いてみてください。
続いて縦線と横線のハッチングです。
同じように、いくつも団子がつながるように描いて見ましょう。
最初は上手くいかなくても、慣れてくると図のようなもので、
5秒もかからなくなります。
なるべく等間隔になるように練習してください。
次はハッチングの例外です。
思い切りのいい円をグルグル渦巻きのように描きます。
それが出来たら、波型に挑戦。
これが案外難しいのです。
肩の力を抜いて何度も線を重ねてみましょう。
ようは鉛筆を手になじませる事です。
心の中に、色々な思いをめぐらせて、自分だけの物語を線のうえに重ねて見てください。
ハッチングによるちょっとした遊びをして見ましょう。
最初は縦線と横線の組み合わせ。
縦横を交互に組み合わせて網目模様を作ります。
縦横が出来たら、斜めの線の構成です。
形にこだわらずに、縦横縦横とリズムに乗って描いて見ましょう。
これを画用紙一面に描いたら、立派な芸術作品になります。
写し絵を描くのではなく、線をひいて楽しむ。
そこにデッサンの本質があるのです。
心の移ろいを線の上に乗せるように、線をひくというそのことに
楽しさが感じられたらしめたものです。
縦横のハッチングを、積み木のようにして、いろんな形を作ってみましょう。
飛行機、エッフェル塔、
まずはこれを描こうなどと思わず、無心で描いて見てください。
すると何かに見えてきます。何かが見えてきたら、よりそれらしくなるようにハッチングの積み木を積み上げます。
電話をしながら落書きをするように、何気なくリラックスしていろんなものを描いて見てください。
最後に縦横のハッチングと、斜めのハッチングの合成です。
少し難しいですが、すぐに慣れてしまいます。
最初は二つのハッチングの境目で戸惑うかもしれませんが、
これも慣れです。
ひたすら描いて見ましょう。
すると、描いている時にはわからなかったのに、描き終えて
離れてみてみると、ビックリするような形が見えてきたりします。
これを大きな画面に描き切ると、もうどこに出しても通用する
現代美術の完成です。
線をひくということを楽しむだけで、絵は出来るのです。
さて、ハッチングの練習はこれで終わりです。
少しは楽しめたでしょうか。
最後の課題は、作例にこだわらずに自分の自由な発想で、様々に展開してみて下さい。
思わぬ効果が現れるかも知れませんよ。
するともうそれはあなたの絵です。
あなたのオリジナルに加えて、心膨らませていただければうれしいです。