二人の談話室
BGMはEIM作 こころの旅
背景 のしてんてん
(のしてんてん)
写真や書道シャンソン等、色々なジャンルの方々にジョイント展をお願いしてきましたが、
今回作曲家とのジョイント展がEIMさんの御厚意で実現しました。ありがとうございました。
互いの作品を提示し合い、その提示された作品をイメージしながら新作を製作するというジョイントで、
双方約一ヶ月の制作期間を要しましたが、とても新鮮な緊張感があったと思いました。
まず、よろしければ簡単に自己紹介などお願いできますか?
(EIM)
はじめまして、EIMと申します。
まずはジョイント展という素敵な企画に出会うことができたこと
そしてこの機会を与えて下さった、のしてんさんに感謝の意を表します。
ジャンルが違う作家様との企画というものが初めての経験であり、
のしてんさんがおっしゃる通り私も今までに無い緊張感を感じることが出来ました。
自己紹介ということで私自身、作曲家・・というには非常におこがましいですが
趣味でPCを用いて作った音をSOUND IMAGE♪というサイトでフリー素材として公開しています。
(のしてんてん)
趣味でお作りになるとおっしゃいましたが、SOUND IMAGE♪サイトで、音楽は素人というような意味合いのことが紹介されていますね。
実はそのことにとても興味がある一人なのです。
鉛筆一本あれば誰でも絵を描けますが、音楽は敷居が高くて基礎知識と技能がなければ出来ない。
今までそう思っていましたので、EIMさんの素晴らしい音楽に触れてびっくりしているのです。
音楽は誰でも作れるものなのですか?
(EIM)
う〜ん、音楽も絵と同じで誰にでも出来ることだと思います。
頭に浮かんだフレーズを鼻歌を歌えばそれはもう立派な作曲ですよね。
確かに音楽理論や楽器の特性や奏法等々突き詰めていけばアカデミックな面は強くなっていきますし
そういう知識が無ければ作れない音楽は沢山あると思います。
しかしながらそれは絵画も同じではないでしょうか?
絵も音楽も自分のイメージとするものに近づけようとした場合どうしても持ち合わせていなければならない
知識や技能があるはずですがそれらが無いからといって絵にならない、音楽にならないという訳ではないですよね?
(のしてんてん)
よくわかります。まず人があり心ありきということですね。
音楽も絵もその意味で同じなのですね。
なるほど、鼻歌も作曲。
呼吸や心臓のリズムもある意味で音楽なのかも知れない。
それも私の意思ではない、私を生かそうとするものの音楽、広げすぎかな・・・
そういえば子供の頃、頭の中で合唱の歌声のような音が響くのを何度も聞きました。
いつの間にかその歌声のようなものは聞こえなくなってしまいましたが、
もしかしたらEIMさんの頭の中には今もそんな歌声が響いているのかも知れませんね。
(EIM)
私も最近はあまり頭で浮かぶことが少なくなってきているので
実際にキーボードを前にあれこれ考えながら進めています(笑)
絵画の場合はどんな感じなんですか?頭の中にイメージというか完成図のような絵が浮かんできて
それを実際に描いていくような感じなのでしょうか?
特にのしてんさんのような鉛筆画は後からあれこれ付け足したり修正したりというのは難しいですよね?
特に今回のジョイント展では3つもの作品を描かれていますが
この作品群全体のイメージを構想の段階で作り上げていくというのはもの凄い大変な印象を受けます。
(のしてんてん)
私の絵はおっしゃるように完成図のようなものが頭の中にあって、それを写生するような感じで描いてきました。
心の空間と自分で呼んでいるのですが、構想を練るというより、見えるものを描くという感じですね。
ところがそこに音楽が加わったとき、見るから感じるというものに変わったのです。
音には心の芯に直接影響を与える力があるのでしょうか、私はただ瞬間を満喫して流れるままに
絵を描き始めました。
設計図も構想もなくただ感じるままに、それが自然に3枚の作品になったのです。
EIMさんのジョイント制作ではどのような心の風景がありました?
(EIM)
なるほど、心の空間に見えるものを描いていくんですね
私の心の風景は最初に絵を見ているだけに、本当のしてんさんの絵そのものが心の風景でしたね
ただ一番困ったのは絵って動かないんですよ。なので心の風景も静止した世界になっている。
そこには音が無いんですよ。とても静かな・・・でも微かに一つの音がぽーんと鳴っているような・・・
音楽って物語のようなものがあって、ここは静かに、ここで盛り上げてという風に作る事が多いですが
止まっている世界を音にするというのはこんなに大変なものなのかと思いました。
ただ、これが不思議なことにずっと見ていると絵の中で時間が流れているような、動いているような感覚になってくる・・・・
そして、この絵の中に入ったら自分はどういう気持ちになるのかな?
と考えながら曲作りをしていましたね。
(のしてんてん)
面白いです。絵と音楽は静と動の相反する属性を持っていたのですね。
私は静的な感性で動をとらえようとして動きを瞬間の連続と見たのですが、
EIMさんは動的な感性で静をとらえようとして、
静(瞬間)に這入り込んで、その中に動を見いだしたのですね。
静の中に動があり、動は静の連続でもある。
結局のところ、静と動は対立するのではなく、互いを補完する要素だったのかも知れませんね。
音楽を聴きながら絵を見ると、絵が動き出すように思えます。
絵を見ながら音楽を聴くと、音楽が絵に定着されるように思える。
本当にいい経験をさせていただきました。ありがとうございます。
(EIM)
こちらこそ貴重で素晴らしい体験をさせて頂き本当に有り難うございました。
(のしてんてん)
最後にEIMさんの音楽に対する思いと、作品によく取り上げていらっしゃる心についてのお考えを
お聞かせねがいませんか。そしてこれからの展望などにも触れていただければ幸いです。
(EIM)
音楽に対する思い、改めて言葉にするというのは難しいですね。
人が何かを行う場合、明確な意志や目的を持って取り組むというのは実はあまり多くないのかもしれません。
ただ、癒しというものをテーマにサイトを作っているので常に気持ちが安らぐ場を作りたいなと思いながら音楽制作を行っています。
あとは心についてですが、人は自分に無いものを求めて表現するという話しを聞いたことがあります。
心や癒しをよく取り上げるのは、今の自分の心が癒されていない、もしくは癒しを求めていることになるかもしれませんね。
今後も誰かの心に響くものができれば幸いと考え暇を見つけては少しずつ新しいものを作って公開していこうと考えています。
(のしてんてん)
とてもストレートなお答えで胸が熱くなります。私もまったく同じ考えだと思いました。
今回、EIMさんとのジョイントが実現して本当に良かった。
癒しの表現が、深く人の心に届くとすれば、作り手自身が癒しを求めるものだからこそではないでしょうか。
それはきっと、癒しは上から与えられるものではなく、自分からつかみ取るものだからかもしれません。
癒しをつかもうとする作者の心とともに作られた作品は、どんなものであれ人の心につながっていく。
そしていつか母性と父性を兼ねそなえた救いとなる。そんな可能性を持っているのではないかと期待したいのです
流行を追って、人の心をおもねって作る作品とは決定的に違うのだと思いますね。
EIMさんの今後のご発展を心から願っています。
あらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。
(EIM)
私も今回のジョイント展を通して、改めて物作りの楽しさや奥深さを知ることができました。
そして同時に心のあり方や作品にこめる想いの大切さ、そして難しさも学ぶことができたように感じます。
のしてんさんのご活躍とご発展をお祈りしております。本当に有り難うございました。